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「最も裕福な王族ランキング」 1位は300億ドル、英国女王の5倍以上

「最も裕福な王族ランキング」で、2016年に故人となったタイのラーマ9世(プーミポンの名称で知られる)が1位であることが分かった。その資産は300億ドルと、エリザベス英国女王の5倍以上だ。

ランキングは世界中のお金持ちの情報を発信する「リッチエスト・ライフスタイル」が、2017年に発表したもの。王族=裕福なイメージが強いが、資産にはかなりの差がある。

「最も裕福な王族15人」

(写真=Thinkstock/Getty Images)

15位 ムスワティ3世(スワジランド国王)1億ドル 14位 ベアトリクス・ウィルヘルミナ・アルムハルト・ファン・オラニエ=ナッサウ(オランダ前女王)2億ドル 13位 サバーハ・アル=アフマド・アル=ジャービル・アッ=サバーハ(クウェート首相) 4億ドル 12位 エリザベス2世(英国女王)5.3億ドル 11位 カーブース・ビン・サイード(オマーン国王)7億ドル

10位 アーガー・ハーン4世(イスラム教ニザール派のイマーム)8億ドル 9位 アルベール2世(モナコ大公)10億ドル 8位 ハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニー(カタール前首相)24億ドル 7位 ハンス・アダム2世(リヒテンシュタイン元首)35億ドル 6位 ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム(ドバイ首長国首長)45億ドル 5位 ムハンマド6世(モナコ国王) 57億ドル 4位 ハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン(アブダビ首長国首長)150億ドル 3位 故アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ(サウジアラビア国王)180億ドル 2位 ハサナル・ボルキア(ブルネイ国王)200億ドル 1位 故ラーマ9世(タイ)300億ドル

王族でも資産、信念、自国への貢献度に大きな差がある?

首位は即位64年という歴代君主として世界最長記録を更新したラーマ9世。他界翌年に英国の女王、エリザベス2世が即位65年目を迎え、記録が破られることとなった。

ラーマ9世は財産の大半を不動産や公共施設への投資で築いたとされており、単に代々の財産を受け継いだだけの王族とは物の見方や進め方がかなり違ったようだ。政治的、経済的に精通しており、自国の経済発展に大いなる影響を与えた。

トップ15には石油資源国の王族が数多くランクインしている。2位のボルキア国王は知る人ぞ知る高級車収集家で、ロールスロイス600台、フェラーリ450台など、総額7.8億ドル相当の高級車を所有しているそうだ。

3位の故アブドゥルアズィーズ国王は1995年に没しているが、国の再建に向け、失業者手当や住宅プロジェクトなどに1300億ドルもの投資を行った愛国家だった。

ヨーロッパで最も裕福なのはムハンマド6世。海外からの投資誘致を通しビジネスの才覚を思う存分発揮しているだけではなく、自国の人権保護や貧困の改善などにも熱心な人民のための国王である。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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ポピュリストの共通点 トランプ氏が敬愛、ジャクソン第7代大統領とはどんな人物?

“ポピュリスト”と言われるドナルド・トランプ米大統領。ロイター通信は、トランプ氏は大衆文化の分野で非常に好評だったポピュリズムを、政界で振るわなかったポピュリズムに接ぎ木したと表現している。

そのトランプ大統領が敬愛してやまないのがアンドリュー・ジャクソン第7代大統領(1765-1845)。ジャクソン大統領もポピュリストといわれた存在で、ともに歴代の米大統領のなかでは異質な存在だ。

米国に大衆文化が生まれたのは、ジャクソン大統領の時代だった。大衆はエリート主義の文化に真っ向から挑戦し、その挑戦はトランプ、クリントン両氏の選挙戦で再現した。ジャクソンとはどういう人物だったのだろうか。

議会から不信任決議された初の大統領

(写真=Pavel_D/Shutterstock.com)

ジャクソン大統領の在任期間は1829-37年。米国史上唯一、議会から不信任決議をされた大統領だが、在任中はいろいろ大胆な政策をとったことで今でも良く知られている。

20ドル紙幣には肖像が印刷されている。1812年の米英戦争の際、民兵隊を率いて、ニューオリンズで英国に大勝し、一躍国民的な英雄となったからだ。

1828年の大統領選挙は、私生活の暴露など露骨なキャンペーンに終始。国民的英雄として当選、人民の機会均等を旗印に改革に着手したが、“人民”とは“白人”のことだったようで、悪名高い先住民強制移住法によって、特にチェロキー族のオクラホマへの移住は「涙の旅路」と言われ、多くの犠牲者が出た。西部開拓はネイティブ・アメリカンを排除し、抑圧して進められた。彼らは強制的に保留地に追いやられた。

人民(白人)の機会平等のために、身内を徴用する「蝋官制度」も活用。公務員の1割以上を支持者と入れ替えたのは、公職は定期的に刷新されないと、腐敗するという信念に基づいていたとされる。

長年続いたエリート層の既得権を破壊

ジャクソンは、エリート層(特権階級)の既得権を破壊する過激な政策を次々と断行した。エスタブリッシュメント出身の公務員を退け、支持者と入れ替えたのはその1例に過ぎない。エリートの集団である当時の中央銀行(第二合衆国銀行)の免許更新を拒否して、破産に追い込んだ。

拒否権は大統領制度を強化した。歴代大統領は議会のする立法が違憲だと認められる場合のみ、拒否権を行使することに合意していた。憲法が制定されて以降、ジャクソン政権誕生までの40数年の間に、9つの法案が拒否権の行使を受けた。

8年間の任期で12の法案に対して拒否権を行使した。ジャクソン大統領の考えでは、人民を代表する大統領は議会に優越する存在であり、拒否権は何の制限もなく大統領に与えられた立法権であった。

大統領在任中、さまざまな強権を行使した。いずれもトランプ氏の政治手腕と極めて類似するところがある。ジャクソン大統領の白人優位の姿勢は、先住民強制移住法に顕著に表れた。トランプ氏の場合それは、メキシコ国境の壁建設、グリーンカード(永住権)の年間発行数の半減などを柱とした新たな移民政策や難民、移民の入国制限などだ。

ポピュリズムは、人民の支持を基盤とする指導者が、国家主導で民族主義的政策を進める政治姿勢だが、同時に人民の一面的な期待に依拠して、操作することで権力を維持する大衆迎合主義にも変質する。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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銀行員はAIに仕事を奪われるのか? 『銀行員大失業時代』で伝えたかったこと HCアセット森本社長インタビュー

「フィンテック上陸で高給バンカーたちの断末魔の叫びが聞こえる」−−。こんな刺激的な惹句が帯に乗ったのは、HCアセットマネジメント代表の森本紀行氏の新刊だ。その名も『銀行員大失業時代』(小学館)。書名まで刺激的な本書を氏が上梓した狙いはどこにあるのか。たずねてみるとそこには、「銀行」「銀行員」に対する期待と愛にあふれた思いがあった。(聞き手:濱田 優 ZUU online編集長)

(写真=ZUU online編集部)

もりもと・のりゆき 1957年北海道生まれ。東京大学文学部哲学科卒業後、三井生命入社。年金資産運用に携わった後、90年ワイアット(現ウイリス・タワーズワトソン)入社、企業年金基金など機関投資家向け投資コンサルティング事業を日本で初めて立ち上げ。2002年HCアセットマネジメント設立。世界中の投資機会を発掘して運用委託する新しい資産運用事業を始める。

「統計の問題」より大切な「心の問題」はAIでは解決できない

−−なかなか刺激的なタイトルですが、本書刊行の狙いは?

タイトルは出版社がつけたんですけど(笑)、そもそも「銀行員」っていう肩書きはおかしいと思うんです。「商社マン」もそうですが、「会社員」でなく業種を名乗るあたりいかにも特異です。

ただ本書は「銀行員がクビになるぞ」という話じゃなく、「銀行を辞めて別な立場で仕事をしなきゃいけないとしたら、あなた方は何をしなければならないのか」というメッセージです。

——金融業界で人間がAIに職を奪われるという話はニュースでも報じられていますね。

AIを特別視しすぎだと思いますね。たしかにFinTechで銀行業務が合理化されるのは不可避です。だけどコンピュータにはできないことがあって、そっちのほうが圧倒的に重要です。これから銀行員がなるべきはコンピュータにできないことができる「金融のプロフェッショナル」なんです。

AIは「(人工)知能」というから大げさに響きますが、AIのほうが人間を上回るって言うのは極めて愚かな考え方。たしかに量的には超えているかもしれないけど、質的には“絶対に”AIは人間を超えないですよ。量が本質を変える可能性もありますが……。

——このところ金融に限らずあらゆる分野でAIは活用されています。

AIでよくなる分野はたくさんあります。その一つが「医療」です。

医師は患者の症状から病気を推測するわけですが、医者が知らないこともある。過去の膨大な数の症例がインプットされたデータベースがあってAIに学習させれば、考えられる病気が可能性の高い順番に並ぶ。1人の医師にかかれば、多くの医師が過去にみてきた症例データと照らし合わせることができるので、検査もたくさんやらなくても済むでしょう。誤診確率は抑えられるし、患者の体質をチェックして副作用が起きる可能性も精度高く計算できるでしょう。

僕の親父は71歳で、すい臓がんで亡くなったんです。この病気は発見が比較的難しい。すい臓は背中に近いから、疾患があると腰が痛くなるんですよね。腰が痛かったら内臓が腫れていることが高い確率としてあるらしく、内臓検査してもいいはず。ところが親父はずっと整形外科に通っていた。明らかに医療も間違ったと思うんです。

AIでできることがある一方でできないこともある。手術するかどうかを決めるのは患者で、執刀はコンピュータだけではできない。患者が信頼関係を築けるのも人間の医師だと思うんです。たしかにコンピュータは間違えないかもしれないけど、患者が求めているのは可能性の高さだけじゃない。

実は僕、昔ちょっと心臓に障害があったんです。生命に別状はないけど不整脈が起きる。先天性で別に珍しくない病気で、医者も手術しなくてもいいって言っていた。それでも「どうしますか?」って言われて考えた。そうやって患者に尋ね、自分の選択に委ねるのは生きた医師でないとできない。

要はどこまでが「統計の問題」で、どこからが「心の問題」か考えなければいけない。金融は医療以上に「心の問題」の部分が大きいと思うんです。

たとえば僕と年齢、年収、貯蓄額、同じ家族構成の人がいて、AIに投資先を聞いたらその人と僕には同じ答えを出すでしょう。でも、それでいいんでしょうか? 銀行員に求められるのはどれだけ熱心にお客さんに接するか。投信を売る−売らないという問題じゃない。本当に親身になってお客さんの立場になって考えられるかどうかです。

——AIを融資先の与信判断に使うという話もあります。

それも可能性はありますが、そこで忘れてはいけないのはデータが正しいかどうか。人間は嘘をつきますから。僕が本当のデータを入れるとは限りません。本当のデータを入れさせるには、「入れたほうが僕の得になる」という設計にしないといけない。

銀行から借金したいとき、所得や財産を聞かれても、低かったら素直に言わないですよね。僕が中小企業経営者で問題を抱えていたとして、ちょうど融資の借り換えの時期が来ていたら銀行の担当者には言わないですよね。融資を継続してもらわないと困るから。

この問題はAIでは解けない。AIも真実を伝えてもらわない限り、真実の答えを出せないけど、人間は自分の利益になるなら嘘をつく。

だから銀行として日常的な債務者管理ができていることがベースにあって、業務が一般化してきたらテクノロジーで効率化するのはいいんですよ。ただ最初からそれができていない銀行がAIとか言っても意味はない。テクノロジー化する前提条件としてのお仕事が今の銀行員にできているのかということです。

「お母さんは同意書に判子を押してくれました」が成立するわけがない

(写真=ZUU online編集部)

高齢者が投資信託を買っているのって、息子も娘も来てくれないおじいちゃん、おばあちゃんのところに銀行の人が来てくれるからなんですよ。1時間ぐらい居てそれで投信の話されたら、「何買ったらいいの?」って言いたくもなる。銀行員にしてみれば、勧めちゃうとあとで問題になるから「これが今『売れ筋』です」って言うのが定番なんだけど。

そこで、支店が販売目標を設定しているという理由だけで商品を売ったりするのは別の問題。真にお客様の利益にかなうものを売ればいいんですよ。「お金はある」っていう高齢者にも、「じゃあこれ」って商品を売りつけようとせず、「使い道がないなら息子さんに聞いてみます?」って聞いてみればいい。

それで本当に使うのか使わないのかいろんな議論する。もしかしたら息子が「お母さん、使わないだったら生前贈与して子供の学資に回してくれない?」とか、「家を直してくれたら俺たちも一緒にここに住む」ってなるかもしれない。そっちのほうが幸せかもしれないし、正しいかもしれない。そんなことしていたら商売にならないけど、その一族との信頼関係は太くなる。金融庁が言っているのはそういうことですよ。

——相続の際のそうした問題は今後も多く起きそうです。

僕は今年60歳なんだけど、この世代は母親が90歳ぐらいまでに亡くなるわけです。男性の寿命が70代くらい、女性が80代くらいだから。ちょうど今から僕らの世代で相続が始まるわけです。

たとえば僕が親の遺産を相続するとして、母が買っていた投信の一覧を見て値下がりしてたら、売った銀行の支店調べて担当者に「よくもこんなもの売りつけやがって」と言うでしょうね。相手は「お母様は納得されましたし、喜んでおられました」とかいうだろうけど、僕は「意味が分かって買ったわけないだろ」と返す。すると、「そんな事ありませんよ。ちゃんと同意書にもハンコ押されてますから」と返ってくる。それでも即座に解約しますよ。預金なら間違いなく解約する。

ところがいい投信を売って、ちゃんと値上がりもしていれば、「すぐ売るのも面倒だし、置いとこう」ってなる。その瞬間に、僕という相続人が新しい顧客リストに載るわけです。そしたらいずれ退職金で投信を買い増してくれるかもしれない。結局ちゃんとしたものを売っておいたほうが銀行の長期的収益になるんです。

——値上がりする商品が分からないといけないですね。

いい商品を目利きできる能力は必須ですね。もしそれができたら、その銀行員はFinTechが進んで合理化されようが、銀行が合併しようが銀行に残れるはずだし、FPやIFAとして独立しても食っていけます。

僕は最近、銀行の研修会で銀行員に「銀行がなくなっても生きていけるようにしなきゃいけない」って言うんだけど、彼らにとっても耳が痛い一方、納得感あるんですよ。

その過程でテクノロジーの力も使うということなら、それは銀行をよくする、真のFinTechだと思います。

たとえば情報管理、データ管理って銀行はすごくうるさい。本部のデータって持ち出せない。紛失や盗難のリスクがあるから。だから「働き方改革」が言われているけど、在宅勤務ももう極めて困難。だけどそこをテクノロジーでブレイクスルーできたら……。

——改ざんができないようにするとかですね?

そういうことです。与信とか投資信託の提案をAIでやるといっても、根本的に顧客の視点が抜けています。どこの銀行がやっても同じことなら、最終的には金利以外の非競争的障壁は作れません。タダ同然の方向性に向かっていき、やがて利益は出なくなる。

企業経営にとっての資金繰りって、家計と同じでとても大切です。城南信金の小原鐵五郎の言葉を借りれば、「融資する」「お金を貸す」ではなく「心配して差し上げる」ということをしなければいけない。

ただ決済はちょっと別ですよ。決済分野の行く末は銀行にとって頭が痛すぎる問題。普通預金口座から、給料の振り込みとか、電話料金とかクレジットカードの引き落としとか、決済機能を全部なくなっても預金しておきますか? 銀行員に聞いても、誰も手を挙げないでしょう。そういう手数料もバカにならないから悩ましいところなんですが、決済のプラットフォームは一つあれば十分となったら、メガバンクはともかく地方銀行はどうしようもなくなる。

——決済にも多くのプレイヤーが参入しています。

先ほどの議論は、決済なきあと銀行としてどこに付加価値を見いだすかです。僕が怖いと思っているのがAmazon。書籍販売で確立したノウハウを一気に横展開するパワーとか、物流まで押さえにいく資金力とかすごい。ビジネスモデルは極めてシンプルで新奇性はないけど、あれだけ徹底してやるから結局データマイニングの精度も高くなっていく。

Amazonは顧客の日常生活そのものを取り込んでいる。たとえばプライム会員でヘビーユースしていれば、生活そのものが露骨にトレースされてしまう。僕がもし会員として頻繁に使っていたら、Amazon上に存在する僕は、限りなくホントの僕に近くなっていく。これまでSPAM扱いだったレコメンドのメールの精度がどんどん上がってくる。「ちょうどこれ欲しかったんだ」「ああ、こんな本出てたんだ?俺欲しかったんだ」みたいになる。

一方で銀行のデータベースに存在する僕は、実像とはかけ離れている。銀行は昔、もっと家計に近いところに座ってたはずなんです。なのに今、何もできていない。家計のことが分かってないし、信頼されてない。相談にのってくれないから、逆に営業に行ってるわけです。「それをFinTechで変わると思うんですか?」ってことです。

ブロックチェーンが画期的だと思う理由

(写真=ZUU online編集部)

——決済のほかに注目している分野や技術はありますか?

ブロックチェーンも衝撃ですね。歴史の認識の仕方を変えると思うんですよ。僕はもともと専攻が哲学なので、その観点からどこかで1回まとめたい。

歴史は事実の集積だと思われているかもしれませんが、そうではない。歴史は常に過去に向かってしかできない議論であって、その瞬間に過去を再構築しているわけです。

たとえば、僕が送金を何度か繰り返す。今の銀行システムってそれをシーケンシャルに、順番にデータ処理するんです。それは、歴史をそのまま再現しようとしているから。歴史は具体的事実の連続だという思想がそこにはある。

でも口座のお金のやり取りを1日ずーっと追い続けて、たとえば1,000回売ったり買ったりを都度全部記録して分かるようにする必要はない。1日などの単位でしめてから、お互い残高比較すればいい。大切なのは残高のバランスがあっていることだから。

——「途中経過が分からないじゃないか」といわれそうですね。

ええ。でも「分かってどうするの?」ってことですよ。僕はここが革命だと思うんです。ブロックチェーンは、技術より何より、こういう発想が革命的。

在庫管理でいえば棚卸法にすればいいんです。帳面に、100個仕入れて、1個売った、2個今日売った……と都度書けば、常に在庫数が分かるし正確でしょう。でも面倒だしコストがかかる。それを毎日ではなく一定期間でしめて、「97個あるから3個売れた」とすればいい。目的は事実の記帳ではない。何のために記帳するか考えれば、どれだけのデータやコスト、時間の節約になるか。

みずほの「誤送金」問題は「誤記帳」でしかない

これは僕が何度も本にも書いたけど、みずほの誤送金の件も問題です。僕はみずほを擁護して、「あれは誤送金ではなくて誤記帳だ」って言い続けています。何か錯覚があるようだけど、お金は動いていなくて電子信号の記録としてしか存在してない。

日本のFinTechが成功するかしないかは、国民がみずほの「誤送金問題」を「誤記帳問題」として再認識・再整理できるかにもかかっていると思う。そうでないとブロックチェーンなんて認められない。記帳してなくて再構成しているだけなんだから。これは戸籍も年金問題でもいえます。帳尻が合ってればいい。こんなこと言うと袋だたきにあうかもしれませんが(笑)。

——厳格に処理を進めようとする気質も影響しているのでしょうか。

日本って有価証券の決済とかってやると、1円でフェイルするんです。端数処理のときに切り捨てたり切り上げたり四捨五入したりする人が居るから。1円でもフェイルすると後ろの過程が全部ストップする。シーケンシャルな処理が厳格に行われているから。

ところが、海外の証券決済システムでは誤差たしか1,000ドルとか少額ならとっくの昔から通すようになっています。通してから1日でしめて誤差を精算するから圧倒的に早い。しかもそれが誤差なら大きなシステム障害にならない。誤差は誤差だから。預金通帳があるのも不思議ですよ。毎月のステートメントじゃ納得できない。

−−韓国では「無通帳金融取引革新案」があり、金融監督院の主導で今後は銀行が通帳不発行にするそうです。

通帳不発行なんてもう世界の常識ですよ。日本は不思議ですよね。「国民性」っていう単語使うと全部あいまいになっちゃうから嫌だけど。それに日本ならではの、ローカル色の中にこそ強みを見つけたいと思うので、日本独自の、日本ならではの部分すべてを切り捨てる必要はない。捨てたほうがいいものと、生かしたほうがいいものを峻別すべきですね。

日本の何を生かすか、何を捨てたらうまくいくかを見つけるのが、金融庁の課題でもあり、我々の課題でもあると思いますね。

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「貯金計画が希望になった」29歳で1000万円貯めた女性のマネーヒストリー

「マネ女」の人生経験や、価値観、これからのこと。

貯金1000万円を目指す「富女子会」の会長を務める32歳の女性に、1000万円貯めるまでのストーリーをお伺いしてきました。

Sさんプロフィール

  • 関西出身
  • 32歳
  • 看護師10年目
  • 都内の病院に勤務
  • 富女子会の会長として活動中

出会いは今から7年前。自分の状況を変えたかった

(写真=筆者撮影)

<まず、富女子会と出会ったきっかけを聞いてみました>

富女子会と出会ったのは今から7年前。 当時はとにかく今の自分の状況、主に職場のことなんですけど、それが嫌だったので、これで変わるきっかけになればと考えて。 あわよくば、お金が貯まったら仕事を辞めてやろうと思って、富女子会の前身となる投資会に入りました。

大学を卒業して、東京のとある病院で働き始めたのですが、職場がとにかく怖い世界で。 「あぁ、女の嫌な世界って、こうだよなぁ」といった感じでした。 なんていうか、女子中学生の世界観をそのまま引きずっているような、 職場で無視があったり、忙しすぎて休憩取れないような状態にされたり。

特にみんなが苦手にしてた、あるベテランの看護師さんがいて、 ロングヘアで、スターウォーズのジャバザハットみたいな人でした。 同期の子も、その人が原因で2カ月で退職してしまったくらい。 キツイ人なんです。

私も苦手で、10年前の出来事なのに、今でも街でその人と似た髪型、体型の人を見かけると、心拍数があがるんですよ。 完全にトラウマですよね(笑)。

ただ、世の中の病院が全部が酷いってことはなくて、 たまたま私の配属先がそうだっただけなんですけど。

その人と一緒に休憩するシフトのときは、とにかく憂鬱というか、 その場に居られないんですよ。 だから、すぐに休憩を切り上げて、仕事に戻るようにしてました。 スタッフ用のトイレが1つしかないので、 便所飯すら許してもらえないという(笑)。

この環境は配置換えまで続きました。

転機はビジネスセミナーへの参加

<富女子会の全身となる投資会の第一印象は「怪しい」だったそうです>

別の病棟で働く子が私のことを心配してくれて、 ある日、ビジネスセミナーに誘ってくれたんです。 「Sちゃん、人間関係とかお金のことについて学べるよ」って。

そこでお金や不動産について話してたのが、 後に富女子会の代表になる永田雄三さんでした。

セミナー後、友だちの勧めもあって、永田さんとは日を改めて お会いすることになりました。 指定された場所は三軒茶屋のマンションの一室です。

私も、「怪しいな」って思いながらたずねたら、 会って永田さんの第一声が「君、貯金いくら?」でした。 えぇ〜、いきなりそこ聞くの?って思いながら「200万円です」って正直に答えました。 「看護師2年めで、それって少ないよね? 今から5年で1000万貯めて、不動産買いなよ」 とか、いきなり言われて。

やべー、絶対に騙されてる、って思ったんですけど、 まあこれで仕事を失うわけでもないし。 仮にお金を失ったら、また貯めればいいかなと。 だから貯金を作って、永田さんにお金の運用について 相談に乗ってもらうことに決めました。

(写真=筆者撮影)

貯金計画が希望になった

<Sさんは、「1000万円貯金生活」を始める前、お金を貯められない生活を送っていました>

その時、永田さんから「貯金計画書を作成する」という宿題をもらいました。 家計を振り返ると当時は、もらったお給料を全部使ってしまう生活をしていました。 まあ、仕事のストレスが原因だったんですけど。 かろうじて、ボーナスだけは手を付けずに定期預金している感じでした。

世田谷の寮に住んでたので、休みの日になると、二子玉か渋谷に遊びに行って。 出かける時にATMから5万円くらい引き出すんですけど、 帰るころにはそれがゼロになってました。 でも何に使ったかとかあまり覚えてないんですよ。

そんな感じだったので、クローゼットの中にはタグがついたままの服が沢山しまいこんであって。 家計簿つける習慣とか全然ありませんでした。

こんないい加減な人間だったんですけど、貯金計画を立ててみると、 「あれ? これ以外と楽しいな」と思って。 毎月いくら貯めて、それを利回りいくらで回すと、 お金がどう増えていくかが目に見える形になって。 それが希望になるんですよね。 けっこう楽しみながらエクセルで表をカチャカチャ作ってました。

ちなみにこれが、今の富女子会でもやっている、 貯金計画シートの原型になってます。

当時はとにかく「一刻もはやく仕事辞めたい!」と思ってたので 手取り25万円から、毎月18万円貯める計画を立てました。 まあ、すぐに無謀だとわかったんですけど(笑)

「欲しいもの」と「必要なもの」を分ける

<5年で1000万円貯める生活について、最初は大変だったと振り返ります>

いきなり貯金生活をはじめると、当たり前ですけど超ジリ貧なんですよね。 速攻で「月18万円貯めるのは無理!」と分かりました。 それで計画を「月13万円」に下方修正しました(笑)。

手取り25万円から13万円を貯金して、残り12万円で生活しました。 日割りで1日に使える限度額を決めて、自炊もはじめました。

自分では計画的に使ってたはずなのに、それでも月末になると帳尻が合わなくて、 気がつくと1日200円くらいしか使えない状況になってる。 そういう時はスナックパンを1袋買ってきて、 何回かに分けて、もそもそと食べてました。 今はもう、あれ食べたくないですね(笑)。

3カ月経つと自分に合うやり方も分かってきて、 その間、出費もいろいろ見直しました。 大きかったのが、看護師さんの飲み会です。 みんな仕事のストレスが大きいからなのか、 飲み会一回に、平気で1万円くらい使うんですよ。

だから飲み会は、3回に1回くらいの参加に抑えました。 絶対に出ないと行けないやつ、送別会とかそういうのに厳選して参加してました。 逆に、ストレス解消みたい目的のやつは断る。

あと、大きかったのが「欲しいもの」と「必要なもの」を分ける考え方。 買い物をする時にこれを考えるクセをつけたら、無駄使いは減りました。 今までだと「欲しい!」と思って買った服だけど、一回も袖を通してないのとか結構ありましたからね。無駄ですよね。

同じ目的を持つ仲間

<Sさんは、月13万円を貯める生活を続けるコツについて語ります>

ただ黙々と、貯金を続けるのって辛いじゃないですか。 絶対、途中で心が折れる。

私が貯金を続けられたのは、スタート地点が同じで年齢も近い子たちが集まっていたから。 なかには私よりお給料が少ないけど、きちんと貯金できてる子とかがいるんですよ。 で、それを永田さんが皆の前で褒めたりする。 それを見て私、単純なんで「悔しい! 私も認められたい!」とか 勝手にライバル心燃やしてました(笑)。

お金を使わずに楽しむ

<貯金生活を続ける人は、極端に生活を切り詰めるのではなく、お金を使わずに楽しむ人が多いのだそうです>

貯金生活をしている人たちとイベントを企画すると、 自然と「なるべくお金をかけずに楽しむ」っていう方向になるんですよね。 富女子会ではないのですが、以前、別の集まりで二子玉川の河川敷で運動会をしたこともありました(笑)。 いや、結構楽しいんですよ。

あとは、飲み会じゃなくて、昼に集まってランチ&お茶をするとか。 夜より安くあがりますしね。

「バーベキューやりたいよね」っていう話になったら、 メンバーの子が男友達でバーベキューセットを持ってる人を見つけて その人を巻き込んでました。

ほかには、海に行く男友達がいたら、女子も便乗して車に載せてもらう(笑)。 ほら、これだとWinーWinじゃないですか(笑)。

よく誤解されがちなんですけど、富女子会のメンバーって TVの『ボンビーガール』に出てくるみたいな極端に切り詰めた生活してる子って、あまりいないんですよ。

宝塚ファンで観劇をしながら1000万円貯めた子もいるし、 毎年、海外旅行に行っている子もいます。

もちろん、普通に彼氏がいる子も多いです。 いる子と、いない子の比率ってたぶん、世間とそんなに変わらないと思います。

なので、「富女子会って彼氏とかいなさそう」みたいなコメントをネットで見ると、ちょっと心外なんですよね!

恋愛事情について

<Sさんの恋愛事情についてもお聞きしてみました>

私がどうか、ですか? 社会人3年目のときに一歳年下の彼氏が出来ました。 ちょうどお金を貯め始めたころです。 彼氏は警察官だったんですけど、 つきあって2年目くらいに「俺、警察官辞めるわ。バーテンになる」とか言い出して、 本当に辞めちゃったんですよね。 彼の年収は半分以下になってしまいました。

好きな人の夢なので「応援したいな」って気持ちは当然あるんですけど、 普通、警察官時代の貯金とか退職金って、使わずに取っておいて開店資金にあてるべきじゃないですか。 でも、そのお金でグアム旅行に一人で行ったりしてて。 結局、その人とは5年付き合って別れました。

私にはこんな人を好きになったんだからしょうがないよね、 という覚悟はあったのですが、 彼の方から「別れたい」って切り出されて。 私も最後の1年くらいは、 「この人と一緒にいても、この先しょうがないのかな」 と感じたりして、つらいことも多かったし。

私が30歳の超節目で彼とは別れたんですけど、 別れると意外と心が晴れやかなんですよ(笑)。

ちなみに、付き合ってたときに両親と永田さんには彼氏を紹介したことがあって、両方から、 「顔はいいかもしれないけど、アレは大変だぞ」 ってアドバイスをもらってました。 だから、私は男を見る目がないのかもしれません(笑)。 まあ、人は失敗しないとわからないですよ。

理想の男性像は、私のことを「好きだ」と言ってくれる人ならいいと思っちゃうんですよね。 お金のあるなしは、あまり関係ないですね。さすがに無職だと困りますけど。 あとは上手にお金を使える人。 どれだけお金を使っているか、ではなくて、 使う目的とか、何のために使ってるかが大事なのかなと。

(写真=筆者撮影)

1000万円貯めてわかったこと

<Sさんは社会人2年目で貯金生活をスタートし、5年後の29歳のときに1000万円を貯めました。そのときの心境はどうだったのでしょうか>

1000万円貯まった時は「あ、こんなもんか」って感じでした。 持ってない時だと、1000万円って「超凄い」と思ってたんですけど、 実際貯めると「そうでもないな」と。

私の場合、貯めてる途中で 「あといくらで1000万円貯まる!」 みたいな意識はまったくありませんでした。 細かい数字は気にしない性格なんですよね。

最初は「お金を貯めて仕事を辞める」のがモチベーションだったんですけど、 貯めてる途中で、職場の配置換えがあってストレスが激減しました。 なので、目標額貯まったんですけど今も仕事続けてます。

本当は「1000万円貯まったら、それを元手に不動産でも買おう」とも考えてたんですよ、最初。 不動産投資に関心があったので。

でも今は投資分野以外の興味が大きくなっている感じです。 例えば、会長として富女子会に携わって、会のこれからの方針だとか。 新人や既存のメンバーと関わったりして、 メンバーが変わっていくにはどうしたらいいか、 みたいなことを考えることが楽しいので、そっちに興味があるんですよね。 もともと人と関わることが嫌いではないんですよね。会長をやってから気づいたんですけど。

投資のことに関していうなら、 以前は不動産投資しか知らなかったけど、 富女子会の会長をやってるといろんな人に会うので、不動産以外の話を聞く機会もあり、 少し別の分野に興味がある感じです。詳細は秘密です。

「次はいくら貯める!」みたいな目標は今は持ってないです。

富女子会のこと

<今、富女子会の会長を務めていて感じることを教えてもらいました>

私、一応、富女子会の会長をやってまして。 まあ、いいことばかりじゃないです。 お金の話題を取り扱うので、たまに人の本性? そういうのが見えることもありますけど。

それでも、富女子会に入ったことで、メンバーが変化するのを間近で見られるのは嬉しいです。 私もそうだったんですけど、 「ああ、人ってこんなに変わるんだな」って。 その人が変われた要因に、自分が少しでも関わっていたら嬉しいじゃないですか。

昔の私って、ただ職場と寮を往復してる生活で、交友関係が広がらなかった。 だから、こういう場所を大切にしたいです。

会が多少有名になって来たのは、ここ最近のことです。 NHKで取り上げられて、 「放送を見たお母さんに入会を勧められた」 っていう子も最近いました。

今までがサークルっぽい感じだったので、この一年でけっこう組織っぽくしました。 FPの講座とか、不動産の講座とか、コンテンツはどんどん増やしたいですよね。

貯金をしている女子へのアドバイス

<貯金をしたい女性へのアドバイスを伺いました>

お金を貯めるためには目的や目標がないと続けられません。 でも、「貯める」のはあくまで手段であって、目的ではない。 貯める過程で高めたリテラシー、そこに価値があると思ってます。 「学ぶことで選択肢の多い人生を」 これ、会の理念なんですけど。 貯めることじゃなくて、 貯める過程でいろいろなことを学んで、自分の中の選択肢を増やすことが大切。 増えた選択肢で何を選ぶかは人それぞれ。自分が選んだ決断に責任を持てる人になることが大切だと思います。

肝臓ってあるじゃないですか。内臓の。 アルコールを分解するのが肝臓の役割なんですけど、 アルコール依存症の人って、肝臓が分解する状態がデフォルトになるんですよ。 だからアルコールが入ってないと、逆に肝臓の調子が悪いと感じてしまう。

慣れた働きが変わるときに人は不調をきたすし、 変わるのは大変なことです。でも、続けてるとやがてそれが普通になる。 つらいのは最初だけ。これって健康習慣だけじゃなくて、 お金の習慣にも言えると思うんですよね。

今、看護師っぽく例えたつもりなんですけど、上手く例えられてます?(笑)。

(Sさんインタビュー、おわり)

栗林篤 明治大学政経学部卒業。東証一部上場IT企業で年収300万円のSEとして働きながら株式投資、不動産投資を実践。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』(WAVE出版)。好きなフルーチェはいちご。

(提供:DAILY ANDS

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「女が主演で、監督も女。お金を集めるのに6年かかった」80歳エレノア監督の挑戦

女性が何歳になっても輝き続けること、トライし続けることの楽しさを表現した映画『ボンジュール、アン(原題:PARIS CAN WAIT)』が7月7日、日本で公開されます。

『ボンジュール、アン』は、映画界ではまだ珍しい、女性監督、女性主演という組み合わせで制作されているのも特徴の一つ。そして、公開までには、女性監督、女性主演だからこそ制作費を集めるのに苦労したというエピソードもあったのだとか。

80歳で初めて長編実写作品の監督・脚本に挑戦したエレノア・コッポラ監督と、主人公の「アン」を演じた女優のダイアン・レインさんの来日記者会見(6月7日開催)から、制作秘話をリポートします。

会見には女優の樹木希林さんも応援に駆けつけ、会場を盛り上げました。(以下、敬称略)

日本文化から受けた感銘を、映画に移し替えた

左からダイアン・レインさん、エレノア・コッポラ監督、樹木希林さん(写真=DAILY ANDS編集部)

『ボンジュール、アン』の主人公は、仕事ばかりで家庭には無頓着な夫を持つアン。子育ても落ち着きはじめ、人生の一区切りを迎えようとしていた頃、夫のビジネスパートナーと思いがけずパリを旅することになり、旅を通じて自分自身を見つめ直し、人生の喜びや幸せを新たに発見していきます。

エレノア・コッポラ監督は、夫が映画監督のフランシス・フォード・コッポラさん、娘も同じく映画監督のソフィア・コッポラさん。母として、そして最高のスタッフとして、コッポラ家を陰で支えてきました。『ボンジュール、アン』はそんなエレノア監督自身の体験を基に描いた長編実写作品となっています。

ーー お二人からまずは一言ずつご挨拶をお願いします。

エレノア監督:グッドアフタヌーン。本日はようこそお越しくださいました。興味をお持ちいただいたことにとても感謝申し上げたいと思います。長編の初めての映画をできることを大変うれしく思っています。

ダイアン:この作品を応援してくださってありがとうございます。非常にこの作品を誇りに思っていますし、エレノア監督の初フィクション作品を皆さんと分かち合えることもとてもうれしく思っています。最後に、大好きな日本に再び戻って来られたことに感謝しています。

(写真=DAILY ANDS編集部)

ーー日本公開を控えて今どんな気持ちなのか、教えてください。

エレノア監督:日本公開が迫って胸がドキドキしております。この映画のテーマ、経験は異文化に接したときにみんなが感じるものだと思います。私の場合、日本に対して、文化に接したときの感情、感覚がヒントになるものがあり、日本に来る度に日本の芸術、華道、それから日本人の感性や自然を愛する気持ちに非常にいつも感銘を受けるわけです。そういうときの感銘を移し替えて、描いたのがこの映画となります。

ーー長編劇映画、初監督を務めたわけですが、やっぱり劇映画を撮るというのは今までとは違う気持ちなのでしょうか。

エレノア監督:とても違うと思います。私はドキュメンタリーを撮ったことはありますが、一瞬の命をその場で早くとらえることがドキュメンタリーでして、目に見えたことを一瞬でとらえないといけないのですね。ところが、フィクションはまったく違うわけで、いろんなことを自分で考えて、クリエイトして、入れていくことができる。一コマ、一コマを自分で作れるのです。そこがまったく違うのです。フィルムを作る責任も違いますし、アートのフォーム、つまり芸術の形としてドキュメンタリーと違うと思います。今回この機会を得られたことを、私は非常に幸せだと思っています。またその幸運にも、ダイアン・レインのような素晴らしい女優さんを含め、素晴らしいキャストを組むことができたというのは、本当に初めての挑戦が生きたと思います。

物語が「恋の始まり」じゃないことに、ほっとした

ーーダイアン・レインさんはエレノア監督の「アン」をどういう風に感じながら演じましたか?

ダイアン:今回アンを演じてほっとしたところというのが、この物語が必ずしも恋愛の始まりの映画じゃないというところだったんですね。

作品冒頭、2人はある種の枠組み、「夫のビジネスパートナー」と「ビジネスパートナーの妻」、そういう枠組みをもったなかでお互いをある程度知っていて、礼儀正しさもったなかで始まります。当然、それを観ている我々も、表面的な距離のあるまま最後までいくのかなと思うと、それが変わる瞬間があって、私はそこにすごくワクワクしました。自分の知る自分をさらに掘り下げたり、自分にはこういう面もある、ということを知るきっかけになる。これは誰にでも、誰かと出会ったときに起こりうることだと思いますし、ワクワクできること、そして、誰かと出会って物事の見方が変わることがあるということです。

ーーダイアンさん自身がアンに共感するところ、共感しないところがあれば教えてください。

ダイアン:そうですね……。アンがした経験とまったく同じ経験を自分もしたことがある、というのが一つの共通点だと思います。なかなか自然発生的なことに身を任せる、というのは現代を生きる我々にはあまり起きないことと思います。そして、誰かをひとつの文化、カルチャーへのガイドのように信頼すること。今回、文化への入り口が「食」でした。食というのは、誰もが食べなければいけないものでありながら、ものを口にするというのはとても官能的な、ポエトリー、「詩」を感じられる行為だと思うんですね。

ほかの点でいうと、人生のタイミングですね。もともと監督はアンと同じ年代の女優さんがいいと言っていましたが、私はちょうどアンと同じ年齢で撮影することができました。タイミング的に子供達が巣立ってしまって、そのあとどうするのか、もちろん時間を戻すことはできないから前に進むしかないのだけれど、進む先は新しい領域なんですよね。多くの人が共感できる、非常にデリケートなテーマを扱っている映画だと思っています。

(写真=DAILY ANDS編集部)

「女が主演、女が監督」だと、みんな引いちゃう

ーー女性監督かつ、女性主役の映画というのはまだ少ないように思いますが、その中でこの映画はどのような意義を持つのでしょうか?

エレノア監督:この映画ができた意義で注目すべきは、私はこの映画を6年前に企画しましたけれども、お金が集まるまでに6年間、奔走したわけです。みんなこういう映画にお金を出したがらないんですね。女の映画で、しかも女の監督ですと、みんな引いちゃうわけです。それが今、可能になったというのは、特別な意味のある瞬間がきたんだと思います。そして、ダイアンが演じます女性は決して普通の夫の妻、つまり刺身の「つま」のようなものではなく、本当に彼女が主役、出ずっぱりの役なわけです。そういうものがちゃんとお客さんを見つけて成功すれば、こういう映画にも今後お金が出るという宣伝になっていく。そういう非常に意義のあることだと思っています。

ダイアン:意義のあるご質問なので、ちょっとだけ私も貢献させてください。自分も自分の人生を通して、映画業界のなかで、こういった葛藤をずっと目にしてきました。1950年代はちょっと違ったと思うんですよね。女性たちの物語が作品自体の物語でもあったから、スクリーンタイム、つまりスクリーンに映っている時間も非常に長かったと思います。そして、日本ではどうかはわかりませんが、アメリカで読んだ記事のなかで指摘されていたのが、とにかく興行成績、特に最初の週末の成績がすべてなんだ、と。そういう見方しかされないという点だったんです。かつての映画は、公開されても、最初の週末で厳しく裁かれることはなかったと思うんですね。ゆっくりと、口コミで広がったり、ご覧になった方が少しずつ観に来てくださることがあった。それを鑑みると、皆さんに申し上げたいのは、自分が観たい映画を最初の週末にぜひご覧にいっていただきたいということです。そういう形で、応援ができると思います。

(写真=DAILY ANDS編集部)

才能ある女性スタッフが集まった

ーーダイアン・レインさんに質問です。今回の作品がこれまででも最も輝いていたように思います。エレノア監督の演出で特に印象深かったことを教えてください。

ダイアン:エレノアさんがほかの監督と違ったところというのが、自分のアーティストとしての経験、自分を知っているからこそ、他者を信頼することができるというところだったんです。彼女の前で彼女をほめるのも申し訳ないんだけれども、今回の作品もすべての部署に最高の畑で、特に女性の才能ある方が集まってくださったんですが、そういった方を集めることができて、彼らを信頼することができたからこそ、最高のものをそれぞれに引き出すことができたと思います。これが、これまでの監督と違いました。ほかの監督に比べると、エレノア監督はコミュニケーションが密で、外からの提案にオープンでいらっしゃったんです。今回、制作の2年前に話をもらったんですが、当時は参加できないかなと思ったんですが、2年後そういうお話をいただいて参加することができました。その間、脚本もちょっと変わっていたと聞きました。それもまた、エレノアさんが脚本家としてもオープンにほかの人の意見を受け入れることができた、耳を傾けられたからだと聞いています。そうやって、どんどん取り込んでいく、というのはジェンダー論に聞こえなければいいなと思うけど、どちらかというと女性的な強みかなと思いますし、エレノアさんの魅力だと思います。

エレノア監督:私は主役の女優さんを演じる方に、最も素晴らしいプロで芯の強い方を求めていました。ダイアン・レインはナンバーワンチョイスでした。彼女は6歳の時から映画界で働いている、プロ中のプロでいらっしゃる。そして、本当にその実力を発揮される。驚いたのは、スクリーンの中の彼女は、肌の中までその人物になりきっている感じがしました。その役作りの凄さ、パーフェクトな存在感は、彼女以外にはできなかったと確信しています。彼女の場合は、コラボではなくて、彼女がこの映画をつくったのであって、私は何も協力しておりません(笑)。

『ボンジュール、アン』の字幕翻訳者であり、この日エレノア監督の通訳も務めた戸田奈津子さん(左)と、エレノア監督(写真=DAILY ANDS編集部)

「声の演技」は映画の中でとても大切

ーー映画興行の話が出たのでちょっと聞いてみたいのですが、日本において、最近、映画の大作で吹き替え版の上映が増える傾向にあります。海外で公開する上で、俳優さん、監督さんにとってその点はどういう風に感じられるでしょうか。

エレノア監督:私としましては字幕は俳優さんの声が聞こえるのはとても重要だと思います。声の演技というのは映画の中でとても大切なことで、アクション映画はともかく、特にこういう映画は字幕で上映されるのは非常にうれしく思いました。この映画は吹き替えがないんですね。こういう映画は字幕で観ていただくことが正しい観かたではないかと思います。

ダイアン:個人的には映画を観るときは字幕派です。字幕を観るのはより力必要かもしれません。字幕に限りあるぶん、ユーモア、細かい部分、全て理解できないときもあるかもしれません。私はフランス語を少し話すんですけれども、フランス語で映画観たときに、ちゃんと意味わかっていないときもある。それは仕方がないことでして、私はオリジナルの演技、オリジナルの役者さんの声を聞きたいんですね。

樹木希林さんも登場

(写真=DAILY ANDS編集部)

ここで、樹木希林さんも会場に駆けつけ、エレノア監督とダイアンさんにバラの花束を手渡しました。

司会:樹木希林さん、映画の感想を教えていただけませんか?

樹木:日本でもちょうど50を過ぎて、やっぱりね、こんな生活でいいのか、夫に沿っていていいのかと。特に才能ある奥さんなんていうのは、すごく悩み始めるときなんですね。そういう人が周りにうんといます。そして、離婚しようかなと思うけれども、踏みとどまってしまうという人がたくさんいるんです。そういう人たちが、この映画を観たときに、胸に落ちるんじゃないかって、そういう感想を持ちました。そして声がいいんですよね、ダイアン・レインさんの。笑い声、またそれがいいのね。とってもいいと思いました。なので、日本でも字幕で観るべきだなと思います。

司会:樹木さんはアンに対して共感するところはありましたか?

樹木:私はあの、えー、エレノアさんのように、夫に仕えていませんで、長いこと。(会場笑)50年近く別居していますので、何も苦労していません。ですから、共感するところはちょっとないかもしれません。

(写真=DAILY ANDS編集部)

司会:最後に、エレノア監督、ダイアン・レインさん、日本で映画を楽しみにされてい方にメッセージをお願いします。

エレノア監督:皆さの私の映画に対する興味、情熱を感じまして、感謝しています。大変素晴らしい記者会見でした。特に私の好きな日本でこの機会を持つことができうれしく思います。これまでも夫、娘の記者会見を何回も日本で傍聴していますが、私が主役で記者会見をするのは初めてでした。それも大変うれしいことでした。

ダイアン:先にこの映画に関心を持ってくださってありがとう、と伝えたいです。本当にエレノア監督のつくりあげた作品に対して誇らしく思っていますし、映画をご覧になるときは、結構最近よくつくられている、中毒性のある「アドレナリン的」な映画ではないので、ちょっとこうリラックスして、おなかもあごもゆるりとして、90分間、「あー、私もあそこに行きたいな」、そんな気持ちで楽しんでいただけるとうれしいです。

(写真=DAILY ANDS編集部)

映画『ボンジュール、アン』について

the photographer Eric Caro

映画『ボンジュール・アン』 公開:7月7日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー 配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES 仕事ばかりで家庭には無頓着な夫を持つ1人の女性が、子育ても落ち着きはじめ、人生の一区切りを迎えようとしていた頃、思いがけないパリへの旅を通して、自分自身を見つめ直し、人生の喜びや幸せを新たに発見することとなる。美味しい食事やワイン、コート・ダジュール地方の美しい景色や遺跡などギュッと詰まったフランスの魅力とともに、明日からの自分もちょっと楽しみになれる“心にも美味しい”、そんな初夏にぴったりの作品となっている。

DAILY ANDS編集部 「人生は投資の連続」をキーワードに、豊かな毎日を送るために役立つ情報を配信します。

(提供:DAILY ANDS

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