女の霊

寝ていると何かが布団に入ってきた

 

2年くらい前の事。

 

当時、3年ほど同棲していた彼女がいたのだが、その彼女と新しくマンションを借りて引っ越した。

 

俺は霊感など無いし、霊や宇宙人すら信じていなかった。

 

ある日、寝室のベットで寝ていると、誰かが布団の中に入ってきた。

 

「ああ、彼女が来たんだな・・・」ぐらいにしか思わなかった。

 

ちなみに、当時の俺は水商売を経営していて、帰りは朝が当たり前だった。

 

そして、彼女は昼間の仕事をしていた。

 

それで“違和感”を感じた。

 

俺が寝ている時間、彼女は仕事に行っているはずだ、と。

ずっと恐怖は感じていた

目を開けると、ベッドには誰も居なかった。

 

もちろん彼女は仕事に行っていた。

 

「夢でも見たのか・・・」と思い、さほど気にはしていなかった。

 

またある日、寝ていると今度は犬がベットに入ってくる感じがした。

 

犬を飼っているので、「ああ、飼い犬が入って来たな・・・」と思っていた。

 

また”違和感”を感じた。

 

当時、犬部屋用に一部屋潰して使っていた。

 

犬部屋はレバーで開けるタイプのドアなので、犬が自ら開ける事は出来ない。

 

「彼女が入れたのか?」

 

いや、今日は彼女が仕事に行くのを見送っている。

 

目を開けると、やはり犬は居なかった。

 

酒も飲んでいたし、「変な夢でも見たんだ・・・」と言い聞かせていた。

 

それからは頻繁に、女と犬は現れるようになった。

 

目を瞑っているのに、なぜか”女”という感じは分かっていた。

 

顔はボヤけて分からないのだが、髪が長くて白い服を着ている。

 

布団に入らない時もあり、ただ俺のそばに立っている事もあった。

 

犬はいつもジャンプしてベットに入ってきて、俺の上に飛び乗る感じだった。

 

また、彼女が実際に横で寝ている時もあった。

 

女や犬に何かをされる訳ではない。

 

でも、ずっと恐怖は感じていた。

 

必死に、目を開けよう起きようとしても、出来ない事もあった。

 

わずかに動く手で、「彼女に起こしてくれ・・・」と頼んだこともあった。

 

が、声も出ないし、腕も彼女に少し触れる程度しか動かなかった。

 

なんとか必死に目を開けると、そこは何も変わらない寝室。

 

だけど、もう一度眠ると同じ事が起きる。

 

女か、犬が来る。

 

同時に来る時もある。

 

彼女には怖がらせない為に、「女や犬が入ってくる夢を見るんだ~」としか教えていなかった。

 

こんな現象が3日に一度、1日に四度も見る日もあった。

 

霊など全く信じていない俺でも、少し怖くなっていた。

 

ある日、俺が仕事に行っていた時に、彼女が友達を呼んだらしい。

 

その友達は自称霊感が強いらしく、うちのマンションの駐車場に着くなり、「うわっ!ここ酷いね。大丈夫?」なんて言っていたと聞いた。

 

霊など信じない俺は、「アホくさ」と言って笑っていたが・・・。

 

そんな現象が3ヶ月ほど続いていた頃、俺は仕事に行こうとシャワーを浴び、髪の毛を乾かしている時にインターホンが鳴った。

 

「こんな夜中(夜11時頃)の時間に誰だ?」と出てみると、警察だった。

 

話によると、下の階の住人が連絡が取れなくなり親が不動産屋に連絡を入れたところ、心配になり部屋に入ってみたら亡くなっていたそうだ。

 

女性の一人暮らしだったようで、「最後に見たのはいつか?」、「彼氏らしき男は見なかったか?」などを訊かれた。

 

俺は、「女が3ヶ月ほど前に犬を散歩させていたのを見たが・・・」という話を警察にしていた。

 

後から聞いた話によると、その女性は病死だったようで、他殺や自殺では無いという。

 

事件性も無かったので、新聞にも載らなかった。

 

それからしばらくして、なぜか女や犬を見なくなった。

 

よくある話で、「女が気付いて欲しかった・・・みたいな事かな?」なんて、怖がりながらも自己解決していた。

 

そして色々あり、5年に及ぶ同棲生活も破局し、俺は一人暮らしになった。

 

元彼女は新しい男と別のマンションで同棲を始めていた。

 

そんな頃、久し振りに元彼女から電話がかかって来た。

 

「あんたが見るって言ってた女や犬が入ってくる夢って、女は髪が長くて・・・服が・・・こんな感じじゃない?」みたいな事を訊いてきた。

 

俺が見たものと、ほぼ同じだった。

 

どうやら新しい男がそんな夢を見るらしい。

 

俺が見なくなったのは、良く考えると彼女と別れてからだった。

 

もしかしてあの女や犬は、下の住人の女性ではなく、元彼女に憑いていたのか?

 

それとも、元彼女に付いて行ったのかも知れない。

 

今では元彼女は結婚してしまい連絡も取らなくなったが、旦那はまだ夢を見ているのだろうか・・・。

 

(終)

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後ろの荷台に髪の長い女が

 

兄から聞いた高校時代の話です。

 

友人のKさんはその日、同じ部活の後輩と一緒に帰っていました。

 

時刻は夜の10時前。

 

田舎なので近くに家は無く、外灯の明かりしかない海岸線を、後輩の自転車の荷台を原付に乗るKさんが後ろから足で押す形で長い坂を登っていました。

 

“ソレ”に気付いたのは、バイクの後ろに重みを感じ、まるで誰かを乗せているような錯覚を感じたからです。

実は・・・

ミラーを覗くと、バイクの荷台に”髪の長い女”が俯いて座っていました。

 

洋服は所々に血が滲(にじ)んでおり、髪は乱れていたそうです。

 

女が今にも顔を上げそうな気がしたので、Kさんは慌ててミラーから視線を外しました。

 

「自分が女に気付いていることを悟られてはいけない!目を合せちゃいけない!」と思い、前だけを見て運転をしていました。

 

しかし、後ろから女がジッとこちらを見ているのが分かります。

 

しばらくはそのままミラーを絶対に見ないよう気を付けて走っていました。

 

ふと荷台から重みをが消え失せたので、Kさんは恐る恐るミラーを確認しました。

 

すると後ろの女は居なくなっており、一気に緊張が解けたKさんは、後輩に声をかけようと前を見た瞬間、凍りつきました。

 

後輩の自転車の荷台に、女が前を向いて座っていたのです。

 

後輩とは女が現れてから会話しておらず、何も気付いていない後輩を怖がらせてはいけないと思い、Kさんは女の存在を黙っていました。

 

そして、後輩の自転車を押している足を女からなるべく遠ざけ、前を見ないように走り続けました。

 

途中、女が振り返り、自分をジッと見ているのは分かりましたが、決して女を視界に入れませんでした。

 

女は坂を登り切ったところで消えたそうです。

 

そのまま無言で後輩を送り届け、その日は終わりました。

 

後日談

次の日、Kさんは昨日のことを全て後輩に打ち明けました。

 

怖がるかと思えば後輩は納得したように頷くと、「実は・・・」と語り始めたそうです。

 

実は、後輩も女の存在に気付いていたそうです。

 

途中、急に黙った先輩を不思議に思い振り返ると、先輩の後ろに髪の長い女が座っており、慌てて前を向きました。

 

しかし、気になったので何度か後ろを振り返っていると、先輩の後ろに座っていたはずの女が先輩の顔に付きそうな近さで凄い形相をして見ていました。

 

怖くなって、それ以降は後ろを振り返らず前だけを向いて走っていると、急に荷台が重くなり、微かに血の臭いがしたのであの女が来たのは分かったそうです。

 

しかし、女は後ろでブツブツと何か言っているようでしたが聞き取れず、しばらくすると重みが消えたそうです。

 

Kさんは後輩の話を聞き、女が自分に執着している気がして怖かったそうですが、何の心当たりもなく、以来ひとりでは帰らないよう気を付けていました。

 

その海岸線では何年か前に女性の身元不明の遺体が上がっており、この話を聞いて、彼女がまだ彷徨っているのかなと悲しくなりました。

 

(終)

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