洒落怖61‐90

北海道の某有名心霊スポットのトンネル

去年のお盆休みに、北海道の某有名心霊スポットのトンネルに友達と連れ立って行った時の話。ちなみに、マジ話なので、どこのトンネル?とか聞かないで欲しい。行って欲しくない。行って欲しくない理由は、後述しますです。で、男二人(俺含む)と女二人のバカ四人組が、某トンネルに向った。ツレの男の自慢のプラドで、トンネルの入り口へ到着。時刻は22時を少し過ぎた頃。廃トンネルの中は真っ暗で、かなりインパクトがある。車に乗ったままそろそろと奥へ進む。キャアキャア騒ぐ女ども。で、しばらく進むと「アレ、行き止まりだ・・・」とツレ。正面には金網がある。Uターンできる幅はない。やむをえない、バックで引き返すか・・・と、ギアをバックに入れたとたん、なにかゴクンとイヤな音がして、エンジンが切れた。ヘッドランプも見事に消灯。いきなり俺たちは闇の中に放置されることとなった。まじで?なんで?女性陣は卒倒寸前。男もガクブル。そして、「ん~~~~~~~~~~~~~~~~~」と、いずこからともなく不気味なハミングのような音が確かに聞こえたその時、突然、車がガクガク揺れだした。あのエクソシストのベッドみたいに。まるで誰かがボンネットの上に乗って揺らしているように。これはえらいことになった。あわてて車から飛び出す俺たち。ガクンガクン、と狂ったように揺れるRV。ツレの女は、ひとりが腰を抜かしている。もうひとりは、揺れる車を見てその場で気絶。無理もない。もうだめだ・・・そう思ったその時、「おい、そこでなにしてる?」後ろから声をかけられて、飛び上がらんばかりに驚いた俺たち。背後には男が二人。懐中電灯でこちらを照らしている。トンネルの入り口で赤色灯が回っている。警察・・・!助かった!?制服姿の警官が、今もガクンガクンと揺れるプラドを懐中電灯で照らす。もうひとり、こちらはスーツ姿の刑事(?)さんがそれを見て、「ああ、わかった。オーケーオーケー。任せとけ。おまえら入り口まで走れるか?」と言った。「あの、その、女のほうが、気絶・・・」と、しどろもどろのツレが言い終わるよりはやく、刑事さんは気絶女の背後に回り、「ふっ!」と気合を込めて背中を押す。まるで映画のように女が息を吹き返した。そして、刑事さんはひょいと腰が抜けた女を小脇に抱え、「出るぞ」と言って入り口に向ってすたすたと歩き出した。背後ではまだプラドがガクガク揺れていた。トンネルを抜けて、パトカーそばにへたり込む俺たち。「おい、先にこいつら連れていって、署で休ませとけよ」と刑事さんが若い制服のお巡りさんに言う。北海道の田舎に似つかわしくない、ピンストライプの黒スーツを着込んだ刑事さんは、やたら身長が高く、ちょっと阿部寛みたいな感じだった。「どうせ、車(パトカー)5人乗りだしな。おまえの車、まだキー挿しっぱなしなんだろう?取ってきて後で届けてやるよ」すいません、すいません、と何度も礼を言う俺たち。「あれは妖怪みたいなモンで、霊感?のあるようなやつらは、よくここで悪戯されるのさ。 つるっぱげのじいさんみたいな顔した子供くらいのヤツだったろ。見たのか?」見てはいない。見なくてよかった。「まあ、泥棒やらなんやらだけじゃなく、必要があれば他にもいろいろなモンから市民を守らなきゃならんのさ。警察ってのは」俺たちは制服のお巡りさんに連れられて、近くの交番で休ませてもらった。夏だというのに、ミルクたっぷりのホットコーヒーが美味しかった。ほどなくして刑事さんがツレのプラドに乗って帰ってきた。ツレにキーを放りながら、「もう行くんじゃないよ。あそこは、地元の馬鹿ガキでもびびって行かないんだからさ」と注意してくれた。本当に心から何度も何度もお礼を言った。ていうか、メチャクチャ格好良かった。あそこはマジモンのスポットだから、俺もここで紹介したいのはヤマヤマ。でも、あの刑事さんに迷惑がかかるといけないので、場所は言えない。絶対。

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すぐ近くの家に住むオヤジ。

すぐ近くの家に住むオヤジ。20年位前は、よその子供のしつけにも厳しい、ちょっと怖いオヤジだった。最近は子供が少なくて、オヤジに怒られる子供はいなくなった。オヤジがだんだんヤバい癇癪を起こすようになってきて、親が子供を近寄らせなくなっているせいもある。しかし、オヤジの癇癪は、付近住民に向けられるようになった。自分の家の庭を近所の飼いネコが通ると、猫罠設置。犬を飼っている家に、「吠え声がうるさい」と執拗に抗議。他家の敷地に侵入して、猫よけシート設置etc。勝手に近所の連盟という事にして、怪文書をポストに入れたり、だんだん嫌がらせになってきている。何をやっているのか知らないが異臭がしたり、庭でゴミを燃やしたりと、迷惑行為も多い。本人は自治体のモラルを守る為と言っているので、警察は「行き過ぎた正義感」としてたしなめる程度。そのオヤジがここ半年、窓からずっと我が家を監視している。

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レンゲ畑

父方の実家での昔の話。俺がまだ5歳の時のことで、その頃はなんでそういうことが起きたかわからなかったが、いま考えると、その訳が分かるような気がする話。父方の郷里は和歌山県。内陸の方で海は無かったが、周囲は田んぼが多く、春になるとレンゲの花が咲き乱れる、素晴らしい所だった。父の夏休みを利用して、父も久方ぶりに帰郷したのだと思う。息子に故郷を見せてあげたかったんだろう。折しも季節は春で、レンゲ草が田んぼ一面に広がっていた。写真もあるが、ここでの記憶はいまでもありありと心に再現出来るぐらい、幼心にとって天国のような記憶だった。ただ一つだけ、当時は納得いかなかったことを除いては。一面のレンゲ畑で、父方の伯父と叔母、従姉妹と4人で、夢中で花を摘んだ。従姉妹は手先が器用だったので、花輪を作ってくれたり腕輪を作ってくれたりと、2人で大はしゃぎだった。その内、俺は広いレンゲ畑を真ん中の方まで、花を摘み摘み歩き回っていた。レンゲの花の蜜は甘いことも知った。遠くに伯父叔母、従姉妹が見える場所まで来て、流石にちょっと遠くまで来てしまった。と思った俺は、戻ろうと両手一杯のレンゲ草を抱えて、元来た道を引き返していこうとした。ふと背後に目をやると、そこにさっきまでは居なかった筈の人が居た。詳細までは覚えていないが、青のワンピースを着た女性だった。「僕?その花お姉さんにくれるかな?」そう問いかけられた。俺は両手一杯のレンゲのうち、半分だけその女性にあげたと記憶している。やはりこれだけ摘んだのだから、全部は惜しかったのだろう。女性は「ありがとう。僕は一人かな?」と俺に尋ねた。首を縦に振って、一人だということをアピール。正直な話、お姉さんが奇麗だったので、ませガキの俺は、その頃からこんな調子だった。お姉さんは俺がどこから来たのか、とかいくつだ、とかいろいろな事を質問した。お姉さんも手先が器用で、花輪とかネックレスだとかを作ってくれた。少し奇妙だったのは、お姉さんの匂いが、土のような湿った匂いがしていたこと。子供心に変だと思った。「あっちへ行こうか?」お姉さんは田んぼの真ん中にある、ちょっとした木立を指差して俺を促した。もちろん、俺はウェルカムだった。お姉さんは俺の手をぐいと掴んで、さっきとは違う力を込めた感じで俺の手を引いて行った。お姉さんの豹変ぶりに、俺は驚いたんだろう。その手を振りほどこうと、手を上下に振った。しかし、俺を引っ張る力はますます強くなり、ずんずんと田んぼの木立に向かってお姉さんは進もうとする。「おじさんにきいてからにするからはなして」と、俺はお願いをした。お姉さんは最初は聞いてくれなかったが、何回か訴えるとしぶしぶ手を離し、俺を解放してくれた。俺は伯父さんのいる土手へと走って行った。レンゲを蹴散らし、少し怖かったので急いで走って行った。伯父さん叔母さんに、いまあった事の顛末を子供言葉で話すと、伯父叔母は「家に戻ろう」と言った。俺と従姉妹は遊び足りないので最初はぐずったが、伯父叔母の様子が真剣なので仕方なく家へ戻った。伯父は従姉妹にプリンを与え、俺の手を引いてまた外に出た。叔父と一緒に田んぼのあぜ道を歩いた。そういえば、お姉さんは見当たらなかった。どこにいったんだろう?そう思いながら、伯父に手を引かれるままにあぜ道を歩いた。向かう先は、さっきの木立だった。木立の正体は墓地だった。田舎によくある二~三の墓地が固まっているような、そんな感じの墓地だった。伯父はどこから出したのか線香に火をつけ、墓に供えて手を合わせた。俺も一緒になって手を合わせた。見ると、墓の周りはレンゲで一杯だった。ひときわ大きなレンゲの塊と花輪が、地面に半分埋まっていた「K、あのお姉さんは人じゃねんだ。お化けだ。お前、連れてかれるとこだったんだぞ」伯父はそう俺に話すと、「レンゲ遊びはもう今日はやめだ。家でおいしいご飯を食べよう」と、また元来たあぜ道を、俺の手を引いて家へ帰って行った。「お化けだったの?あのお姉さん?」と道すがら伯父に聞いたが、伯父は煙草を呑みながら、何も答えてくれなかった。その日の晩ご飯は、父も驚くぐらい御馳走だった。夢中でたくさん食べて、腹一杯で寝た。多分いま思うに、御馳走でその日の事を忘れさせようとしたんだと思う。夢の中に、あのお姉さんが出てきた。ひどく残念そうな顔のお姉さんは、「またね」と夢の中で俺に話しかけてきた。次の日は、レンゲ遊びはしなかった。代わりに、伯父が海へ連れて行ってくれた。死ぬほど洒落恐じゃないかもしれないけど、不思議で、いま思うとちょっと物悲しい子供の時の思い出話でした。結局それ以降、レンゲ畑で遊んだ事は無かったです。いまではマンションが建って、レンゲ畑は見る影も無いそうですが、お墓はまだあるという事です。

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関東の某所にある寮付の研修センター

私が警備員のバイトをしていた時の話です。転属先はとあるホテルで、夜間の勤務シフトは二人でやってました。そこで警備会社のNさんと知り合ったんですが、そのNさんが体験した話です。数年前、ある家電メーカーで働いていたNさんは、リストラされそうでした。そして出向先の子会社から、体よく研修所に追われたそうです。関東の某所にある寮付の研修センターでは、メーカーのリストラ対象者が集められ、PCのスキルアップを強いられました。講習と技術検定、資格取得のハードスケジュールで、それをクリアした者だけが新たな勤務先に送られたそうです。 Nさんはついてゆけず、かといって退職する勇気もなく、精神的に追い込まれた状態でした。それでも土日研修所に残って、資格試験の勉強に励んでいたと言います。管理人は別棟で生活していて、寮にはNさんただ一人。夜も更け、もうそろそろ寝ようかと思い、建物の端にあるトイレへ。日々のプレッシャーのせいで腹下し気味だったNさんは、溜息をつきながら便座に腰掛けました。しーんと静まり返った清潔なトイレ。ウォッシュレットのボタンを押して、ささやかな気休めに浸っていると、トン、トン、トン。誰かがドアをノックしたそうです。 Nさんは咄嗟に管理人のおじさんかと思い、「入ってます」と声をかけました。するとドアの向こうから、明らかに管理人ではない誰かが話しかけてきたそうです。「山○○雄さんですか?」抑揚のない、少し甲高い感じの声がしました。「い、いや、違います」Nさんは動転しながらも、そう答えました。すると矢継ぎ早に、「田○○郎さんですか?」Nさんは思わずドアノブを固く握り締めていたそうです。なぜなら、扉の向こうに人の気配がなかったからです。 「○村○明さんですか?」(この名前はすべて仮名です。Nさんはパニック状態で、ある一人の名前以外、全然覚えていないとのことです)「M○Tさんですか?」ドア越しに初めて聞き覚えのある名前が告げられました。「あんた、いったい誰なんだっ!」Nさんは恐怖に呑まれまいと、怒鳴り声をあげたそうです。「死神です」そののっぺりした声を掻き消すように、Nさんはうなり声をあげながらドアを蹴って外に出ました。 「そしたらさ、トイレには、誰もいなかったんだよ」「それって質の悪い肩たたきみたいなもんですかねえ」私は一人でトイレに行くことを想像して、皮肉めいた口調で聞きました。「どうだろうね」Nさんは感慨深げに遠い目をして言いました。「M・Tは本社勤めしてた時の上司でね、あの一年前、自殺したんだよ」私は朝までトイレを我慢しました。 

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父親が不在気味の家庭だった

母親に聞いた話。オレが赤ん坊の頃、家は仕事の関係で父親が不在気味の家庭だった。オレと母親だけで留守番することが多かったのだが、夜に母親がオレを寝かしつけて風呂に入ろうと傍を離れると、火が点いたようにオレが泣き出したらしい。尋常ではない泣き方に何事かと風呂を飛び出て来るが、母親が傍に来ると泣き止んだらしい。そんなある日の夜。その日は父親も家に居たのでのんびりと風呂に入って、玄関の前を通りかかると、誰かが扉の前で呟いている。さすがに気味が悪くて父親を呼んで外を見るように頼むが、父親は声も聞こえないし、外にも誰もいなかったと言って、それ以降相手にしてくれなくなった。そんな感じで数ヶ月経過。相も変わらずオレはひとりにすると火が点いたように泣くし、夜に玄関前を通ると誰かが呟いている声がする状況が続いていたが、母親が近所の井戸端会議に参加していたときに、家の隣の住民が大慌てで登場。心霊写真が撮れたらしい。実物の写真を見せられたらしいが、小学生くらいの娘さんの後ろに髪の長い女が立っている。周囲は大騒ぎで、母親も生きた心地がせずに心底怯えてたんだと。数日後に、件の隣家の娘さん急死。心霊写真の件もあり色々と噂がたったのだが、その隣家の家は、住人が変わる度にお祓いが入る曰くつきの家だった事もこの時に判明したそうな。実際に隣家は娘さんの急死後に引越していったが、お祓いが来たんだって。今なら育児ノイローゼから来る幻聴と偶然が重なっただけではないかと思ったりもするけど、(真贋は別として)心霊写真を見たのも事実だし、隣家の娘さんがその後に急死し、お祓いが来たのも事実。オレが夜に尋常ではない泣き方をしていたのも考え合わせると、「もし少し間違っていたら、隣家に出た女の霊はこちらにも来てたのかも・・・」と、普段から冗談は滅多に言わない母親が話すのを聞いてゾッとした。

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父親が不在気味の家庭だった

母親に聞いた話。オレが赤ん坊の頃、家は仕事の関係で父親が不在気味の家庭だった。オレと母親だけで留守番することが多かったのだが、夜に母親がオレを寝かしつけて風呂に入ろうと傍を離れると、火が点いたようにオレが泣き出したらしい。尋常ではない泣き方に何事かと風呂を飛び出て来るが、母親が傍に来ると泣き止んだらしい。そんなある日の夜。その日は父親も家に居たのでのんびりと風呂に入って、玄関の前を通りかかると、誰かが扉の前で呟いている。さすがに気味が悪くて父親を呼んで外を見るように頼むが、父親は声も聞こえないし、外にも誰もいなかったと言って、それ以降相手にしてくれなくなった。そんな感じで数ヶ月経過。相も変わらずオレはひとりにすると火が点いたように泣くし、夜に玄関前を通ると誰かが呟いている声がする状況が続いていたが、母親が近所の井戸端会議に参加していたときに、家の隣の住民が大慌てで登場。心霊写真が撮れたらしい。実物の写真を見せられたらしいが、小学生くらいの娘さんの後ろに髪の長い女が立っている。周囲は大騒ぎで、母親も生きた心地がせずに心底怯えてたんだと。数日後に、件の隣家の娘さん急死。心霊写真の件もあり色々と噂がたったのだが、その隣家の家は、住人が変わる度にお祓いが入る曰くつきの家だった事もこの時に判明したそうな。実際に隣家は娘さんの急死後に引越していったが、お祓いが来たんだって。今なら育児ノイローゼから来る幻聴と偶然が重なっただけではないかと思ったりもするけど、(真贋は別として)心霊写真を見たのも事実だし、隣家の娘さんがその後に急死し、お祓いが来たのも事実。オレが夜に尋常ではない泣き方をしていたのも考え合わせると、「もし少し間違っていたら、隣家に出た女の霊はこちらにも来てたのかも・・・」と、普段から冗談は滅多に言わない母親が話すのを聞いてゾッとした。

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飛び降りる遊び

私が十数年前、下○市に住んでいた頃の出来事です。当時、新聞配達のバイトをしていたのですが、一軒だけとても嫌なお客さんがおりました。なぜかと言うと、通常の配達順路を大きく外れている上、鬱蒼とした森の中の長い坂道の突き当たりにある、3方を塀に囲まれた家で、しかもそこの配達時間は午前3時位でしたので、いつも暗く不気味な雰囲気がとても怖かったのです。8月のある日、いつものように嫌だなあと思いながらその家へ配達に行くと、小さな男の子が塀の上に乗って遊んでいます。こんな時間になぜ?と思いましたが、塀の高さは1m程でしたし、家の窓からは明かりがもれていたので、きっと夏休みだし、どこか出かけるんだろう。親御さんの出かける準備がまだできず、外で遊びながら待ってるのかな。ちょっと危ない気もしましたが、早い時間に家族で出かけるのは、私の小さい時もわくわくしたっけなあ。懐かしいなあなどと気楽に考えていました。その男の子は幼稚園年長位で、塀の上に立っては向こう側に飛び降りて、又上ってきて…というのを淡々と繰り返していました。 その日はそれで何事も無く配達し終えたのですが、次の日、その次の日も、その男の子は塀の上に立っては、向こう側へ飛び降りる遊びをずっとしているのです。4日目になるとさすがに、「ねえ、こんな時間に何してるのかな?危ないよ。お父さん、お母さんは?」と、塀に立った時に声を掛けてみました。すると男の子は、無言でいつものように向こう側へ飛び降りました。「あっ!!!」男の子が飛び降りた塀の向こう側を見て、死ぬほど驚きました。なんと、こちら側からは1m程のただの塀ですが、向こう側は崖になっていて、しかも下の方から「ザザー」と波のような音が聞こえてきます。高さも暗くて良く見えませんでしたが、軽く10mはありそうです。もちろん男の子は影も形もありません。振り返ると、今まで点いていた家の明かりも消えて、真っ暗になっていました。私は恐ろしくなって、無我夢中で逃げ帰りました。 販売店に着いて、所長にそのことを話すと、所長「お前どこに配ってるんだ?そこはうちの配達区域じゃないじゃないか!」私「えっ、でも順路表にはちゃんと」と、配達に使う順路表を見てみると、確かにあったはずのその家の項目は空欄になっていました。「もう良いから、とりあえず今日は帰れ」所長に言われて、その日はそのまま帰宅しました。家に帰ってからもどうしても納得がいかず、怖かったのですが、明るくなってからならと思い、お昼頃その家に行ってみました。明るいうちに行ってみてもなんか不気味なその家は、表札も無く、庭には雑草が生い茂っていて、窓ガラスも所々割れていて、とても人が住んでるようには見えませんでした。例の塀の向こう側を覗いて見ると、崖になっていて、高さ10mは確実にありそうでした。下は岩場で波が叩きつけています。やはり海でした。よくよく見ても、子供がつかまれそうな場所はどこにもありません。ふと、真下の岩場に白いものがあるのに気が付きました。白い花の花束と、それを囲むように私の配った新聞が岩場に散乱していました。

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お札等の印刷業

私、ちょっと変わった印刷屋をやってまして、仕事でお札等を印刷することがよくあります。(普通の印刷もやっていますが)そのため、よく真っ新のお札を持ち歩いていたりするのですが、ときどきホテルに泊まったときなんかに、つい悪戯で、絵の裏とかにこっそり貼ってしまったりすることがあります。泊まった部屋で絵をひっくり返してみて、妙に真新しいお札が貼ってあって、怖い思いした人はごめんなさいね。ほんの出来心です。そうした悪戯で、個人的に一番怖い思いをしたのは、近年、人気のある温泉観光地に行ったときのことですね。ホテルから帰ってきたすぐ次の日に、ホテルから電話がかかってきました。どうやら悪戯がばれたらしく、「勝手にお札が貼り付けてあるがどういうことか」と厳しく問いただされたことですね。「いやな感じがしたので、お守りのために貼ったまま忘れてました」と適当にごまかせましたが、さすがにああいうイメージを大切にするところは、管理を徹底しているものですね。少しでも悪評の立つようなことがないよう、細心の注意をしています。支配人の方の口調の豹変ぶりは、本当に恐ろしかったです。2番目に怖かったのは、これは仕事関係で、ある地方都市のビジネスホテルに泊まったときの話です。そこはビジネスとはいえ、観光名所にもなっている地方都市にありがちな、結構グレードの高いところで、普通のグレードの部屋だったのですが、それでも飾ってある絵なんかもどことなく品のある、大変に落ち着いた感じのところでした。その日は、ちょっと商談がうまくまとまらずに、いらいらしていました。部屋に帰って来るなり、何か悪戯してやれ、という気分で、いつものように(笑)、額を外して、その裏にやたら滅多に結構な枚数のお札を、ベタベタと貼り付けてしまいました。その後、一旦、食事を取りに外に出て、部屋に戻ってからは一人で酒盛りをして寝ました。すると寝床の中で少し気分が悪くなってきまして、どうも寝付きが悪かったのを、不思議とよく覚えています。まあ、これは単純に酒のせいなわけですが。で、そうこうしながら、何となく眠り込んでいたわけです。気が付くと、暗闇の中、何か非常ベルのようなものが耳元で、大変けたたましく鳴り響いていることが分かりました。私は最初それが目覚まし時計かと思って、必死に止めようとしたのですが、体が重くて全然動かないのです。そうこう悪戦苦闘しているうちに、ふと目が覚めまして、今までのが夢だったと分かったのです。何でそんな夢を見たのか、すぐに分かりました。枕元で電話が鳴り響いているのです。周囲はまだ真っ暗ですし、さすがにギョッとしましたが、取りあえず出てみようと思って受話器に手をかけた瞬間、電話は切れてしまいました。まあ、夜中に電話が鳴っていたことは少し怖い気もしましたが、まだ眠かったですし、モーニングコールの設定ミスか何かだろうと、気にせずまた布団に入りました。ウトウトとしてきた頃です。突然、ピーンポーン!と、来訪者を告げる呼び鈴の音が部屋に鳴り渡ったのです。さすがにこれには、一度に眠気が吹き飛ばしました。私が呆然としていると、すぐさま、ピーンポーン!ピーンポーン!と、呼び鈴が続けざまに何度も押されました。ただ、最初は私も唖然としてしまったのですが、すぐにドアの外で「お客様!お客様!」と呼びかけている声に気付きました。少し安心してドアの方に行き、「今、開けます」と返事をしたところ、呼び鈴の音は止まり、相手はドアの外で待っている様子です。開けるかどうか、やや躊躇をしたのですが、チェーンをかけて扉を少しだけ開きました。そこには見える範囲だけで、ホテルの従業員らしき人が3人ほど立っている様子でした。私が不審に思い、「何でしょうか!?」と尋ねると、彼らは申し訳なさそうに、理由も告げずに、「部屋に入らせて欲しい」と言います。私が理由を尋ねると、ただ「不審な通報を受けたので、念のため確認したい」とだけ言います。私は少々腹は立ちましたが、向こうにはどうやら警備員らしき人もいるようなので、一方的に断って不審に思われるのも面倒なので、とりあえず彼らを中に入れることにしました。彼らは私の部屋に入って、しばらく浴室等を見回した後、非常に申し訳なさそうに確認が完了した旨とお詫びを告げ、部屋を去ろうとしました。私は改めて先ほどの従業員に理由を尋ねたところ、次のように話してくれました。「大変不思議なことなんですが、実は30分ほど前、お客様の部屋からフロントに電話がありまして、 『部屋に宿泊している人間に閉じこめられてしまった』とだけ言って切れてしまったのです。 そこで、何度かお部屋に電話したのですが、お客様が出られないようでしたので、お伺させて頂いた次第です」私ははたして、良いことをしたのでしょうかねぇ・・・。

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うるさい

2年前の話。今もいる所なんですが、木造の小さいアパートの2階に住んでいて、部屋は8畳一間で、中から見て玄関の左にトイレ、右に台所がある、よくあるタイプの貧乏畳部屋。その日はとても暑く、真っ昼間からバイトも辞めて部屋でマターリしていたら、玄関の方から「○○さん」と小さな女の声がした。また宗教か…って思いながら、「はぁい」ってだるそうに振り返って玄関を見ると、台所のすぐ上の小窓からこっちを見てる、痩せた年配の女がいた。「あのぉ~そこから覗かないでもらえます?今玄関開け『うるさいので』・・・!」おれがしゃべってる最中に割って「うるさい」と言われ、半分体を起こした状態で少し驚いて固まってしまった。「下のヨシノ(少し偽名ね)ですが床がキシム音がうるさいので、静かに歩いてください」そう言うとこっちの返答も聞かずに、さっさと下へ降りて行った。もちろん小腹はたったが、同時に少し違和感を感じてた。そこで気になった事が2つ。おれは神経質で、部屋の中を歩く時は隣人に気を使い、常につま先歩き。下に音なんてまず聞こえっこない事。もう1つが、下に人は住んでいない事。 何はともあれ、怒りを押さえる為に床を一蹴りかまし、その日はのんびり家で過ごした。そして翌日。あまりの暑さに目がさめた。とりあえずテレビをつけた。「○○さん」…あの声だ。見ると小窓から、首から上だけを覗かせた『ヨシノ』がいた。落武者の生首を思わせる、目覚めには最悪の絵ずらだった。「音がうるさいので小さくしてください」「音!?」体をゆっくり起こすと、またすぐさま消えた。テレビの音がうるさい?…疑問に思った。テレビをつけてたった1~2分。しかも深夜にテレビを見てた為に、ボリュームは限りなく小さい。すると、どこからか音が聞こえる。うちじゃない。隣かと思ったが違う。外に出てみると、下からテレビの大音量が聞こえる。「ヨシノ」の部屋からだった。え?ドンドン「すいませーん。こっちこそうるさいんですがー」・・・出てこない。自分でうるさくして・・・何故おれが?もーなんだかわけわからんかった。部屋に戻り、頭をかかえて悩みながら、また知らずの内に寝てしまった・・・『うるさい!!!』 !!ビクッとおれは飛び起きた。呆然としてる中、下へ降りる鉄階段のガンガンした音が響いてる。何が起きたのか理解も出来ず、ふと時計を見ると夜中の1時。「なんだよぉ~今の音はぁ・・・?」時間がたつにつれ、昼間のあの声だと理解した。「あのDQNいいかげんにしろよ・・・」A型のおれは、朝まで待って下の部屋に行った。そこでまず外側にまわってみたら、洗濯物が干してあった。「いつの間に人が入ってたんだな・・・」と、疑問を一つ解決できた。雨ざんぶりにも関わらず、洗濯物を干しているのは少し気になったが。ドンドンッ「すいませんヨシノさん!上の○○ですけど!」・・・ドンドンッ「いるんだろーが!」・・・反応がない。カギも閉まってる。とりあえず雨もチパチパ飛んでくるし周りにも迷惑なので、撤退することにした。そして雨がざんざん降る中、昨日とほぼ同時刻。ドン!ガンガンガン何かが木製のドアにぶつかった音と、急いで降りる階段の音。まさかと思い、速攻で玄関に走った。ガチャ誰もいない。ただ、ドアに濡れた紙切れが貼ってあるだけだった。鉛筆で書いた汚い走り書きの文字で、『うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい死ね死ね死ね死ね死ね死ね』あら失礼な!そらもーブチギレですよ。ドガドガドガッ「おらぁ!出てこいよ!!直で言えよおめぇはよぉ!!」その瞬間ドアが勢いよく開き、中から中年の男が飛出すなり、おれに叫びながら襲いかかって来た。「お前がぁーーうるさいからぁーー!!!」おれは肩を掴まれ、後ろにあったチャリンコに激しく押付けられた。すると周りの住人がやっと出て来て、この中年DQNを取り押えた・・・都合よく警察も登場し、ドラマさながらに雨の中DQNは消えて行った。おれも事情聴取で消えてった。隣人のねーちゃんが通報したらしい。 翌日、不動産がオレの部屋をチェックしに来た。下の部屋にもれる音を調べに来たらしい。不動「やっぱり音に問題ないなー」やっぱって?俺「って言うか、あの下のやつはどうしちゃったんですかね?」不動「あーこっちにも10分に一回は苦情があって、大変だったよ」俺「え?なんで連絡くれなかったんすか?」不動「ん~・・・なんかね、物が壊れるぐらいの騒音で眠れないって。ありえないでしょ? でも、連絡ぐらい入れるべきだったね。ごめんね」俺「そー言えば、ばぁさんは一緒に署に行ってるんですか?てかあれ母親?」不動「母親?○○さんは1人だよ。茨城から単身で出て来たみたいね」ゾクッとした。俺「いや…ってか下の人、『ヨシノ』って人ですよね?」不動「?いや、○○さんだけど…なんで?」グワッっと全身に鳥肌が立ち、耳鳴りがした。この後、もちろん王道の賃貸前歴を聞いたが、仲の良い知人からの紹介でもあったし、それはないと言う事でした。以上。長々失礼でした。あんまり怖くなくてすまん。ただ、名前を聞いた時ほんとにきつかった。あれ以来小窓は閉めたまま。でも、あんなはっきりくっきり見える物なのか?では。

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何もいらない

私が小6、弟が小5の頃のことです。私はある日、友達AとBに、空き家に入って遊ぼうと誘われた。怖いもの見たさもあって、当時頼りにしていたしっかり者の弟を誘ったが、何故か行きたがらなかった。でも、「私に何かあったらどうする?お姉ちゃんがいなくなってもいいの?」と意味のわからない事を言って、強引に連れて行った。空き家の様子はあまりよく覚えていないが、普通の空き家だったと思う。荒れ果てた様子のない、本当に普通の家だった。「こんにちはー」と言いながら、AとBがすんなり玄関に入り、その後ろを私と弟がついていった。奥に階段が見えた時、突然「ダメ」と言って弟が私の服を引っ張った。「なん?」と振り返った瞬間、ドシン!と大きな振動が足に伝わってきて、私は驚いて、全身を針で刺されたような恐怖に襲われた。続いてもう一度ガシャン!という大きな音がしたが、振り返る間もなく、弟に玄関から外に押し出された私は、恐怖で身体が硬直して、門の所でしゃがみこんでしまった。すると、弟がBの腕を掴んで、玄関から引きずり出すのが見えた。グッタリしているのがわかったが、多分私は、そこで気を失ったのだと思う。気が付いたら知らないベッドに寝ていて、そこは近所の病院だった。見たこともない怖い顔の母に「バカ!」と激しく叱られ、ごめんなさいと泣いていると、父と弟が一緒に部屋に入ってきた。私は父にきつく抱きしめられ、弟は母に抱きしめられた。その夜に家で、その時にBが死んで、Aが背中に大怪我を負ったことを知った。私は怖くて悲しくて、母と弟にしがみついて何時間も泣いた。母は「お前は悪くない。なにも悪くないから」と何度も慰めてくれた。何が起きたのか誰にも話してもらえず、私も怖くて聞けなかった。一週間休んで学校へ行くと、Bは事故で亡くなった事になっていた。私はみんなに色々聞かれたが、空き家のことは口止めされていたので、「覚えていない」としか言えなかった。一度だけ、隣のクラスのBの机に、花が飾ってあるのを見た。私はいたたまれなくて、そのクラスの前の廊下を通らないようにした。Aは弟と同じクラスだったが、Aは事故後、一度も学校に来ないまま転校していった。私は半年ほど経って、父の仕事の都合で引っ越してから、意を決して母にあの時の事を聞いてみた。あの家には、入って少し進んだ左の壁に、リビング用の大きなエアコンがあった。偶然それが落ちて、その下にいたBの頭に直撃して、Bは即死だった。さらにエアコンが落ちた衝撃で、リビングの大きなシャンデリアがAの背中に落ちて、金具が背中に刺さって34針縫った。シャンデリアの破片が倒れたBに突き刺さって、Bを助けようとした弟の靴底にも沢山刺さっていたとの事だった。あの時、もしも弟が服を引いてくれなかったら思うと、私はゾッとして耳を塞いでしゃがみ込んでしまった。弟に「命の恩人だから何でも欲しいものをあげる」と言ったら、笑いながら「なんにもいらない。お姉ちゃんがいなくならなくてよかった」と言ってくれた。

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