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レポートでご紹介した銘柄のパフォーマンス振り返り

直近のレポートでご紹介した銘柄のパフォーマンスは?

(写真=Thinkstock/GettyImages)

「銘柄フォーカス」では、一定のテーマに沿ったトピックをご紹介し、業績やバリュエーションをスクリーニングしてトピックに関連した銘柄をご紹介している。前回のレポートで過去9月に好調だった銘柄および不調だった銘柄の今年の9月のパフォーマンスをご紹介した。今回のレポートではその他の直近のレポートでご紹介した銘柄のパフォーマンスをご紹介したい。

まず、8月28日に掲載した「株価下落時に投資を検討したい業績好調の出遅れ銘柄は」である。当時は日経平均が1万9500円を割り込んでおり、予想PER等から判断すると日本株は割安な水準にあり打診買い(少しずつ買い下がっていくこと)をするのは良い水準ではないかという主旨のレポートだった。そして、業績が長期的に増収増益基調でさらに株価が市場対比で出遅れている銘柄をご紹介した。

具体的にご紹介したのは、カカクコム <2371> 、ぐるなび <2440> 、エービーシー・マート <2670> 、ユニゾホールディングス <3258> 、ソースネクスト <4344> 、ドンキホーテホールディングス <7532> 、三井不動産 <8801> の7銘柄である。レポートを掲載した8月28日と昨日10月5日の株価を比較した結果は以下のとおりであった。

7銘柄のすべてがプラスリターンを達成した。同期間の日経平均の騰落率を上回ったのが3銘柄、下回ったのが4銘柄で、7銘柄の平均リターンは6.3%と日経平均のリターンをやや上回った。まずまずの結果と言えるかもしれない。

続いて9月8日のレポート「急落のマザーズ市場動向 ~投資妙味がありそうな銘柄は~」である。このレポートの主旨はマザーズ指数が急落したことを受け、マザーズ指数のバリュエーションを検証、投資妙味がありそうな銘柄をご紹介することであった。増収増益基調にありながら、マザーズ市場の当時の平均PSR(株価売上高倍率)を下回る銘柄をご紹介した。

具体的にはエムビーエス <1401> 、AMBITION <3300> 、ビーロット <3452> 、パルマ <3461> 、エヌ・ティ・ティ・データ・イン <3850> 、コラボス <3908> 、日本動物高度医療センター <6039> 、レントラックス <6045> 、リンクバル <6046> 、ソネット・メディア・ネットワークス <6185> の10銘柄である。9月8日と10月5日の株価を比較した結果は表2のとおりである。

10銘柄中9銘柄がプラスリターンとなり、6銘柄が同期間のマザーズ指数のリターンを上回った。2割以上上昇した銘柄が4つあり、10銘柄の平均リターンはマザーズ指数の2倍近くとなっている。偶然によるところが大きいと考えるが、かなりの好結果と言えそうだ。

最後に、9月19日に掲載した「リーマン・ショック後に一番あがっている指数とは? ~好業績の割安銘柄をご紹介~」についても検証したい。本レポートでは、リーマン・ショック後に最も上昇している主要な国内株価指数が東証2部指数であること、現在の東証2部指数の特徴や好業績にも関わらず割高感のない銘柄などをご紹介した。

紹介した銘柄は、桧家ホールディングス <1413> 、大盛工業 <1844> 、コーセーアールイー <3246> 、ニチリン <5184> 、ノザワ <5237> 、エスティック <6161> 、カネミツ <7208> 、エリアクエスト <8912> 、日本社宅サービス <8945> 、アルプス物流 <9055> 、旭情報サービス <9799> の11銘柄である。9月19日と10月5日の株価を比較した結果は表3のとおりである。

11銘柄中プラスリターンが8銘柄、東証2部指数のリターンを上回ったのは5銘柄だった。桧家ホールディングスが10%超上昇の好リターンとなったことなどから、11銘柄の平均リターンは2.5%と東証2部指数を上回っている。こちらもまずまずの結果と考えられる。

直近3つのレポートでご紹介した銘柄の紹介時点と昨日時点を比較したリターンを集計した。3つのレポートでご紹介した銘柄の平均リターンは、いずれのレポートでも比較している株価指数のリターンを上回っており、筆者としては胸をなでおろしたというところである。ただ実際のところどのレポートもご紹介してから短期間しか経過しておらず、運・たまたまの要素が大きいと考えている。

筆者は以前にも記したように株価は企業の業績やバリュエーションと非常に大きく関係があり、業績がしっかりしているのにもかかわらず市場の評価が低い銘柄を狙うのが基本であると考えている。いずれのレポートにおいても、業績の伸びやバリュエーションを考慮してご紹介しているので、今回の結果にも少しは関係しているのかもしれない。今後も業績の伸び・割安なバリュエーションという視点で銘柄をご紹介し、適宜株価の推移もご紹介してまいりたいと考えている。ご参考いただければ幸いである。

益嶋 裕 マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部マネージャー

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【投資のヒント】上期に苦戦しながらも評価が高い銘柄は

先週末で2017年度の上期も終了となりました。その上期を振り返ると3月末に19,000円を小幅に下回る水準だった日経平均は地政学リスクが高まったことで4月中旬に18,000円台前半まで調整しましたが、持ち直すと6月には20,000円の大台を回復しました。

(写真=Thinkstock/GettyImages)

その後20,000円前後で揉み合った日経平均は9月に19,000円台前半まで下落する場面もありました。しかし、地政学リスクが後退したこともあって20,000円台を回復して9月末を迎えています。

こうしたなか今回は上期に苦戦しながらも評価が高い銘柄を取り上げてみました。具体的には上期の株価パフォーマンスがマイナスとなったTOPIX500採用銘柄のなかから強気(強気とやや強気の合計)の割合が6割以上のものをピックアップしています。

例えば上期に株価が1割以上下落した日立ハイテクノロジーズ <8036> や日本碍子 <5333> では強気評価の割合が7割超となっているほか、上期の株価がわずかにマイナスとなったセブン&アイ・ホールディングス <3382> では強気評価の割合が9割を上回っています。

金山敏之(かなやま・としゆき) マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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スペイン・カタルーニャ「独立」問題の今後のシナリオ

●カタルーニャ自治州の住民投票は、独立派が圧勝。一方、スペイン政府はこれを違憲として退けている。この混乱がユーロ、株、債券全ての上値を抑えている。

●独立は金融面で問題山積で、スペイン政府との交渉で穏便に収束するシナリオが合理的。但し、他地域での独立成功例もあり独立の気運が長期間燻る可能性は排除できず。

●仮に独立運動が続き、イタリアやスコットランドに影響が波及するとしても、足元の大混乱は沈静化の方向。リスクが波及するとしても、かなり先の話で、まずはECBの金融政策正常化が先行するだろう。ユーロ、欧州株、債券いずれも当面強気。

カタルーニャ州住民はスペインからの「独立」を選択

(写真=Thinkstock/GettyImages)

10月1日のスペイン・カタルーニャ自治州の住民投票では、独立賛成派が9割を占める大勝となった。州政府は週明けまでに独立宣言を行うべく動いている。一方、スペイン中央政府はこれを阻止すべく、自治権停止を示唆している。現地では依然デモ等の混乱が収まらない。

これらの動きを受け、スペインの株価は大きく下落し、欧州株も若干頭を抑えられている(図表1)。また、スペイン国債利回りは、ドイツなど欧州金融機関のリスクが懸念されていた2016年2月以来の1.7%台に上昇した(価格は下落、図表2)。ユーロも一時期の上昇が一服している(図表3)。

しかし、下記の通り、独立は金融面で相当な困難を伴う。このため、「独立」を宣言するとしても、実際には、独立を強行する以外の落としどころをスペイン政府と交渉するというシナリオが合理的だと思われる。

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2017年9月米国雇用統計プレビュー

DeepMacro の雇用統計事前予想は、市場予想の中央値を大きく上回るという。DeepMacroは「市場予想が押し下げられているのはハリケーンの影響だと思われるが、われわれのデータソースはそこまで大きな影響があるとは示していない。」と述べている。ISM製造業景況感指数にも言及し、彼らの見方を補強する材料だとしている。

(写真=Thinkstock/GettyImages)

これは僕が先日出したストラテジーレポート「雇用統計に賭けろ 2017」にとって非常にエンカレッジングな内容だ。今回、DeepMacroは雇用統計「予測」を活用したトレーディング戦略を紹介している。今回のように「予測」が市場予想中央値を上回っている場合、金利(先物)の売り、米ドルの買いを推奨するという。この点も僕の先日のレポートでの推奨と一致している。

但し、ひとつだけ違いを述べよう。DeepMacroはリサーチ会社だから、自社のリサーチに自信を持っている。彼らの「予測」が市場予想を上回っているためポジティブ・サプライズになる可能性が高いから、ドルにベットしようというものだ。すなわち「予測」(の精度)に賭けるものだ。

それに対して僕のアプローチは予想に賭けるものではない。僕も今回の雇用統計(NFP)はコンセンサスを上回ると思う(その理由はストラテジーレポートご参照)。だが、僕はそうした僕の「ドタ勘」に賭けることを推奨したりしない。今回の雇用統計イベントは予想が外れて悪い数字が出ても、ドルや株は売られないだろう。悪くてもハリケーンの影響で織り込み済みだからだ。よって、ダウンサイドがない(あるいは限定的な)有利な賭けとなる。僕の推奨は、こうした市場の織り込みによる「賭け率(オッズ)の歪み」を獲りにいく戦略である。

(以下、DeepMacroの見解)

われわれは、DeepMacroの雇用統計「予測」を活用したトレーディング戦略を紹介している。今回は、この戦略を今週金曜発表の雇用統計に当てはめて、説明してみよう。

今月のDeepMacroの雇用統計予測は市場予想の中央値(7.4万人増)を大きく上回っている。市場予想が押し下げられているのはハリケーンの影響だと思われるが、われわれのデータソースはそこまで大きな影響があるとは示していない。(これらのデータソースはDeepMacroの予測には取り入られていないが、10月2日発表のISM製造業指数の結果はわれわれの見方と一致している。)

今回のようにDeepMacro予測が市場予想中央値を上回っている場合、われわれの戦略では金利(先物)の売り、米ドルの買いを推奨している。もちろん、後述の通り、マクロ投資とは常にマルチファクター(複数のファクター)の性質を持っているものであり、投資家の方は、ポジションを取る前に、この情報とご自身の考えとを組み合わせて検討していただきたい。

われわれのデータソースは、月あたり100万件以上の新規求人と新規採用の情報をカバーしている。雇用統計に対する市場の反応を予想するためにこのデータセットを利用する根拠はシンプルなものだ。市場とは、ボトムアップの情報を集約して、金利や為替(米ドル)などについての見方(ビュー)を形成するメカニズムである。もし、われわれが膨大なボトムアップのデータソースを処理することができれば、市場がどのように反応するかを分散型の手法で再現することができるのである。

われわれの戦略の取引ルールはとてもシンプルだ。DeepMacro予測が市場のエコノミスト予想の中央値よりも高かった場合は金利先物の売り(そして米ドルの買い)である。(逆も然り)

株式に関しては、影響の仕方が時間とともに変化している。ポジティブ・サプライズだった場合、利益(earnings)にとっては良いが、金利を引き上げる傾向があるためだ。われわれは、約1年前までは金利の効果の方が強く、ポジティブ・サプライズは市場にとってはネガティブ、と見ていた。しかし最近では、利益の効果が強くなっており、ポジティブ・サプライズは市場にとってポジティブになってきている。Figure 5a と5bでは、DeepMacro予測が市場予想の中央値を上回った場合S&P500を売る、という戦略に基づいた結果を示している。

われわれは対象の資産にベージックで代表的なもの(米ドルと数カ国のG10、新興国の通貨ペア、金利先物、S&P500)を選んだ。過去最もパフォーマンスの良かった資産を選択的に選んだわけではない。われわれが明確にしておきたいのは、マクロ投資とは本質的にマルチファクターである、ということだ。したがって投資家の方は、リスクリワードレシオを改善させるべく、(この戦略以外の)他のファクターについても勘案し、そこで得た洞察も合わせてポートフォリオ構築に応用していただきたい。

Figure 5a と5bでDeepMacro戦略のパフォーマンス結果を紹介する。Figure 5aは、この戦略で5日間保有した場合の各資産のリターン(%)(棒グラフ)と各資産の合計リターン(線グラフ)を示している。ヒット比率(プラスのリターンとなった割合)は、個々の資産については50%から63%の間だが、合計では68%となった。これは、より多くの資産をもつことで、個々の資産がもつ固有のリスクが分散されたことを示しているだろう。これまでわれわれの戦略は良いパフォーマンスを見せているが、今年に関してはDeepMacro予測が基本的に市場予想を上回ってきた一方で、米ドルが軟調に推移してきているため、厳しい年となっている。

Figure 5bは、前述のDeepMacro戦略と、発表時のサプライズの内容に基づいた「サプライズ戦略」のパフォーマンス結果を比較したものだ。このサプライズ戦略では、発表前にNFPの正確な結果が分かっていて、かつこれに基づいて取引することができる、ということを前提としている(当然、実際は不可能だが)。この戦略ではNFPの結果がポジティブ・サプライズであった場合、金利の売り、米ドルの買いを行う。興味深いことに、この戦略のヒット比率(55%)は低く、トータルリターンもDeepMacro戦略より低かった。これは、われわれの「市場はミクロレベルでの変化を処理し、反応する」という主張を間接的に支持するものである。

広木隆(ひろき・たかし) マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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【投資のヒント】上値余地が大きそうな最高益更新予想銘柄は

3月決算企業の第1四半期決算発表も8月中旬に終わりましたが、日本経済新聞の集計によるとこの第1四半期は上場企業の約7割が増益を確保し、2割を超す経常増益となったようです。そしてこのように第1四半期が好調な決算となるなか最高益更新を予想する3月決算企業も少なからずみられます。

(写真=Thinkstock/GettyImages)

そこで今回は営業利益で最高益が見込まれる3月決算企業のなかから目標株価コンセンサスが株価を2割以上上回り、上値余地が大きそうな銘柄を取り上げてみました。

例えば日本水産 <1332> では目標株価コンセンサスが株価を5割近く上回るほか、雪印メグミルク <2270> や亀田製菓 <2220> 、ブイ・テクノロジー <7717> でも目標株価コンセンサスが株価を3割以上上回っています。

金山敏之(かなやま・としゆき) マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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【投資のヒント】上期に苦戦しながら下期に挽回が期待されている銘柄は

先週末で2017年度の上期も終了となりました。その上期を振り返ると3月末に19,000円を小幅に下回る水準だった日経平均は地政学リスクが高まったことで4月中旬に18,000円台前半まで調整しましたが、持ち直すと6月には20,000円の大台を回復しました。その後20,000円前後で揉み合った日経平均は9月に19,000円台前半まで下落する場面もありました。しかし、地政学リスクが後退したこともあって20,000円台を回復して9月末を迎えています。

(写真=Thinkstock/GettyImages)

こうしたなか昨日は上期に健闘しながら下期以降に一段の上昇が期待されている銘柄をリストアップしましたが、本日は上期こそ苦戦したものの下期以降に挽回が期待されている銘柄を取り上げてみました。具体的には上期の株価パフォーマンスがマイナスだったTOPIX500採用銘柄のなかから目標株価コンセンサスが9月末の株価を2割以上上回るものをピックアップしています。

例えば上期に株価が16%余り下落した日本碍子 <5333> ですが、目標株価コンセンサスは9月末の株価を26%余り上回っています。

金山敏之(かなやま・としゆき) マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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【ストラテジーレポート】雇用統計に賭けろ 2017

ウォーレン・バフェットの右腕と言われるチャーリー・マンガーは、「間違って価格付けされた賭け(ギャンブル)を探すこと。それが投資だ」と述べている。株価がその企業の長期的な成長性と同調していないのなら、ギャンブルでいうと賭け率が間違っているのと同じである。(デビッド・クラーク著『マンガーの投資術』)

(写真=Thinkstock/GettyImages)

同書によれば、マンガーは若い頃ポーカーをしながら投資の腕を磨いたという。勝算が低いときは手控え、自分に有利とみるや大きく賭ける戦略を学んだのはポーカーを通じてであったそうだ。その賭け方は、極めて理にかなっている。僕も以前から日本人初のプロ・ポーカー・プレーヤー、木原直哉氏の著書、『東大卒ポーカー王者が教える勝つための確率思考』という本で、その考え方を紹介してきた。「勝算」をはじく基準となるのが「期待値」である。木原さんのギャンブルの定義は、「期待値がマイナスなものにおカネを賭けること」だ。

マンガーの上記の言葉は投資に関して(だから当然、長期投資に関して)のものであるが、短期のトレーディングにも当てはまる。ジャック・D・シュワッガー著『新マーケットの魔術師』に登場する常勝トレーダー、ビクター・スペランチオも同じ意味のことを述べている。

「ギャンブルは、勝算がない時にリスクを取ることです。例えば、宝くじを買ったりスロット・マシーンなどはギャンブルです。トレーディングやポーカーで成功するには、ギャンブルではなく、投機が関連してくるのです。投機に成功するとは、勝算がある時にリスクを取るということです。ポーカーでは、どの手に賭けなければならないかを知らなければなりません。同様に、トレーディングでは、いつ勝算があるのかを知らなければならないのです」

いつ勝算があるのかを教えよう。「間違って価格付けされた賭け」のチャンスがやってきた。歪んだオッズのギャンブル、プラスの期待値の賭け、なんとでも言い換えられるが、要するに、勝算が高い賭けがある。リスクを取る時だ。

今週末に発表される米国の雇用統計は、ハリケーンの影響で雇用者数が伸び悩むと予想されている。低い数値が出れば相場にとって悪材料ではないか?そうではない。要は市場の織り込み度合いとの兼ね合いである。

今回はハリケーンの影響で「悪い数字」になるのは織り込み済み。だから、実際に「悪い数字」が出ても市場の反応は限られる。その「悪い数字」の範囲には、市場予想を下回る数字も含まれるだろう。そうすると、もともと弱い数字を見込んでいる市場予想通りの結果になる場合も、その市場予想をさらに下回る場合も、どちらにせよ「ハリケーンの影響だから仕方ないよね」で片づけられて、米国株やドルが売られる展開にはならないだろうと思われる。

ところが逆に、市場予想を上回る数字が出れば、「ハリケーンがあったのに強い」というポジティブ・サプライズとなってリスクオン地合いとなるだろう。

つまり、今度の米雇用統計は、アップサイドはあるがダウンサイドはないという、オッズが歪んだ「おいしい」賭けである。

3年半前の2014年2月7日に発表された同年1月の雇用統計ではノンファームペイロールは17万人増の予想に対して11万増と大幅に下振れた。しかし、もともと寒波の影響があることは織り込まれていた。「下振れは予想の範囲内」との認識が広がりNYダウ平均は165ドル高となったのだった。その直前に「雇用統計に賭けろ」というレポートを書いたが、今日ここで披露したのとまったく同じロジックに基づいての推奨だった。

月曜朝に配信している「今週のマーケット展望」ではこう述べた。 <良好な指標が追い風となって、米国株の史上最高値更新が続くだろう。特に注目は2日に発表される9月のISM製造業景況指数。8月は58.8と上昇し、2011年4月以来の高水準を記録した。フィラデルフィア連銀の製造業景況指数やシカゴPMIなど先行指標が軒並みポジティブ・サプライズとなっていることから製造業の景況感は改善しており、ISMもハリケーンの影響が軽微となる公算が高い。強い数字が出れば米金利上昇、ドル高円安となって日本株にも追い風となる>

想定通りの展開である。雇用統計も予想に反して堅調な数字となるのではないかと思う。

広木隆(ひろき・たかし) マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

【関連リンク】 ・米国の経済指標並びに株式市場の強さに牽引されて堅調な展開 但し、週後半には様子見ムードが強まりそう【新潮流2.0】 第34回 機械に負けない働き方第31回 ノーベル賞ウィークの見どころと重たい課題上期に健闘しながら下期も期待される銘柄は過去10年、10月に勝率9割の銘柄とは?

【投資のヒント】上期に健闘しながら下期も期待される銘柄は

先週末で2017年度の上期も終了となりました。その上期を振り返ると3月末に19,000円を小幅に下回る水準だった日経平均は地政学リスクが高まったことで4月中旬に18,000円台前半まで調整しましたが、持ち直すと6月には20,000円の大台を回復しました。その後20,000円前後で揉み合った日経平均は9月に19,000円台前半まで下落する場面もありました。しかし、地政学リスクが後退したこともあって20,000円台を回復して9月末を迎えています。

(写真=PIXTA)

こうしたなか今回は上期に健闘しながら下期以降に一段の上昇が期待されている銘柄を取り上げてみました。具体的にはTOPIX500採用銘柄のなかから上期に株価が1割以上上昇した銘柄で、目標株価コンセンサスが9月末の株価を1割以上上回るものをピックアップしています。

例えば上期に株価が13%余り上昇したソフトバンクグループ <9984> では目標株価コンセンサスが9月末の株価を3割以上上回るほか、株価が10%上昇したソニー <6758> でも目標株価コンセンサスが株価を2割以上上回っています。

金山敏之(かなやま・としゆき) マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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【投資のヒント】10月の魅力的な株主優待銘柄は 他の月にはない優待も

株式投資では株価の値上がりに関心が向かいやすいといえますが、株式投資には配当に加え、企業が様々な商品やサービスを株主にプレゼントする株主優待といった魅力もあります。

(写真=Thinkstock/GettyImages)

10月は決算が集中する3月や9月に比べ優待を実施している企業数で大きく見劣りします。それでも魅力的な優待を10月決算銘柄や4月決算銘柄のなかから幾つかみつけることができます。

10月の株主優待にはクオカードや自社製品、カタログギフトといった定番の制度もありますが、他の月ではあまりみかけない優待もあります。

例えばHIS <9603> の自社取扱旅行商品に利用できる優待券やハウステンボス入場割引券、全国の時間貸駐車場「タイムズ」などで利用できるパーク24 <4666> のタイムズチケットなどがあります。なお、取り上げた銘柄の権利付き最終売買日は10月26日です。

金山敏之(かなやま・としゆき) マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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米国の経済指標並びに株式市場の強さに牽引されて堅調な展開 但し、週後半には様子見ムードが強まりそう

名実ともに下半期入りとなる今週は、米国の経済指標並びに株式市場の強さに牽引されて堅調な展開を予想する。先週発表された米国の8月の耐久財受注は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.9%増と、市場予想の0.3%増を上回った。ハリケーンの影響にもかかわらず、米経済が基調的に底堅いことが示された。今週は月初に当たり重要経済指標の発表が目白押し。良好な指標が追い風となって、米国株の史上最高値更新が続くだろう。

(写真=Thinkstock/GettyImages)

特に注目は2日に発表される9月のISM製造業景況指数。8月は58.8と上昇し、2011年4月以来の高水準を記録した。フィラデルフィア連銀の製造業景況指数やシカゴPMIなど先行指標が軒並みポジティブ・サプライズとなっていることから製造業の景況感は改善しており、ISMもハリケーンの影響が軽微となる公算が高い。強い数字が出れば米金利上昇、ドル高円安となって日本株にも追い風となる。

日本では2日に日銀短観が発表される。大企業・製造業の業況判断DIは小幅改善が見込まれている。予想通りに改善すれば4四半期連続の改善となり、市場のセンチメントを明るくしよう。

こうした良好なファンダメンタルズを背景に今週の日本株相場は堅調だろう。日経平均は節目の20,500円を試す場面もあると思われる。但し、週後半には様子見ムードが強まりそうだ。金曜日は米国の雇用統計の発表を控え、週末は体育の日で3連休となる。連休明け10日は北朝鮮の朝鮮労働党の創立記念日であり軍事挑発行動が警戒される。

3連休を控えた週末金曜日は、当然のように手仕舞いやポジション整理が目立つと思いきや、意外とそうならなかったケースも多い。しかし今回はさすがに売買が手控えられそうだ。10日は衆院選の公示日である。小池氏が代表をつとめる新党を巡り、政界はドタバタ劇を演じているが、公示日直前の3連休中にどんな動きがあるかわからない。相場にとってのベストシナリオは与党勝利でアベノミクスの継続であることは間違いない。そのメインシナリオが怪しくなるようだと株式市場の堅調さも失われる。株価が高値圏にあるだけに3連休前に利益確定売りも出やすい状況だ。

ただ、海外投資家の買いが戻ってきているのが明るい材料だ。現物株の売り越しは9週連続だが、額は611億円と前週の4172億円から縮小した。先物は既に9月第2週に1兆2千億円強の買い越しに転じ、第3週も約9千億円の買い越しが続いた。9月末の配当に係る税金を巡って本国と日本のポジションの入れ替えという話もあるが、3月にはここまで大きな先物買い越しは見られなかった。海外勢が先物をこれほど大きく買い越したのは2014年11月第1週以来。前回の衆院選の約1か月前だ。衆院選とのタイミングも買い越し額も、符合しており、興味深い。

今週のレンジは20,100円~20,550円としたい。

広木隆(ひろき・たかし) マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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