謎怖 21巻

会社に届いた俺への名指しの手紙 2/2

前回までの話はこちら

応接室に通され、そこで手紙を見せる。

 

女「○○○の文字です・・・。でも返信用封筒が刑務所の住所だなんて・・・私にも分かりません・・・。でもあの子は大人しい子ですからその人とは違うんです・・・」

 

その後に続いた会話での彼女の弁を信じるのなら、○○○とは、高校卒業後に引き篭もるようになり、大人しく優しく、でも人を怖がって彼女ですら部屋には入れたがらなかった、という人らしかった。

 

二十後半の年齢はネットで調べた受刑者のものと一致していたが、それには触れられなかった。

 

女「マスコミの方なら○○○の居場所を調べられるんじゃないんですか?お願いします。もう一度会わせて謝らせて下さい。お願いします」

 

急に目をむいてそう言い始めた彼女に、自分には一般人が出来る事しか出来ない事を前置きした上で、分かった事があったら連絡致しますと伝えた。

 

俺「○○○さんの部屋、もし宜しければ見せて頂けませんでしょうか?」

 

恐る恐る訊いてみた。

 

彼の記した別の文章があれば、自分で筆跡を照らし合わせる事も出来るし、何かしらのヒントがあるかも知れないと思ったからだ。

 

一瞬躊躇いの表情を浮かべはしたが、「はい・・・そうですね・・・でも○○○には内密にお願いします」。そう言って彼女は二階へと俺を促した。

その”部屋”に居ることに限界を感じた

確か三部屋あった二階は、どの部屋もドアが閉められていて廊下は薄暗かった。

 

一番奥の部屋へと通された。

 

古いタンスと押入れがあるだけの部屋だった。

 

何も無いじゃないか。

 

引き篭もりと聞いて、想像していたPCや本で埋もれた部屋とはあまりに違い、思わず尋ねた。

 

俺「ここが○○○さんのお部屋なんですか?」

 

女「いえ・・・・・・あの・・・こちらが・・・」

 

彼女が指差したのは押入れ。

 

その時点で体が震え出したが、その後に襖(ふすま)を開け、声が出そうになった。

 

彼の部屋は押入れでもなかった。

 

押入れの中には、宗派は分からないが恐らく仏教系の御札があちこちに貼ってあった。

 

血の気が引く思いで彼女の一歩後ろからそれを眺めていると、彼女が言った。

 

女「この・・・天井裏が・・・○○○が好きだった部屋なんです」

 

彼女は懐中電灯で押入れの天井を照らすと、天板の一枚を押し上げた。

 

その板だけが、貼り付いた御札が切れていた。

 

女「どうぞ・・・」

 

覗く様に促される。

 

俺は逃げ出したかった。

 

でも、既に理解不能な状態と展開に頭が付いていけてなく、今思うと朦朧(もうろう)としたような形で押入れに入り、その天井の穴に顔を入れた。

 

人が住んでいたのだから当然なのだろうが、天井裏のスペースにも小窓が付いていることに驚いた。

 

薄暗い。

 

だけど見える。

 

後ろで何かが動いた気配がした。

 

慌てて振り返ったが何もおらず、彼女は押入れの外にいる。

 

霊感などは全く無い自分だから、恐怖から来る幻覚だったのだと思ったが、それでも震えは強くなった。

 

何かに押されるようにして完全に“部屋”に上がり、見渡してみた。

 

小学校の教科書、テディベア、外国製らしい女の子の人形、漫画が何シリーズか、その辺りが置かれていたのは覚えている。

 

机や椅子の類は無く、収納家具も無く、ただ床に物が置かれているだけ。

 

求めていた彼の直筆の物は無いようだった。

 

急な頭痛と吐き気があった。

 

とにかくここは何かおかしい。

 

彼女も普通ではない。

 

正直、後ろから彼女が奇声をあげて襲って来るのではないかと言う”妄想”すら頭を過(よ)ぎったし、”部屋”にいることに限界を感じた。

 

お礼を言って、天板を戻す時に手が滑り、板が斜めにはまった。

 

それまで気付かなかった板の上側が目に入った。

 

木目ではなかったと思う。

 

爪?

 

彫刻刀にしては浅く、線も歪んだ彫り・・・。

 

引っ掻き傷のようなものが見えた。

 

少量の嘔吐物が口まで上ってきて、それを無理矢理に飲み込んだ。

 

俺「今日はありがとうございました」

 

本来なら「何か分かりましたらお伝えします」と繋げるべき挨拶も、繋げる気がしなくなっていた。

 

一階も、今思えば応接間以外のドアは閉ざされていたし、その応接間も恐らく元々二部屋だったのものをリフォームで一部屋にしたような広さだったが、中央にアコーディオンカーテンが引かれていて半分は見えなかった。

 

その日はそのまま帰り、酒を煽って寝た。

 

何一つ解決していないし、気になる事もあの家にまだあるけれど、もう行く気がしない。

 

去年の十二月にあったこの事が今でも怖い。

 

彼女からは一月に一通だけ手紙が届いた。

 

年始の挨拶ではなく、「もう一度来て今後のお話をしませんか?」と言う内容と、「○○○が中三の頃にイジメに遭い、それでも元旦に親戚で集まった時に皆と話して元気になって卒業と進学が出来た事から一月は好きな月なのです」というエピソードが添えられていた。

 

嘘ではあるが、転勤の可能性をほのめかして今後は余り力になれない事をお詫びする文面で返事を出し、それ以来は何も無い。

 

訪問した際に渡した“名刺”が非常に悔やまれるし、その辺で歩く時も必要以上に周囲を気にしてしまう。

 

名前を出す仕事をしている人は本当に気を付けて下さい。

 

真相がはっきりしないままの長文にお付き合い頂き本当にありがとう。

 

(終)

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会社に届いた俺への名指しの手紙 1/2

 

去年の暮れ、会社に一通の手紙が届いた。

 

編集プロダクションに勤めている俺への“名指し”の手紙だった。

 

手紙を読むと、自分のエッセイを読んで添削して欲しい事と、執筆指導をして欲しい事の二点が主な内容だった。

 

奥付(本の最後の出版社や発行者、編集者などの名前が載っている部分)で名前でも見たんだろうかと思いながらも、初めての事態に少々不信感を抱きながら返信した。

 

持ち込んでくれれば読むが、その後も個別に指導を続けるのは無理である旨を伝えた。

 

その翌日、宅配便の担当者から「宛先に該当する人がいない」との電話を受けた。

 

その言い回しに若干の違和感を覚え、詳しく訊いてみると、その宛先は北関東にある刑務所だった。

奇妙な話になっていった挙句に

同封されていた返信用封筒に記されていた住所をそのまま書いたのだが、意外な展開に戸惑い、差出人の名前で検索すると傷害事件で逮捕された男の名前だった。

 

収容された場所がそこである事はネットで調べた限り確かな様だったが、既に出所している人物だった為、誰かの嫌がらせの線をまず疑った。

 

あらためて封筒を見てみると、二つの事に気が付いた。

 

①、封筒に書かれていた差出人の住所と、返信用封筒に書かれていたそれが違う場所である事。

 

②、封筒と便箋に使われていたペンが別物である事。(筆跡は見た限りでは同一の様)

 

二つ目の意図と意味は上手く推測出来ず、とりあえず誰かにからかわれたような気になり、よせばいいのに封筒の方の住所へ改めて返信をする事にした。

 

正直、怒りの気持ちもあったが、恐怖もあった為、そういう気持ちは表さずに形式通りのビジネスレター的な書き方にした。

 

その四~五日後に返信が届いた。

 

封筒の裏を見ると、前回と同じ住所。

 

あの受刑者と同じ名前で届いた事に少々怯えつつ封を開き、次の文を見て血の気が引いた。

 

『○○○は、もう三年も家に戻っておらず捜索願を出しているのです。もし居場所をご存知なら、お願いですから教えて頂けませんでしょうか』

 

ネットで見た限りでは、言い渡された刑期と確定判決の出た時期から考えて、出所は去年の夏辺りのはずだった。

 

特赦や恩赦や仮釈があったにしても三年前は早すぎる。

 

※特赦(とくしゃ)

恩赦の一種。特定の者に対して行われる刑の免除。

 

※恩赦(おんしゃ)

裁判できまった刑罰を、特別な恩典によって許し、または軽くすること。

 

三年間服役していて家に居ないのであれば、それを捜索願出す訳も無いし、もし仮に親が知らないうちに息子が服役してたにしても、その捜索願を受けた警察側で彼の現状は分かるはずだと思った。

 

同姓同名の別人なのか?

 

それとも他の理由があるのか?

 

ここで終わらせたい気持ちと真相を知りたい気持ちに揺れて、俺は手紙に書かれていた電話番号に電話を掛けてみる事にした。

 

固定電話で市外局番を見る限り、送り元の住所と一致していたし、恐らく母親だと思われる書き手の文は嘘には思えなかった。

 

聞きたい事は主に三つ。

 

①、息子さんは過去に傷害事件(実際は併合罪であったが詳細は省く)で服役していたのか?

 

②、もしそうなら出所はいつだったか?また三年より前の足跡は把握しているのか?

 

③、彼は文筆活動を志している人間だったのか?

 

いきなり不躾(ぶしつけ)な質問揃いだったが、こっちも片足を突っ込んでいるので知りたい気持ちが強かった。

 

予想通り年配の女性の声が聞こえ、そして質問をぶつけてみたが・・・。

 

女「○○○は大人しい子で、そんな暴力沙汰なんて考えられません・・・。三年前と言いましたが、居なくなったのに気づいたのが三年前なんです」

 

女「ずっと家に篭りっきりの○○○が、部屋の前に運んだ食事に手を付けなくなり、そういうことは・・・時々はあったのですが・・・それが続いて思い切って部屋を覗いてみたら居なくなっていて・・・」

 

女「学生時代の連絡網、全員に電話してみたんですけど、誰も知らないって・・・。頭の良い子ですから作文は好きでしたし成績も良かったので小説は・・・部屋の中を見なかったので分かりませんが・・・」

 

女「居なくなって・・・やっと○○○のお友達から手紙が着たと思ってお返事しましたのに、暴力事件だなんて酷すぎます!」

 

もちろん、こちらの経緯と「お聞きし難い事ですが止むを得ず」と言う旨は伝えたのだが、徐々に声が上ずってきていた。

 

非礼を詫び、「私も真相が知りたいのです」と食い下がり、手紙が本人の物であるかどうか見てもらう話を取り付けた。

 

その住所は都内だった為、その週の土曜日に俺はすぐにそこを訪れた。

 

声のヒステリックさとはイメージの違う、意外と普通の四十後半ぐらいの女性がドアを開けてくれた。

 

(続く)会社に届いた俺への名指しの手紙 2/2

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「生きてるわよ!」と顔を上げると

 

私は生まれつき肌の色がとても白い。

 

それも青白い。

 

日陰にいると真っ白に見えることもあるらしい。

 

体調が悪い時なんて土気色にすぐになる。

 

※土気色(つちけいろ)

土のような色。やつれて血の気のない顔色をいう。

 

そのくせ疲れやすい。

 

おととしの夏の盆祭り、夕涼みがてらに彼氏と出掛けた。

 

夏の夕方だったので、私は浴衣を着た。

 

浴衣といっても今時の流行のではなく、年配のおばさんが着ているような地味で白っぽいものだった。

 

人混みのせいか私はちょっと疲れたので、近くの公園で休んで彼氏にジュースを買いに行ってもらった。

 

一人になった途端、疲れからかベンチに座ってウトウトとしてしまった。

 

近くで子供たちが遊んでいるのだろうか、子供の声で「あのお姉さん生きてるかな?死んでるかな?」とクスクスと笑う声がした。

 

ちょっとムカッとした私は、「生きてるわよ!」と言って顔をあげた。

 

だけど公園には誰も居なかった。

 

そして、「キャキャキャ・・・」と楽しそうな子供たちの声だけが、私の前を移動していった。

 

(終)

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「生きてるわよ!」と顔を上げると

 

私は生まれつき肌の色がとても白い。

 

それも青白い。

 

日陰にいると真っ白に見えることもあるらしい。

 

体調が悪い時なんて土気色にすぐになる。

 

※土気色(つちけいろ)

土のような色。やつれて血の気のない顔色をいう。

 

そのくせ疲れやすい。

 

おととしの夏の盆祭り、夕涼みがてらに彼氏と出掛けた。

 

夏の夕方だったので、私は浴衣を着た。

 

浴衣といっても今時の流行のではなく、年配のおばさんが着ているような地味で白っぽいものだった。

 

人混みのせいか私はちょっと疲れたので、近くの公園で休んで彼氏にジュースを買いに行ってもらった。

 

一人になった途端、疲れからかベンチに座ってウトウトとしてしまった。

 

近くで子供たちが遊んでいるのだろうか、子供の声で「あのお姉さん生きてるかな?死んでるかな?」とクスクスと笑う声がした。

 

ちょっとムカッとした私は、「生きてるわよ!」と言って顔をあげた。

 

だけど公園には誰も居なかった。

 

そして、「キャキャキャ・・・」と楽しそうな子供たちの声だけが、私の前を移動していった。

 

(終)

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駅ホームで白い日傘をさしている女性

 

これは姉から聞いた話になる。

 

姉がまだ高校生だった頃、用事の為に行ったことのない駅での出来事だった。

 

季節はもう肌寒い秋だというのに、夏用のワンピースを着て、真っ白いレース柄の日傘を持っている女性がいた。

 

そしてその日傘、手に持っているのではなくて、日の当たらない駅のホームでさしていた。

 

姉は思わず「えっ?!」となっていると、ホームに電車が入ってきた時にその女性を見失ってしまったそうだ。

 

その不思議な光景を目にした出来事から数年が経ち・・・

姉に向かって言った事とは・・・

社会人になった姉は、通勤途中に人身事故が起きた電車に乗り合わせたことがあった。

 

「やだなあ・・・」などと思いながら窓の外を見ていると、運悪く『ご遺体』を搬出している最中で、さらには姉のいる車両の近くに搬出して安置していたという。

 

もちろんそのご遺体を見たくはなかったけれど、少しの好奇心でそちらの方を見てしまった。

 

すると、駅員や警察や消防の人に混じって、白いレース柄の日傘が見えた。

 

「まさか・・・?!」と思ってよく見ると、あの時に見た『夏用のワンピース姿の女性』がそこに立っていた。

 

姉はそこで怖くなったが、何故だかその女性から目が離せなかったという。

 

瞬きを一度すると、ご遺体の側にいたはずのその女性は姉が乗っている車両の近くまでやって来て、姉に向かって何かを言った後にニッコリと笑って消えたそうだ。

 

姉いわく、その日傘をさす女性はとても可愛らしかったと。

 

その女性が消える間際に何と言ったのかは分からなかったけれど、きっと「ほらね!」と言ったと思うと姉は言っていた。

 

でも姉自身、身近で亡くなった人を知らないし、その可愛らしい女性にも心当たりは無いという・・・。

 

(終)

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駅ホームで白い日傘をさしている女性

 

これは姉から聞いた話になる。

 

姉がまだ高校生だった頃、用事の為に行ったことのない駅での出来事だった。

 

季節はもう肌寒い秋だというのに、夏用のワンピースを着て、真っ白いレース柄の日傘を持っている女性がいた。

 

そしてその日傘、手に持っているのではなくて、日の当たらない駅のホームでさしていた。

 

姉は思わず「えっ?!」となっていると、ホームに電車が入ってきた時にその女性を見失ってしまったそうだ。

 

その不思議な光景を目にした出来事から数年が経ち・・・

姉に向かって言った事とは・・・

社会人になった姉は、通勤途中に人身事故が起きた電車に乗り合わせたことがあった。

 

「やだなあ・・・」などと思いながら窓の外を見ていると、運悪く『ご遺体』を搬出している最中で、さらには姉のいる車両の近くに搬出して安置していたという。

 

もちろんそのご遺体を見たくはなかったけれど、少しの好奇心でそちらの方を見てしまった。

 

すると、駅員や警察や消防の人に混じって、白いレース柄の日傘が見えた。

 

「まさか・・・?!」と思ってよく見ると、あの時に見た『夏用のワンピース姿の女性』がそこに立っていた。

 

姉はそこで怖くなったが、何故だかその女性から目が離せなかったという。

 

瞬きを一度すると、ご遺体の側にいたはずのその女性は姉が乗っている車両の近くまでやって来て、姉に向かって何かを言った後にニッコリと笑って消えたそうだ。

 

姉いわく、その日傘をさす女性はとても可愛らしかったと。

 

その女性が消える間際に何と言ったのかは分からなかったけれど、きっと「ほらね!」と言ったと思うと姉は言っていた。

 

でも姉自身、身近で亡くなった人を知らないし、その可愛らしい女性にも心当たりは無いという・・・。

 

(終)

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ただならぬ者の仕業か?

 

大学時代の頃の話。

 

かれこれ12年ほど前になる。

 

当時は親戚の家で厄介になりながら八王子の大学に通っていた。

 

片道2時間ほどあった為、高校時代の同級生で西八王子に住んでいた友人の家によく入り浸っていた。(友人とは別の大学)

 

その日もいつもの様に、大学帰りに親戚の家ではなく西八王子で下車し、友人宅へ向かった。

居るはずの者が居ない・・・

ちなみにその建物は6階建てのマンションで、友人宅は5階だった。

 

俺はその部屋でPS(プレステ)の”みんなのゴルフ”をやり、友人はベットに寝そべりながらコンポで何かの音楽を聴いていた。

 

すると、突然「バチッ!」と音がして、その部屋の電気が落ちた。

 

その時はまだ何も不審に思わず、「電気の使い過ぎかな?」ということでブレーカーを上げ、コンポを切り、そして照明の明かりまでも消した。(まだ夕方だった)

 

すると、数分した頃に再び「バチッ!」と音がしてブレーカーが落ちた。

 

さすがに電力をそれほど使用していると思わなくて、ベランダに出て5階から町中やマンションを見回してみた。

 

同じマンションにある1階のメガネ屋や、2階より上の他の部屋の電気は点いている。

 

明かりが消えているのは“友人宅だけ”のようだった。

 

どうやら町単位での停電ではないことは分かった。

 

おかしいな・・・と友人とべランダで不思議がっていると、突然「ピンポーン」とインターホンが鳴った。

 

友人の性格は明るく、またこの部屋が溜まり場のような感じだったこともあり、その時も不審がらず「誰か他の友人が来たかも」と玄関へ出た。

 

しかし、扉を開けてみても誰も居なかった。

 

ただ、その時も”ピンポンダッシュ”を誰かがイタズラでやっていると気楽に考えて、部屋に戻ってブレーカーを戻した。

 

「またインターホンが鳴るぞ!」

 

・・・そう友人と話していると、再びブレーカーが「バチッ!」と落ちた。

 

そしてすぐ「ピーンポーン」と鳴ったので、また玄関へ行った。

 

だけど、何故か誰も居ない。

 

おかしい・・・と思って、外へ出てエレベーターの影や物陰も見たけれど、やはり誰も居ない。

 

部屋に戻って友人と、「絶対なんかおかしいよな?」と、ようやく少し真剣に話し始めた。

 

・・・と、その矢先だった。

 

もう一度「ピンポーン」とインターホンが鳴った。

 

俺と友人は同時に怯え、男同士で思わず抱き合った。

 

友人の体の震えが伝わってくる。

 

二人して嫌々ながら押し合いへし合い玄関へ出た。

 

・・・が、やはり誰も居ない。

 

俺たちは慌てて部屋に戻り、どちらからともなく「ヤバイ!塩だ塩!!」という流れに。

 

友人が塩を手に取ると、べランダに出て”食塩”をお互いに振り合った。

 

さらにはベランダに盛り塩までした。

 

あまりの怖さにもう一人の友人に電話して来てもらう事に。

 

その後はそれまでのおかしな現象は無くなったが、今でもあれは『ただならぬ者があの部屋に訪問して来た』としか思えない。

 

(終)

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不思議なことが起こる絆創膏

 

僕が幼稚園児だった頃の話。

 

転んで引っ掻き傷をつくって泣いていたら、同じクラスの女の子に絆創膏を貰った。

 

それは金属の箱に入ったもので、中には5枚ぐらいあった。

 

そしてその女の子は、「全部あげる。無駄使いしちゃだめよ」と言って僕に箱ごとくれた。

 

家に帰ってから母親に、「絆創膏?ケガしたの?」と言われたので剥がして見せた。

 

・・・が、ケガなんてどこにも無かった。

 

不思議だったけれど、絆創膏の力だと信じた。

猫の恩返し?

幾日が経った朝ご飯の時、僕のお気に入りだったお茶碗にヒビが入っているのを発見した。

 

きっと子供の浅知恵だったと思う。

 

僕はそのヒビに絆創膏を貼ってみた。

 

そして夕飯の時に剥がしてみると、ヒビが入っていたはずのお茶碗がキレイに直っていた。

 

他にも不思議なことはあった。

 

手押し車にアヒルが付いていた玩具。

 

そのアヒルの首が取れてしまったけれど、絆創膏を貼っておいたらやはり直った。

 

そんな不思議な絆創膏を、「大切に使わなきゃ」とさすがに事の重大さに気づいた矢先、うちの猫のヤーヤが車に轢かれてしまった。

 

動かなくなってしまったヤーヤ。

 

僕はヤーヤに残っていた絆創膏を全部貼り、毛布を掛けてあげて幼稚園を休んで看病をした。

 

しかし僕は、いつのまにか泣き疲れて寝ちゃっていた。

 

そして、ヤーヤに顔を舐められて目を覚ました。

 

ヤーヤの大ケガはすっかり治っていた。

 

傷痕すら残っていなかった。

 

明日幼稚園に行ったらミヤちゃんにお礼を言わなきゃ。

 

「絆創膏くれてありがとう」って。

 

だけど、幼稚園に行って気づいた・・・。

 

ミヤちゃんなんて女の子は居ない。

 

絆創膏を貰った時以外に彼女を見たことなんてなかった。

 

なのに僕は彼女を見た時、彼女をミヤちゃんだと何故だか思った。

 

そういえば、ヤーヤを産んですぐに死んでしまった母猫の名前も『ミヤ』だった。

 

(終)

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拉致監禁された時の不思議な出来事

 

私は過去に『拉致監禁』されたことがあります。

 

それは10年ほど昔のことです。

 

私を拉致したのは同じマンションに住む女性で、私はその女性宅の風呂場に閉じ込められました。

 

縛られたりはしなかったのですが、「逃げたら殺す」と脅され、ドアの外にも何かが積まれているようで逃げることが出来ませんでした。

 

危害を加えられるわけでもなく閉じ込められただけだったのと、同じマンション内だということで、すぐに助かるのではないかと望みを持っていました。

 

だからと言って眠れるはずもなく、次第に時間の感覚も無くなり、風呂場にいることが現実かどうかもよく分からなくなってきた私は、空のバスダブの中に座ってボーっとしていました。

 

そんな時、当時付き合っていた彼氏が突然風呂場に現れました。

不思議な体験のおかげで・・・

彼は「大丈夫か?」と、バスダブの中の私に声を掛けてきました。

 

私は訳が分からず、「なんでここにいるの?」と訊きました。

 

自分の頭がおかしくなったのかと・・・。

 

彼は、「多分これ夢だと思うんだよ。俺は今、夢見てるんだ」と言います。

 

さらには、「ここは○○(私)の家の風呂場だし」と。

 

当時住んでいたマンションの造りは少し変わっていて、風呂場とトイレが別々になっているのに風呂場はユニットバスでした。

 

私は、「ここは同じマンションの別の部屋で、変な女の人に閉じ込められているの」と答えました。

 

何号室か訊かれましたが、大まかな階しか分かりません。

 

彼は私が居なくなってから2日目になることを教えてくれた後、「絶対に助かるから頑張れ」と言ってくれました。

 

そして彼は風呂場の扉を開けて普通に出て行ったので、やっぱり幻覚を見たのだと思っていました。

 

その後、ようやく私は救出されました。

 

閉じ込められてから3日目のことでした。

 

運ばれた病院に警察の人が来て事情聴取をされたのですが、一通りの話をした最後に、彼氏の話を訊かれました。

 

彼は警察に、「彼女が同じマンションの人に閉じ込められている夢を見た」と言ったのだそうです。

 

普通ならそんなことを真に受けたりしないそうですが、彼が部屋の番号まで詳しく話すので、聞き込み調査の時にちょっと気にかけていたそうです。

 

すると、私を拉致した女性に不審なところがあり、私の発見に至ったのだそうです。

 

私は自分が見た幻覚のことを思い出しましたが、私は部屋の番号を知らなかったので不思議に思い、後日お見舞いに来てくれた彼氏に訊きました。

 

彼は大学で階段から落ちて倒れた時に、その夢を見たそうです。

 

(私の行方不明もあり、寝不足と注意不足だったとか)

 

あの風呂場で私とした会話もそのままでした。

 

彼は夢の中で風呂場から出た後、玄関のドアから出て部屋の番号を確認したところで目が覚めたと言っていました。

 

彼は、「階段から落ちた時に死にかけて幽体離脱でもしたのかな」と笑っていましたが、この不思議な体験のおかげで私は事件そのものをトラウマにならずに済んだと思っています。

 

もうすぐ彼の3回忌なので、思い出しながら書いています。

 

結婚前に彼が亡くなってしまったことの方が、よっぽど引き摺っています。

 

(終)

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隣の部屋から聞こえてくる音

 

小学4年生の頃、うちの家族はアパートに住んでいた。

 

そのアパートの壁は薄く、隣の部屋の音がかなり聞こえた。

 

テレビの音や会話も聞こえるし、たまにはアンアンしている音まで聞こえる事もあった。

 

また逆に、友達と家で騒いでいると隣の部屋に住んでいる男が「うるさい!」と怒鳴り込んでくる事もあった。

 

この隣の男を仮にA男とする。

何故あの日に限って・・・

A男は今でいう”DQN”だ。

 

昔で言うならチンピラっぽい男で、定職に就いていないのか、昼間に見かける事が多かった。

 

いつも不機嫌そうで、夜になると隣から怒鳴り声や喧嘩している音が聞こえることも多かった。

 

俺はA男が嫌いだったし、うちの両親もA男が隣で騒ぐ度に嫌な顔をしていたのはよく覚えている。

 

(何度か理不尽に怒鳴られたり絡まれたりしていた)

 

ただ、うちの親父も血の気が多い方で、イライラが募ると隣に文句を言いに行く事があり、その度に怒鳴り合いになるからご近所には迷惑を掛けていたと思う。

 

ちなみに、A男が怒鳴っている相手は同居していた女性だった。

 

その女性をB子さんとする。

 

B子さんは当時の俺から見ると美人さんだった気がする。

 

A男とは、どういう関係だったのかは知らない。

 

夫婦だったのかも知れないし、恋人同士だったのかも知れない。

 

ただ、B子さんはA男から暴力を受けていたらしく、顔に青アザがあったり、どこか怪我していることも多かった。

 

一度だけ電話ボックスの中で座り込んでいるB子さんを見たことがあったけれど、その時は何というのか、雰囲気的に疲れ切っているというか、ボロボロになっている感じがして、子供だった俺には話しかけることが出来なかった。

 

そのアパートでの部屋の配置は、A男の部屋が角部屋で、その隣がうちだった。

 

なので、A男宅の騒音の被害に遭っていたのは主にうちだけだった。

 

他に、B子さんとうちの母はそこそこ交流があり、よく立ち話をしていた。

 

会話の内容の大半は、「あんな男と別れた方がいい。警察に相談しよう」と母が言えば、「そんなことをすると何されるか分からない」的な事をB子さんが言うので会話が堂々巡りしていたらしい。

 

そして、あの日の夜がやってきた。

 

珍しく隣から怒鳴り声も喧嘩する音も聞こえず、早めに仕事から帰った両親と夕飯を食べて一家団欒をしていたが、突然外からドアを”ドン!!”と強く開ける音と誰かが走り去る音が聞こえた。

 

何かあったのか?とうちの親父が外に出ていき、暫くすると血相を変えて戻って来るや、「救急車を呼べ!」と叫んだ。

 

その救急車で運ばれたのはB子さんで、走り去って行ったのはA男だった。

 

この時はまだ、何故そんな事態になったのかは分からない。

 

両親は警察から事情を聞いたみたいだったが、俺には何も話してはくれなかった。

 

ただ、A男の暴力でB子さんが非常に危険な状態に陥ってしまった事は、子供の俺にも見当がついた。

 

幸いなことに、B子さんは病院に搬送されて一命を取り留めた。

 

その後、母と一緒にB子さんの見舞いに行く事になった。

 

母はとてもB子さんを心配していた。

 

ところが・・・。

 

B子さんは俺達の姿を見るなり、半狂乱になって暴れ出した。

 

点滴を掛けていた棒は倒れ、医者や看護婦さんたちがB子さんを必死に抑えつけていた。

 

俺が、おそらく母も一番ショックを受けたのは、B子さんのその様子ではなく、叫んでいた言葉だった。

 

「助けてくれって言ったのに!」

「助けてくれって言ったのに!」

「助けてくれって言ったのに!」

・・・・・・・・・・

 

ひたすら、そう叫び続けていた。

 

俺達は看護婦さんに病室から追い出された。

 

よくよく考えれば、色々とオカシイところはあった。

 

何故、あの日に限って隣の音が全く聞こえなかったのか?

 

普段なら絶対に何か聞こえるはずなのに。

 

現に、A男がドアを開ける音は聞こえたのだから。

 

隣で喧嘩しているなら、すぐ分かるはずなのだ。

 

B子さんがそうやって助けを求めたなら、うちに聞こえないはずが絶対にないのだ。

 

なのに、どうしてあの日の夜は何も聞こえなかったのだ?

 

その後、暫くしてうちは引っ越した。

 

理由は明確で、隣に誰も居なくなったことで何も聞こえなくなった事が耐えられなくなり、子供の俺が突然泣き叫んだりするようになってしまったからだ。

 

多分、うちの親も精神的に限界だったのだとは思う。

 

後日談

大学に入学して夏休みに帰省した時、当時の記憶を確認したくてそのアパートまで行ったことがある。

 

しかし、アパートは改築されて当時の面影は全く無くなっていた。

 

・・・が、大家さんはまだまだ現役だったので、幸運な事に話を聞くことが出来た。

 

B子さんは退院した後、すぐにアパートから出て行ったらしい。

 

A男は警察に捕まったとの事だった。

 

そして、大家さんはこう続けた。

 

「あの部屋の壁に血が付いちゃってさ。お巡りさんが言うには、酷いことにA男がB子さんの頭を掴んで壁に何度か叩き付けたらしいのよ。おかげで部屋の壁紙を替えるのが大変でね」

 

俺は怖くて、どちら側の壁だったのかは訊けなかった。

 

正直、子供だった俺が記憶を改竄(かいざん)し、何も聞こえなかったと思い込もうとしているのかも知れない。

 

そうなると、うちの両親はB子さんの助けを無視した最低の人間だという事になるが・・・。

 

ただ、俺の記憶が正確で、あの夜に起こった事が本当ならば、どうしてB子さんにとって最悪のタイミングで何も聞こえなかったのか?

 

なんだか人知れない”悪意”を感じてしまっている。

 

(終)

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