通学路

陥没して出来た大きな穴の下に

 

小学生の頃、いつも使う通学路の近くで、新たに道を作って橋を架ける工事をしていた。

 

俺たちは学校の先生から「危ないから近付いちゃいけない」と言われていたが、ある日曜日に友達らとその工事現場に入り込んだ。

 

その場所はとても広い工事現場であちこち歩き回っていると、加藤(仮名)が「うわ!」という声と共に地面が落盤のように陥没して下に落ちた。

 

俺たちは「加藤、大丈夫か?」と慌てて駆け寄ると、加藤は無事なようで、「やっべぇ、穴開けちまった」と言っている。

 

どうやら怪我も無く元気らしい。

 

とりあえず加藤を引き上げないといけないので、何かハシゴかロープがないかと探していると、突然加藤が「下に何かいる!地面がもこもこ動いてる!!」と騒ぎ出した。

 

大騒ぎすると見つかってしまうと思った俺は、「静かにしろよ」と穴を覗き込みながら言った瞬間、上から見ていた全員が凍りついた。

 

加藤の踏みしめている地面一帯のあちこちに、加藤の顔が沢山あった。

 

その加藤の顔たちは全員が目を瞑っていて、まるで死んでいるようだった。

 

加藤も俺たちの反応を見て異常に気付き、自分の足元を見てパニックになっていた。

 

「なんだよこれ!」

「なんだよこれ!」

・・・・・・

 

加藤は叫び始め、その騒ぎで当然のように俺たちは見つかってしまった。

 

その後、加藤は近所の人に穴から助け出され、俺たち全員は親や学校の先生にこっ酷く叱られた。

 

それからだいぶ経った頃に工事は終わり、橋も掛かったのだが、俺たちが沢山の加藤の顔を見つけた場所は、不自然にそこを避けるように道路が迂回していた。

 

穴があった場所には大きな石が置かれ、周りは芝生で整備されていた。

 

結局、あれが何だったのかは誰も教えてくれなかったので今でも謎のままだ。

 

(終)

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その布を解くと地蔵に呪われる

 

僕が小学生の頃、通学路に小さな祠(ほこら)があった。

 

その傍らには背が40センチほどの地蔵が4つ、通学路の方を向いて並んでいたが、右端の地蔵だけが顔が見えないように布で(フンドシのように)隠されていた。

 

上級生の噂では、『その地蔵は顔を見た人間に呪いをかけるので隠されている』という事だった。

 

絶対にその地蔵の顔を見てはいけない、と話題になっていた。

地蔵に呪われてしまったのか?

そもそも、その祠は小学生が簡単には上れないような崖の高みにあった。

 

また、祠への道もあるにはあったが、崖づたいで少し危険だったし、祠周辺も不気味で怖い感じだったので誰も近付こうはしなかった。

 

だが、そんなある日、同じクラスの阿部君が、「呪いが本当にあるかどうか確かめる」と言い出し、3人の仲間を連れてその祠を訪れた。(僕はその時、同行しなかった)

 

言い出しっぺの阿部君が崖を上って地蔵のある所へ行き、他の3人は通学路でその様子を見ていたという。

 

実際に手をかけた阿部君によると、顔の前面だけが隠されていただけでなく、さらに顔が布で何重にもグルグル巻きにされていて、内側は安全ピン等で厳重に固定されていたらしい。

 

阿部君の手によって、ついに右端の地蔵の顔が露(あらわ)になる。

 

「なんだ、顔の部分が壊れてたから隠してただけじゃねぇの。ほら!」

 

ほら、と見るように促された他の3人も、通学路から遠目に地蔵の顔を見た。

 

その顔は、どうやら何か強い打撃を受けたかのようにヒビ割れ、砕け、ボロボロになっていたらしい。

 

真相が分かったところで、阿部君はまたその顔を布で巻いておこうとした。

 

だが、元のキレイな巻き方が分からなくて、顔はグルグル巻いたものの、最後はドロボウのほっかむりのようにアゴの下で布を結ぶ形になった。

 

以上が、小学3年生の冬休み前の話。

 

そして冬休みを経た頃、阿部君は鼻が病気になって調子が悪くなり、4年生になってすぐに手術をした。

 

阿部君は小学生ながら端正な顔をしていたが、手術の影響らしく、少し顔の形が変わって格好悪くなった。

 

4年生の夏休み過ぎ、阿部君は自転車の事故で顔面が酷く傷付き、さらにそれから間もなく、家でヤカンの熱湯を被ったか何だかで顔をヤケドした。

 

偶然かも知れないが、地蔵を弄(いじ)ってからたったの1年で、阿部君の顔はまるで別人のように変わってしまった。

 

阿部君と一緒に地蔵を見た他の3人は特に何も無かった。

 

なので、僕たちの中では『地蔵の顔を見ると呪われる』から、『地蔵の布を解くと呪われる』に変わっていた。

 

阿部君のヤケドから少し後、ある日の夕方、公園で遊んだ帰りだった。

 

僕が友達と2人で歩いていて、その祠の前を通りかかった時の事。

 

ポロシャツを着たおじさんが、地蔵の辺りで背を丸めているのが見えた。

 

その傍らにはホウキが見える。

 

どうやら掃除しているらしいのが分かった。

 

僕たちはおじさんが雑巾で地蔵を拭いているのを立ち止まって見ていた。

 

右端の地蔵を見ると、阿部君が巻いたほっかむりのままである。

 

おじさんは次にその地蔵を洗うのか、ほっかむりを外そうと手を触れた。

 

「それ解いたら呪われるよ」

 

僕はおじさんに声をかけた。

 

「お地蔵さんはお前らのこともみ~んな見守ってんだから。呪ったりするわけねぇ~べ」

 

おじさんはニコニコと笑ってほっかむりを解く。

 

地蔵の顔はキレイだった。

 

(終)

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