相続する(相続・承継)

親子で考える資産情報の残し方

夏休みを利用してご両親のもとに帰省なさった方も多いでしょう。まだまだ親御さんは元気とはいえ、いつどんなことが起こるか分かりません。病気や介護が必要なときにどう対応するのかは、本人の希望だけではなく、どうしてもお金の問題が絡んできます。

親の資産・負債整理に便利なのが「エンディングノート」

(写真=Mocha)

今までできなかったことをしたい。そういった思いからリタイア後に、旅行をしたり、趣味を楽しんだりすることは喜ばしいことです。しかし、漫然と生活をしているだけなら人生100年時代に対応できないかもしれません。

しかし親子であっても、「いくら資産があるか」とダイレクトに聞くことは、なかなかできるものではありません。普段から資産管理がしっかりできていなければ、親御さんもすぐには答えられないことの方が普通ではないでしょうか。ある程度ライフスタイルが確立して、時間の余裕があるこの時期に資産の把握をしておくことは必要です。

リタイア後を安定的に過ごすためには、まずどんな資産や負債があるかを知ることが必要です。資産の内容を書き記すのに便利なものが、「エンディングノート」です。現預金、有価証券、保険などの内容や金融機関名などを書き込めるようになっています。

保険は特に確認が必要

書いておくほどの資産や負債はないと思っていても、それは本人以外の人には分かりません。たとえば、どの銀行と取引があるのか、どの支店に口座があるのかということも話す機会がなければ、知ることができません。

金融機関名においては、店舗がある金融機関はまだいいのですが、ネット銀行やネット証券などは取引があることすら分からないままになる恐れがあります。きちんとした方法でIDやパスワードなどの情報を残す必要があります。

その中でも特に気をつけておきたいのが保険です。毎月保険料を負担しているのに、保険会社や連絡先を明らかにしておかないと、肝心なときに保険金を受け取れない可能性があります。本人が意思表示できないときのために、指定代理請求人の特約がつけられているかも確認しておきましょう。

老後の対策はできることから少しずつ

資産や負債の把握は重要なことなのですが、本人が元気なときにやっておくべきことはまだまだあります。

書き記した金融機関で、休眠口座やあまり使っていない口座があれば、思い切って解約することを検討しましょう。親子といっても金融機関から見れば子どもは「第三者」です。何の権限も与えられていなければ、本人の預金をおろしたり処分したりすることはできません。

同じようなことは、クレジットカードにもいえます。使うカードと使わないカードとを分け、使わないものは解約しておくことをおすすめします。

こうしておくことで、カードの管理や口座引き落としもわかりやすくなりますし、何といっても相続の手続きが少なくて済みます。

親にエンディングノートをプレゼントする

資産や負債の把握ができると、将来の生活設計や贈与・相続などの計画をたてる上で、大きく役立ちます。

親にアクションを起こしてもらう方法として、「よかったら使ってみて」と、子どもさんから親御さんへエンディングノートをプレゼントするのもいいでしょう。これからどんな老後を過ごすのかを考えるときに役立ちそうですね。離れて暮らす親子の距離を縮めるツールとして活用してはいかがでしょうか。

池田 幸代 お金と老後のお困りごとコンシェルジュ 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業を営む傍らで夫の両親の介護に従事。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに、2016年にFP業務で株式会社ブリエを設立し、福岡を中心に活動中。 FP Cafe登録パートナー

Mocha(モカ) ひとりでも多くの女性がお金の知性を身につけ、自分らしい人生を送れるよう、マネーやキャリアに関する、旬な話題、著名人のインタビュー、お得な情報などを独自視点でお届けしています。

(提供:DAILY ANDS

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社会貢献意識が高い? 投資をする人はしない人より「遺贈」に前向き

国境なき医師団日本は「終活と遺贈に関する意識調査2017」と題したリサーチを行い、9月15日にその結果を公表した。遺産を法定相続人以外に譲り渡す「遺贈」についての意識調査であり、全体の61.6%が遺贈に前向きである等、関心が高まっている事が明らかとなっている。また、投資意向の高い人は遺贈に前向きな人が多い等、個々の属性別で遺贈についての意識に差がある事も分かった。

遺贈に前向きな人は6割強 投資家ではその比率は7割越え

(写真=PIXTA)

2015年に相続税の基礎控除が大きく減額される等、相続に関わる話に無縁ではいられない人は増加している。そんな中、法定相続人以外の特定の個人や団体に遺産を譲り渡す「遺贈」に関する関心も高まっており、遺産を社会貢献の為に使う事の出来る方法としても注目されている。国境なき医師団日本ではそうした社会貢献の為の遺贈についての意識調査を行った。調査は7月11日~13日にかけてインターネット上で行われ、全国の15歳~69歳の男女1000名の有効サンプルを集計した。

大きな資産を保有していた場合、社会貢献の為の遺贈をしたいかを尋ねたところ、「遺贈をしたい」(11.1%)、「遺贈してもよい」(50.5%)の合計は61.6%となり、遺贈に前向きな人は6割を超える結果となった。男女・年代別に見ると、10代男性が82.0%と突出して高く、社会貢献への意欲の高さが窺えた。

ボランティアや寄付の経験者は社会貢献の為の遺贈に前向きな人が多いようだ。ボランティア経験者で遺贈に前向きな人は67.8%となっており、未経験者の58.0%より9.8ポイント高い。寄付経験者の場合、遺贈に前向きな71.2%となり、未経験者の55.6%と比べ、15.6ポイントも差がついた。遺贈が社会貢献の選択肢の一つとして意識されていると見られる。

また、投資意向の有無によっても、社会貢献の為の遺贈への意識に差があるという結果が出ている。投資意向のある人で遺贈に前向きな人は72.8%となった。投資意向の無い人の55.7%と比べると、実に17.1ポイントも差がつく結果となった。特に若年層でその傾向は強く、10代は82.2%、20代は78.2%、30代は78.1%と投資意向のある若年層では遺贈に前向きな人が8割前後に上った。若年層の投資家では、投資で成功した利益を将来的に社会還元したいという意識を持つ人が多いようである。

日本での遺贈の実績は少額に留まる 遺贈大国アメリカとは雲泥の差

遺贈について前向きな人は全体の6割を超えているが、実際に遺贈による社会貢献を行う人はまだ少数に留まっている。財務省主税局によると、相続税の申告をしている人のみのデータではあるが、公益法人等への遺贈による寄付は、2013年の実績で52件、41億2768万円となっている。相続人による寄付を合わせても、369件、299億9190万円に留まっている。日本ファンドトレイジング協会の「寄付白書2013」によると、米国では個人による遺贈が2兆3400億円に上っており、正に桁違いの規模である。米国は寄付の文化が根付いているという社会的な要因はあるが、それでも日本での遺贈の少なさが際立っている。

冒頭の調査では、遺贈について不安を感じる点についても、尋ねている。「遺贈の方法」(50.2%)や「寄付する団体選び」(47.6%)、「寄付した遺産の使い道」(37.3%)といった回答が上位に来ており、手続き面や遺贈先団体の選択において、不安を感じる人が多いようである。遺贈には、特定の公益法人に寄付をした場合は、相続税の対象としない特例もある。こうした制度の周知も、今後遺贈文化が根付いていく為には、重要となろう。また、遺贈される公益法人の透明性向上にも努めていくべきである。

終活は自分には関係ないと考える人が多い? 遺贈の増加への課題

遺贈に関連して、遺言書やエンディングノートの準備に代表される「終活」についての調査も行われている。法的効力は無いものの、自身の希望等を記すエンディングノートについて、準備は大事だと考える人は全体の90.1%に上った。遺言書についても、準備は大事だと考える人は85.5%と高い。

一方で自身への必要性を感じている人の割合は高まっていない。「自分も準備が必要だと思う(または、準備を済ませた)」と答えた人はエンディングノートで30.8%、遺言書では22.9%に留まっている。準備の大切さについての理解はあるものの、自身とは関係ないと考える人が多いようだ。

遺贈は法廷相続人以外への遺産贈与であり、終活と密接な関連がある。終活について、考える人が増加すれば、遺贈について考える人も増加していくと見られる。日本で遺贈文化が発展していくには、終活についての認知度向上が欠かせないだろう。(ZUU online編集部)

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実は私にも関係があるかも!?贈与税のキホンとは?

贈与税なんて自分には関係ない……と思っている人は多くいるかもしれません。しかし、実は贈与税は他人ごとと決して無視できない税金です。2015年に相続税と贈与税が同時に改正されました。相続と贈与は基本的に別物ですが、相続対策として生前に贈与で資産の移動をさせるなど、実は両者は密接な関係にあります。今回は、贈与税にフォーカスして、贈与税申告に関する注意点を説明します。

贈与税申告をする人は?

(写真=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

贈与税は1月1日~12月31日の1年間に、110万円を超える贈与を受けた人が申告する税金です。これを暦年贈与といいます。そもそも贈与とは、あげる側の贈与者ともらう側の受贈者という当事者間の契約に基づき、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与えることです。預貯金、現金、土地、家屋、事業用財産、貴金属、骨董など、贈与を行える財産の内容に限りはありません。

また、贈与は現物の財産の授与ではない場合もあります。例えば、父親が加入し保険料を払っていた保険の満期保険金を、受取人に指定されていた子どもが受け取った場合には、子どもに贈与税がかかります。また他には、住居を購入し夫名義にするとして、共働きの妻の支払い協力が認められる場合、その部分は妻から夫に対する贈与となり、夫が贈与税の申告をしなければなりません。

このように、家族間でも贈与を行う場合は注意が必要です。ただし、親子、配偶者などの扶養義務者相互間や祖父母・孫間などで行う生活費や結婚資金、教育費などの資金援助は、通常妥当と思われる金額の範囲内ならば贈与税はかかりません。加えて、社交上の香典や贈答品など、社会通念上相当と認められるものなどにも贈与税はかかりません。

1年間のうちに2人以上からの贈与、または同じ人から2回以上の贈与があっても、1年間に受けたすべての贈与の合計額から110万円を引いた残額に対して贈与税が課税されます。逆に、何人から贈与をされたとしても1年間の受贈額が110万以下であれば申告をしなくても構いません。

ところが、贈与税には「暦年贈与」以外に「相続時精算課税」という別の課税方式もあります。「相続時精算課税」を利用するには一定の条件を満たす必要がありますが、これを利用する場合は贈与者ごとの贈与額で計算します。そして、贈与者から受けた贈与の額が110万円以下であっても申告しなくてはいけません。

贈与税申告をする期間は?

贈与税は1月1日~12月31日の1年間に受けた贈与に対してかかりますが、贈与税の申告と納税は、贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日までに行わなければなりません。例えば2017年中に贈与を受けた場合は、2018年2月1日~3月15日の間に申告・納税することになっています。贈与税は、原則、金銭による一括納付ですが、一度に多額の納税をするのは困難な場合もあります。その場合、5年以内の年賦で納付する延納という方法を申請することも可能です。

ただし、延納を受けるためには、下記の要件を満たす必要があります。 ・ 納税額が10万円を超えていること ・ 金銭で一度に納めることが難しい理由があること ・ 納期限までに必要書類を提出すること ・ 担保を提供すること(延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合は必要なし)

延納の申請をして許可された場合、年率6.6%の利子税がかかります。ただし、低金利の昨今、特例割合として、各年の銀行の新規短期貸出約定平均金利をもとにした延納特例基準割で利子税の率が計算されます。

贈与税申告をしなかった場合はどうなる?

定められた期限までに贈与税の申告・納付をしない場合、ペナルティとして延滞税を支払う必要があります。延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される利息に相当するものです。

延滞税の割合は納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までが年2.7%(平成29年1月1日〜平成29年12月31日の期間)、それを過ぎると年9.0%になります。なお、これらの割合は、延納の場合の利子税同様、特例が適用された割合で、2017年中の適用率です。本来の率は2ヵ月を経過する日までが年7.3%、それを過ぎると年14.6%になるため、本来の税率と比べると低くなります。それでも少し高い利率になりますので、注意しておきましょう。

贈与はもらった人が贈与の事実を知らない場合もあります。贈与の際には申告・納税のことも考慮しながら当事者間で合意のうえ適切に行いましょう。(提供:プライベートFPオンライン

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相続人には最低限の財産を引き継ぐ権利が存在する

自分の財産は、自分の大切な人に相続してほしいと思う人もいることでしょう。その意思を尊重するために、生前贈与や遺言という制度が認められています。しかし、何の制限もなく財産の処分を許すと、相続に関して後で争い事が起きる可能性もあります。

法律では、相続人には最低限、財産を引き継ぐ権利があることを保障しています。今回は、財産を与える側も受け取る側も、知っておきたい遺留分について説明します。

誰が法定相続人になるのか

(写真=Dmytro Zinkevych/Shutterstock.com)

まずは、誰が法定相続人になるのかを知っておく必要があります。民法で定められた相続人のことを法定相続人と言いますが、家族状況によって誰が法定相続人となるのか変わります。

配偶者は常に法定相続人となりますが、それ以外の人には相続人となる順位が定められています。第1順位は子ども、孫などの直系卑属、第2順位は親、祖父母などの直系尊属、そして第3順位が兄弟姉妹という順位で、配偶者とともに相続人になります。

つまり、死亡した人が結婚していて配偶者と子どもがいれば、法定相続人は配偶者と子どもです。万一、子どもが被相続人よりも先に死亡していて、その子に子ども(被相続人の孫)がいれば、その孫が代わって法定相続人になります。

子どもなどの直系卑属がいない場合は、配偶者と第2順位である親が法定相続人になります。親がすでに死亡していて、祖父母がいる時は、親に代わって祖父母が配偶者とともに法定相続人になります。直系卑属も直系尊属もいなければ、配偶者と第3順位である兄弟姉妹が法定相続人です。このように、配偶者以外は家族構成の状況によって法定相続人が誰になるのかが決定されます。

知っておくべき遺留分

民法によって、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された相続財産の最低限度の割合のことを「遺留分」と言います。

民法では、法定相続人の順位と同時にそれぞれの法定相続人が受け取れる財産の割合である法定相続分も定められています。しかし、基本的には被相続人の意思を尊重するため、生前贈与や遺言によって自分の財産を自由に処分することができることになっています。

例えば、相続人が妻と2人の子ども、遺産総額が1億円あると仮定します。法定相続分通り遺産分割をするなら、妻が2分の1の5,000万円、子どもはそれぞれ4分の1の2,500万円ずつ相続することになります。しかし被相続人が遺言で「自分の財産すべてを愛人に遺贈する」と指定していたらどのようになるでしょうか。いくら被相続人の意思の尊重とはいえ、妻と2人の子どもは納得できません。このような時に、本来の相続人が最低限相続できる割合を遺留分として保障しているのです。

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合は、被相続人の財産の3分の1。それ以外の場合は、被相続人の財産の2分の1とされています。

先の例でいえば、2分の1である5,000万円は相続人の受取分として保障されており、残り2分の1の5,000万円は被相続人が自由に処分できます。ちなみに遺留分の5,000万円のうち、各人の遺留分は法定相続割合に応じ、妻が2,500万円、子どもは1,250万円ずつになります。

「争族」を避けるために

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分で最低限の相続財産受取りの権利が保障されています。だからといって、遺留分を侵害する生前贈与や遺言が無効になるのではありません。遺留分は、遺留分を侵害された相続人が、遺留分減殺請求(げんさいせいきゅう)をすることによって、初めてその効果が発生します。

また、遺留分の減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始する時や減殺すべき贈与および遺贈があったことを知った時から1年間行使しない場合、または相続開始から10年を経過したときに時効で消滅するという期間の制限があります。

つまり、先の例でいうと、遺留分を侵害された妻と子が権利を行使しようとした場合は、1年以内に1億円を受贈した愛人に対して5,000万円分の減殺請求が必要になるわけです。そもそも愛人に財産を奪われたこと自体が納得いかないのに、半分返してくれと請求手続きをすることに喜べるはずがありません。

ここでは第3者である愛人を例としましたが、親族間でも遺留分の侵害はありえます。相続が「争族」になることを避けるためには、遺留分割合の事も考慮した上での遺産分与を遺言で指定しておくことが望まれます。遺言を残すだけでは決して相続対策にならないことを知っておきましょう。

相続には事前準備が必要

相続対策で重要なのは、「争族」対策ともいいます。相続人間で財産分与の争いが起こらないための対策は、遺言が有効とされています。しかし、遺言を残してもその内容次第では、かえって「争族」に火がつくこともあるため、遺留分のことも考慮した対策が必要です。また、分割しにくい財産がある場合は、生命保険など現金化できる資産の準備も事前にすることをおすすめします。(提供:プライベートFPオンライン

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相続登記の手続きに必要な書類とは

相続で土地や住居を引き継いだ不動産の所有名義を変更する相続登記。いざ不動産を相続することが決まって手続きをしようとしても、手続きが煩雑なため後回しにしてしまうケースもあるでしょう。なかでも、相続の手続きに必要な書類を揃えることは一苦労です。実際に、相続の手続きにはどのような書類が必要なのでしょうか。

相続登記の概要

(写真=JP WALLET/Shutterstock.com)

相続登記は、不動産登記簿上の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きです。しかし、実は相続登記に対する法的な義務はありません。さらに言えば、相続税の申告のような「相続開始から○ヵ月以内」という期限もありません。

分かりやすい例を見てみましょう。一軒家を相続した相続人が、自分がそれまで住んでいた賃貸住居を出て、その一軒家に住むということはよくあります。この時、相続登記をしないと住めないなどの法的な決まりはありませんし、そのまま移住しても問題はありません。

しかし、相続登記をしていないと、その物件の名義人ではないことになります。たとえ相続人の間で合意があったとしても、その物件が自分のものであると公に主張できません。このことが、後からさまざまな弊害が起きるかもしれません。例えば、自分や親族間で新たな相続が発生した時に、その物件の所有権に関して遺族間で揉める可能性があります。法的に自分の所有物ではないため、揉めた時に権利が主張できなくなる可能性もあります。

他にも、その物件を売却しようとしても、相続登記が完了していないと売却ができません。結果的に売却するために過去の相続手続きを遡って行う必要もあるのです。このようなリスクを考えると、相続で不動産を受け継ぐ時にはできるだけ早めに相続登記をすることが望まれます。

相続登記の必要書類

では、相続登記申請の際には必要書類にはどのようなものがあるのでしょうか。

実は、相続といっても「遺言書による相続」や相続人全員で話し合う「遺産分割協議による相続」、民法に定められた「相続割合での相続」など、さまざまな形式があります。

相続登記の際には、その不動産が被相続人から相続人へ受け継がれる経緯の確認も必要なので、相続のタイプによって必要書類が変わります。ここでは「遺産分割協議による相続」の場合で必要書類を説明します。

・ 所有権移転登記申請書(相続・遺産分割) ・ 遺産分割協議書 ・ 被相続人(故人)の出生から死亡までの経過の記載がわかる戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) ・ 除籍謄本(除籍全部事項証明書) ・ 遺産分割協議の当事者である相続人全員の戸籍全部(一部)事項証明書(戸籍謄抄本)  ※被相続人の死亡日以降に取得したもの ・ 遺産分割協議を行った相続人全員の印鑑証明書 ・ 申請にかかる不動産を相続することになった相続人全員の住民票写し(マイナンバーが記載されてないもの)

これらの書類に、登録免許税を添えて提出することになります。登録免許税を収入印紙で納付する場合は収入印紙を貼り付けた用紙、現金で納付する場合は領収証書を貼り付けた用紙を申請書と一括してつづります。つづり目に契印(割り印)をして管轄の法務局へ提出するというのが一般的な流れです。

また、被相続人の最後の氏名および住所が、登記記録上の氏名および住所と異なる場合や、被相続人の本籍が登記記録上の住所と異なる場合には注意が必要です。その場合、被相続人が登記記録上の登記名義人であることがわかる本籍が記載されている住民票の除票、または戸籍の附票の写しなどが必要になるケースもあります。

手続きは代理人に委任可能

相続人の数が少なく、近くにいる場合には、書類の収集にはあまり手間がかからないかもしれません。しかし、相続人の数が多く、遠方に相続人がいる場合などは、相続書類が簡単に揃わないこともあるでしょう。

また、被相続人が出生から死亡までの間に転居を繰り返していたり、離婚・再婚を繰り返していたりするなど、戸籍の記載項目が多い場合は集める書類も多くなりがちです。登記上の記録と情報が異なる場合は、想像以上に手間がかかる可能性があります。

このように、相当な労力を要する相続登記は自分で行うこともできます。しかし内容が複雑だ、時間がなくて自分ではできない場合などは、司法書士などの代理人に委任することが可能です。代理人に委任する場合は、上記必要書類に加え委任状を提出します。

複雑な手続きはプロに任せるのがおすすめ

登記申請は申請者自身で行うことも可能です。法務局では実際に登記申請にかかる事前相談や書類の記載方法にも応じてくれます。しかし、事前相談とは言いながら、ある程度の基礎知識がないと1回で相談を完了するのは難しいかもしれません。法定相続人であることが分かる書類準備を求められる、長時間の相談が難しいなど、何度も法務局へ通わなくてはならない可能性もあります。平日に役所へ出向くことも、ビジネスパーソンにとっては簡単ではないでしょう。

代理人に委任するとその分費用がかかりますが、労力や費やす時間、そして慣れない手続きを行うストレスを考えると、詳しい人に相談することも検討してみてはいかがでしょうか。(提供:プライベートFPオンライン

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【負動産】相続した土地が「名義変更」されていなかったらどうする?

最近では、放棄したくてもできない土地や所有者がわからない土地、地価のわりに費用がかかるため、所有権移転登記をしていない土地が増えている。これらを「負動産(ふどうさん)」と呼ばれているが、相続の際にも大きな障害になっている。

「名義変更」されていない土地

(写真=PIXTA)

先日ある相続の相談を受けた際、こんなことを言われた。

「『遺産分割協議書』の作成をお願いしたいのですが、その前に一つ困ったことがあります」

相談者であるAさんの母Cさんが先日、亡くなった。既に父親が亡くなっていたため、相続はAさんと弟Bさんの2人だけである。幸い兄弟仲がいいので、遺産の分割はスムーズにいきそうである。

ただ遺産のリストを作る段階で驚くようなことがわかった。それはCさんの所有だと思っていた土地が、Aさんの父親の父親、つまり祖父Dさんの名義のままだったのである。Dさんが亡くなった後に土地の名義変更を行っていなかったということになる。

家とその敷地は母親Cさんの名義なので問題なかったが、家の近くにある空き地がDさんの名義だったのである。AさんはBさんと話し合い、この土地をAさんが相続することにした。しかしこの土地は既に30年前に亡くなっているDさんの名義のままである。「今後の手続きはどうしたらいいでしょうか」とAさんは悩んで相談に来られたのである。

複雑になる相続手続き

そこで筆者はAさんに以下のように説明した。

「まずこの土地の法定相続人を確定する必要がある。そのためには、Dさん『戸籍謄本』を取り寄せなければならない。Dさんが生まれてから亡くなるまでの連続した『戸籍謄本』である。そうすることで、法定相続人が判明する。それからその相続人が健在かどうかも調べる必要がある。もし亡くなっていたら、その配偶者や子どもが相続人ということになる。その後は、その人たちに、ことの経緯を説明し、この土地だけの『遺産分割協議書』を作成するのである」

Aさんが調べてみたところ、祖父Dさんには子どもが2人いることがわかった。長男はAさんの父親だ。次男は(Aさんの叔父)5年前に亡くなっており、その妻と長男がいるという。

従ってこの土地の法定相続人は、AさんとBさんの兄弟、Aさんの叔父の妻、その長男の4人である。

この4人で話し合った結果、問題なくAさんが相続することになり、「遺産分割協議書」も完成するに至った。

名義変更の2つの壁

Aさんの場合は、土地の相続人が4人で、しかも面識がある人なので、比較的スムーズに話し合いができた例である。しかし、世の中には、3代、4代前のご先祖の名義のままになっている土地も珍しくないのである。

考えられる原因は2つある。

1つは土地の名義変更の期限がないという点である。相続の場合、相続放棄は自分が相続人だとわかって3ヶ月以内、相続税の申告は相続開始後10カ月以内と決められている。しかし、土地の名義変更については、時に期限は設けられていない。

もう1つは名義変更には費用がかかるという点である。司法書士に依頼する場合には、報酬が発生するし、仮に自分たちで手続きを行うおうとしても、法務局に「登録免許税」を納付しないといけない。

相続の場合、「登録免許税」は土地の価格の1000分の4、つまり0.4%である。例えば、2000万円の土地ならば、「2000×0.004=80(万円)」となる。ただ名義を変えるだけなのに結構な負担といえる。

主にこの2つの理由で、土地の名義変更が進んでいないのである。ただ、3代前、4代前の名義変更を放置していると、法定相続人の数は、10人、20人になってしまう可能性がある。そうなると、名義変更手続きはかなりの作業になってしまう。

やはり、他の財産の相続手続きと併せて、土地の名義変更を行っておくべきである。そうしておかないと、自分の子や孫に大きな負担をかけることになる。(井上道夫、行政書士)

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相続 「相続税対策でアパート経営しましょう」の落とし穴

「相続税対策には賃貸アパート」――という話は昔から定番でしょう。とはいえ、賃貸にしたらすべて解決というわけではありません。賃貸アパートを建ててみたのはいいけれど、入居者がなかなか入らない、入居者保証で契約したのに家賃を下げろと言われたなど、悲鳴を上げている新米大家さんも少なくありません。

賃貸アパートによる相続税対策の落とし穴について、ここでもう一度確認してみましょう。

「相続税対策に賃貸住宅が有利」の仕組み

(写真=Kelly Marken/Shutterstock.com)

そもそも、賃貸アパート・住宅を建てるという方法が、なぜ相続税対策として有効なのでしょうか。

それは、賃貸住宅を建てることで土地の相続評価額を低くできるためです。不動産に関する相続税の評価額は、土地と建物、それぞれ算定方法が違います。

例えば、土地では自用の場合はおおよそ時価の8割程度、建物は同じく自用で時価の5~6割というのが普通です。しかし、これが貸家となると、土地は時価の6~7割、建物は時価の3~4割まで相続評価額が低くなります。そのため、土地と建物の両方を合わせると自用の半分前後まで下げられるのです。

さらには、借入金で賃貸住宅を建てると相続税の評価上はマイナスの財産となるため、その分も相続税の圧縮に繋がります。これが「相続税対策に賃貸住宅が有利」といわれる大きな理由です。

気を付けたい、こんな「落とし穴」

ここまでの話を聞いただけであれば、メリットばかりだと思うでしょう。実際に、2015年1月の相続税の増税をきっかけに、相続対象となる土地に賃貸アパートを建てる例はいっそう増えていると言われています。しかし、現実にはそううまくいかないケースが増えてきているようです。

その最大の要因は賃貸物件の空き室率が増加していることです。特に首都圏において、ここ2年ほどの間に空き室率が急増しています。賃貸アパートを建てることで相続税が軽減できたとしても、その後の物件に借り手が付かなければ、どんどん赤字が累積されることになってしまいます。

一方で最近は、賃貸ビジネスに家賃保証会社が関わることが多くなっています。これは従来、借り手が用意する連帯保証人に替わって、第三者である家賃保証会社がその役を務め、家賃の滞納などがあったときにそれを立て替えるというものです。

オーナーにとっては「収入が保障されるといういい仕組み」に思えますが、これは、「現在の家賃の金額をずっと保障する」というものではありません。逆に、2年ごとの更新時に(滞納等を防ぐため)家賃保証会社から家賃の値下げを強く求められる場合もあるようです。

もちろん、アパートそのものも年数がたてば老朽化してきます。その分、賃貸物件としての価値は下がるとともに、収入から控除できる減価償却費も少なくなってきます。

このように、単純な目先の「相続税対策」だけでなく、「先々においても有効になり得るかどうか」をきちんと計算する必要がありそうです。(提供:IFAオンライン

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亡くなった親が「株式」を持っていた--株券の相続はどうすればいいのか?

高齢だった親が亡くなり、相続する遺産に株券が含まれていた場合はどうすればよいのか。株式の相続は難しい。評価額が日々変動し、現金のように単純に分けることができないからだ。

上場株式の相続割合は話し合いで決まる

(写真=PIXTA)

株式の相続が現金や預貯金と大きく異なるのは、相続分が法定相続割合とは一致しない点だ。

相続人が妻と子2人の場合、通常であれば妻は2分の1、子2人は4分の1ずつが民法で定められた取り分だが、株式の場合は必ずしもこの配分に従う必要はない。株式は単なる資産ではなく、株主総会における議決権など社会的な権利も有すると考えられているからだ。

したがって、相続分は相続人同士の遺産分割協議によって決める。相続財産が株式のみであることはまれなので、土地・家屋、現金・預貯金とのバランスを見て検討する。たとえば分割が難しい自宅は妻が相続し、現金と株式を兄と弟で均等に分けても良い。もしくは他の資産と評価が同じになりそうなら、誰かがまとめて株式を相続する手もある。

協議内容は必ず「遺産分割協議書」として残しておこう。後にトラブルになった時に役立つだけでなく、相続税の申告の際にも必要になる重要な書類だ。

受け取りには証券口座が必要

相続の割合が決まったら、株式の名義変更手続きを行う。親の名義から自分の名義にするのだ。名義変更手続きには財産を受け継ぐ人の証券口座が必要だ。故人と異なる証券会社の口座でも可能だが、手続きが煩雑になるためまず同じ証券会社に口座を作り、自分名義にした後で別の証券会社に移管するのが良いだろう。

移管完了後は、売却して現金化するのもそのまま保有し続けるのも自由だ。ただし売却のタイミングによっては相続の金額に差が出る可能性があることを覚えておくのが良いだろう。

たとえば兄の売却時には1株当たり1000円、弟の売却時に990円だった場合、同じ株数を相続しても評価額は異なることになる。

きっちり均等に分けたい場合は

評価額が日々変動するのが株式の相続の大きな特徴だ。どうしても均等に分けたい場合は現金化してから分けるしかないが、名義が故人のままの状態で証券会社のほうで売却手続きをすることはできない。

そこで便利なのが「代表相続人口座」を作る方法だ。相続人のうち1人を代表とし、その名義で証券会社に口座を開設する。いったん全株式をそこに移管し、一括して売却し代金を相続人数で分配する方法だ。

後から分配する旨は必ず遺産分割協議書に記載する。売却に伴う税金も平等に負担することも明示すると良いだろう。現金化した後で分配が実行されなかったり、税金や手数料についてもめ事になったりするのを防ぐことができる。

相続税はどのように払うのか

相続分が決まって名義変更・現金化して分配が完了すれば、財産を引き継いだ人が相続税を支払う。その際、相続税額を算出するために「もらった財産は金額にしていくらか」を明確にする必要がある。それが相続財産の評価という作業だ。

株の値段は現金と違って随時変動する。そのためいつの時点の価格を基準とするかがポイントとなってくる。上場株式の場合、評価額を「被相続人の死亡の日の最終価格」と定められている。ただし、株価が大きく変動した時のため、その月または前月もしくは前々月の平均額と比較して最も低い額を採用することになっている。

算出した株式の評価額と他の資産の評価額を合計し、税率(10%~55%)をかけたものが納付すべき相続税額となる。納付は現金が原則だが、株式は物納も可能だ。

株式以外の金融商品の相続

日本では自宅の土地・家屋と預貯金が主な相続対象だったが、最近では投資意識の高まりから預貯金以外の金融商品も相続の対象になることが増えてきた。上場株式の相続方法についてはすでに述べたが、投資信託、債券、外貨預金などその他の金融商品でも基本的な流れは同じである。遺言書がなければ相続人同士で遺産分割協議を開き、決定した相続分に合わせて証券会社に名義変更をしてもらう。

異なるのは相続税を計算するための財産評価額の算出方法だ。投資信託、債券、外貨預金など、金融商品によって算出方法は異なっている。

実際の計算式は複雑だが簡単に説明すると、一般的な投資信託の場合、課税時期の1口当たりの基準価額×口数にもらえる配当金を加えて手数料を引いたものが評価額となる。上場投資信託と呼ばれるETFやREITは、上場株式と算出方法は同じだ。債券は利付債か割引債か、上場されているかいないかで評価方法が異なるので詳細は省くが、要するに額面+利息の額と考えればよい。外貨商品の場合、財産を円に戻す必要はないが、評価額を算出する際は円に換算しなければならない。

相続財産の探し方

相続が発生した時に個人がどのような資産を保有していたか分からないケースが多発している。故人の通帳や郵便物、キャッシュカードやパソコンのデータから調べることもできるが、時間がかかり漏れも心配だ。どの証券会社を使っていたか分かっても、残高証明を請求するには相続人・被相続人双方の戸籍謄本など多くの手続きを要する。

相続税の申告・納税は、相続開始を知った翌日から10か月以内に行わなければならない。相続放棄をするなら3か月以内だ。書類の手配や分割協議がスムーズにいくとは限らないので、どのような財産があるかは生前から家族で共有しておきたい。(篠田わかな、フリーライター)

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不動産オーナーの究極の節税対策「法人化と事業継承」

不動産投資を行っている場合、法人化することによって節税対策が可能という話はよく聞きます。もちろん、どんな場合でも法人化すればいいというわけではなく、事業の実態や規模などによっても、メリット・デメリットの割合は変わってきます。そのあたりの見極めも含め、不動産投資の法人化についておさらいしてみましょう。

不動産投資の「法人化」は何が有利?

(写真=goodluz/Shutterstock.com)

そもそも、個人と法人とでは、かかる税金のシステムが違います。日本の税体系では、個人の所得税は累進課税で、収入が多くなるにしたがって税率も高くなります。そのため、不動産所得が大きくなるほど、税金も高くなってしまいます。

一方で法人税は個人の所得税よりも税率が低く設定されている上、経済振興との兼ね合いでますますそれが軽減される傾向にあります。

さらに大きいのは、個人で不動産投資を行う場合、収入が一人に集中してしまうのに対して、法人化を行うことで、給与という形で家族に分散することも可能だということです。正当な業務に対する給与ということであれば贈与税なども発生しませんし、所得税の合計額を減らすうえでメリットになります。

さらには、相続対策としても資産を圧縮でき、事業継承をスムーズにできるというメリットがあげられます。不動産が個人資産の場合は全部が相続資産総額に含まれてしまいますが、あらかじめ相続人が株主になっていれば、その分の相続税はかかりません。また、個人営業なら事業継承の際に口座や事業用資産を「贈与」することになり贈与税がかかりますが、法人であればその点でも有利です。

ボーダーラインは所得1,800万円?

もちろん、どんな場合でも法人化が有利というわけではありません。

まず、法人化するにあたっては、当然ながら会社設立のためのさまざまな手続きと、それなりのコストがかかります。個人経営に比べ、帳簿もしっかりと形式に則って付ける必要がありますし、法人税申告の手間も必要です。設立後も、個人経営の時以上の事務の複雑化は覚悟する必要があります。

またコスト面では、法人の場合は仮に赤字であっても必ず最低年間7万円の地方税がかかります。また義務として強制加入の社会保険料(健康保険料および厚生年金保険料)の支払いが発生します。事業の維持費は個人経営に比べ多くなると考えなければなりません。

つまり、法人化にあたっては、「それらのデメリット以上のメリットがあるかどうか」を事前によく考えなければいけない、ということです。

そのボーダーラインに関しては、俗に「5棟10室」(一戸建て5棟もしくはアパート部屋数10室)などと言われますが、これは、税法上その不動産貸付けが「事業」として営まれているかどうかの判断の基準で、必ずしも法人化の目途とは言えません。

もう少しストレートに所得ベースで考えると、課税所得が1,000万円を超えると法人化のメリットが出てくる場合があるものの、そのあたりはケースバイケース。所得税率が40%となる1,800万円までいくと、法人化のメリットがかなり大きく出てくる場合が多いようです。(提供:IFAオンライン

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空き家のまま放置しておいたら、相続税が発生!?

築数十年の空き家を相続した場合、場所や建物の状態から、「自分で住むにはちょっと……」となるケースは多いようです。大都会への人口集中、地方を中心とした高齢化・人口減少の急激な進行を考えると、同様のケースはますます増えていくかもしれません。

では、空き家を相続した場合、どうしたらいいのでしょうか。ここでは、「空き家をめぐる課題と相続」について考えてみましょう。

深刻化する「空き家問題」

(写真=Roman Motizov/Shutterstock.com)

空き家が増えることにはどんな問題があるのでしょうか。まず考えられるのは、老朽化による倒壊など、周辺への被害です。住宅が密集している場合は、隣家に被害を出す場合もありますし、割れた窓ガラス、倒れた塀、落ちた屋根瓦などが人的被害を出してしまうことも考えられます。人が住んでいない家は、日常の手入れがなされていないため、傷みが進んでいることが多いのが特徴です。

また、空き家は周辺環境の悪化の要因となることも多いです。不法侵入の対象になりやすく「空き家火災」のリスクもあります。人が住んでいないのをいいことに、ゴミの不法投棄先に悪用されてしまうケースもあるようです。古い空き家では害虫や害獣が住み着き、繁殖してしまうこともあります。こうした悪影響は、空き家である期間が長ければ長いほど増していくことになります。

このように、空き家は好ましくないものであることが明らかであるにもかかわらず、従来の制度下では、解体して更地にしてしまうと固定資産税が高くなるため、「わざわざ解体費用をかけるよりも放置したほうが得」と思われてしまい、空き家増加に拍車をかけていました。

こうした状況に歯止めをかけるため、2015年には「空き家対策特別措置法」が施行され、2016年度税制改正では、「空き家の発生を抑制するための特例措置(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例)」が導入されました。

空き家を放置するより活用する方が得な状況へ

この特例措置は、「相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地などを、2016年4月1日から2019年12月31日までの間に売却し、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる」というものです。その「一定の要件」とはどのようなものなのでしょうか。

● 家屋の要件 1. 相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること 2. 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものであること 3. 1981年5月31日以前に建築されたこと(区分所有建築物を除く) 4. 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと

● 譲渡する際の要件 1. 譲渡価額が1億円以下 2. 家屋を譲渡する場合、譲渡時において耐震基準に適合するものであること

上記以外にも条件はありますが、平たく言えば、「更地にするなり、耐震リフォームを施すなりして(活用の目途をつけて)売却すると控除が受けられます」ということです。

特例措置を利用して賢く節税を

今回の特例措置は2019年12月31日までです。しかしながら、空き家問題が今後も深刻化するであろうことを考えると、同様の措置が継続することを期待したいところです。いずれにせよ、「空き家を放置していると税制上は損」という時代になってきたとはいえそうです。(提供:IFAオンライン

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