怪奇現象の絶えない家

 

僕が小学生の頃、沖縄に住んでいた時の話。

 

当時の僕は、ひどい寝不足に苦しんでいた。

 

なぜなら、僕が住んでいたその家は、とにかく『怪奇現象の絶えない家』だったからだ。

 

一旦眠りについたとしても、必ず夜中の2時ぐらいに目を覚ましてしまう。

 

そして、必死になってまた眠ろうとするが、その時に妙な音が聞こえてくるのである。

 

ラップ音というやつだ。

 

誰も居ないはずの台所から食器がカチャカチャと鳴る音が聞こえたり、床を叩く様な音、何かが倒れる様な音、人の足音、人の声のような低い音。

 

そういうのが毎日のように続き、寝ようにも眠れず、寝不足に苦しんでいた。

もうこの家とは関わりたくない

ある夜、僕はまた夜中に目が覚め、必死になってまた眠ろうとしていた。

 

すると、遠くの方から男の人の声が微かに聞こえてきた。

 

最初はよく聞き取れなかったけれど、その声がだんだん近づき、はっきりと聞こえてきたのである。

 

「こ・・・い、こ・・い、こ~い、こ~い」

 

誰かが外から呼んでいる。

 

僕はさすがに怖くなり、布団をめくりあげると、周りをあまり見ないようにして急いで隣の部屋で寝ている両親の部屋に駆け込んだ。

 

ドアは内側から鍵がかかっていたため、泣きながらドアを叩き、ようやく開けてもらった。

 

両親は何事かと思ったようだが、僕が青ざめた顔で「外から誰かが呼んでいる」と言うと、すぐに事態を察したらしく、一緒の部屋で寝ることになった。

 

そして寝ようとすると、ドアを思いっきり叩く音が。

 

だけどそれは、僕と一緒の部屋で寝ていた弟だった。

 

僕が部屋から居なくなっていることに気づき、後を追って来たらしい。

 

ホッとしてまた寝ようとすると、またドアを叩く音が聞こえた。

 

もうこの部屋の外には誰も居ないはずなのに・・・。

 

しかもそれは、ドアを叩くというよりは、何かがドアの前で暴れている、のたうち回っている様な感じだった。

 

僕はギョッとして、母親の目を見つめた。

 

母親は口に人差し指を当て、「しー」という動作をした。

 

両親もその現象は気づいていたようだけど、特に何かをしようとはしなかった。

 

しかしある朝、父親が青ざめた顔で変な夢を見たと言った。

 

夜中に目が覚め、突然『金縛り』に遭ったというのだ。

 

すぐ近くでお経が聞こえ、なんだか人の気配がする。

 

目を開いて横を見ると、一人のお坊さんが自分の横に座って、お経を唱えているというのだ。

 

そして、そのお坊さんの後ろには、泣いている沢山の人の姿。

 

なんと、自分の葬式が行われていたという。

 

大声で叫ぼうとしたり、必死になって身体を動かしているうちに、やっと目が覚めたらしい。

 

さすがに父親も怖かったのか、「お祓いをしよう」ということになり、神主さんのような人にお祓いをしてもらった。

 

しかし、その後も怪奇現象は止むことはなく、その後に色々な事情等から、その家を引っ越すことになった。

 

引っ越してからは夜に目が覚めることもなくなり、家庭内の雰囲気も明るくなった。

 

今、その家は他の人が借りて住んでいる。

 

しばらくして、その家を借りている人からこんな話があったそうだ。

 

昼間、テレビを見ながらふと窓の外に目をやると、若い上半身だけの日本兵と目が合ったのだという。

 

どういう霊がいるのかは分からないけれど、とにかくもうあの家とは関わりたくない。

 

(終)

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飛び降り自殺の名所のマンションにて

 

俺は12階建てマンションの6階に住んでいるが、実はこのマンション、飛び降りの名所なのだ。

 

過去10年で12人も飛び降り、そのうち9人が死亡している。

 

知り合いに警察官がいるのでその都度情報が入るが、12人ともマンションの住人ではなかった。

 

「どうしてこのマンションで?」と不思議なのだが、先に逝った人が呼び寄せているのかも知れない。

 

それで先日の話、その日は台風が接近していてかなりの暴風が吹いていた。

 

夜11時頃、自宅でやり残した仕事をやっていた時に、ベランダで「ドスン」と何かが落ちてきたような音がした。

まさか去年と同じことが起きるなんて・・・

話は去年の夏にさかのぼる。

 

あの時もベランダで「ドスン」と鈍い音がした。

 

それで俺はベランダへ出たが、そこには何も無く、もちろん誰も居なかった。

 

だが、何気なく地面を見たら、女性が倒れていた。

 

「まだ生きてるかも」と思って、救急車を呼んで下へ降りて女性に呼び掛けたが、ぐったりして動かなかった。

 

死に切れなくてうちのベランダからもう一回飛び降りたんだろうが、結局は脳挫傷で亡くなった。

 

同じような「ドスン」という音だったので、去年の夏のことが脳裏をよぎった。

 

その時は強風で、「上の階のベランダから何か落ちたのかな?」と思い、ベランダを確認しようと窓を開けた。

 

すると、30歳くらいの女性が倒れていて、顔からかなり出血していた。

 

ビックリして大声で呼び掛けたが、返事も無く、ピクリとも動かない。

 

まさか去年と同じことが起きるなんて・・・。

 

その時はそう思って、すぐに救急車を呼んだ。

 

10分ほどで救急車が到着。

 

救急隊員と一緒にベランダへ出たが、さっきの女性が居なかった。

 

慌てて下を見下ろしてみたが、誰も居ない。

 

ここは6階だから、ここから居なくなるということは下に落ちた以外に有り得ない。

 

救急隊員からは、「イタズラは止めて下さい」と怒られた。

 

念のために警察にも連絡したが、その女性が消えてしまっているので相手にしてくれなかった。

 

救急隊員と一緒に下へ降りて辺り一帯を探したが、手掛かりは無し。

 

ここは6階だから、救急車を呼んだ後に意識が戻ってもう一度下へ飛び降りたなら無傷では済まないはず。

 

それでも死に切れなくて歩いてどこかへ行ってしまった、としか考えられない。

 

雨が降ってなければ血痕が残っていたのだろうが・・・。

 

俺は責任感じてかなり心配したが、居なくなってしまったのだからどうしようもない。

 

仕方ないのでその日はそのまま寝たのだが、何故か深夜2時頃にフッと目が覚めた。

 

それで、さっきの事が気になってベランダへ出てみた。

 

すると、さっきの女性がさっきと同じ状態で倒れていた。

 

俺は全身に寒気が走り、体が動かなくなった。

 

そのまま十数秒くらい過ぎた後、その女性がいきなり起き上がった。

 

そして、「死に切れないの・・・」と俺に向かって語りかけてくる。

 

俺は逃げ出したかったが、体が動かないから黙って聞くしかない。

 

さらにその女性、いきなり掴み掛かってきた。

 

俺はそれでも身動き出来ず、恐怖で頭の中が真っ白になった。

 

その時になって、ようやく思い出した。

 

その女性の着ている服、その服は去年飛び降りた女性の服とそっくりだってことを。

 

女性は俺の耳元で囁いた。

 

「一緒に逝ってくれませんか・・・」と。

 

お断りしたかったが、俺は喋ることが出来なかった。

 

するとその女性は、「良いんですね。じゃあ一緒に逝きましょう・・・」と言いながら、俺を持ち上げた。

 

俺は75kgあるから、普通の女性では持ち上げられないはずなのだが。

 

女性は俺を持ち上げたまま、ベランダの手すりの方へ向かって歩き出した。

 

「ああ、このままじゃ一緒に落とされる!何とかしなきゃ!!」

 

頭では分かっているが、一向に体が動かない。

 

俺は全身全霊を振り絞って、心の中で叫んだ。

 

「あなたは去年死んだんだよ」

 

その後、俺は気を失ったらしく、気付いた時はベランダで倒れていた。

 

俺には霊感など無いし、こういった経験をしたのはこの時だけだが、この出来事は一生忘れることが出来ないと思う。

 

(終)

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飛び降り自殺の名所のマンションにて

 

俺は12階建てマンションの6階に住んでいるが、実はこのマンション、飛び降りの名所なのだ。

 

過去10年で12人も飛び降り、そのうち9人が死亡している。

 

知り合いに警察官がいるのでその都度情報が入るが、12人ともマンションの住人ではなかった。

 

「どうしてこのマンションで?」と不思議なのだが、先に逝った人が呼び寄せているのかも知れない。

 

それで先日の話、その日は台風が接近していてかなりの暴風が吹いていた。

 

夜11時頃、自宅でやり残した仕事をやっていた時に、ベランダで「ドスン」と何かが落ちてきたような音がした。

まさか去年と同じことが起きるなんて・・・

話は去年の夏にさかのぼる。

 

あの時もベランダで「ドスン」と鈍い音がした。

 

それで俺はベランダへ出たが、そこには何も無く、もちろん誰も居なかった。

 

だが、何気なく地面を見たら、女性が倒れていた。

 

「まだ生きてるかも」と思って、救急車を呼んで下へ降りて女性に呼び掛けたが、ぐったりして動かなかった。

 

死に切れなくてうちのベランダからもう一回飛び降りたんだろうが、結局は脳挫傷で亡くなった。

 

同じような「ドスン」という音だったので、去年の夏のことが脳裏をよぎった。

 

その時は強風で、「上の階のベランダから何か落ちたのかな?」と思い、ベランダを確認しようと窓を開けた。

 

すると、30歳くらいの女性が倒れていて、顔からかなり出血していた。

 

ビックリして大声で呼び掛けたが、返事も無く、ピクリとも動かない。

 

まさか去年と同じことが起きるなんて・・・。

 

その時はそう思って、すぐに救急車を呼んだ。

 

10分ほどで救急車が到着。

 

救急隊員と一緒にベランダへ出たが、さっきの女性が居なかった。

 

慌てて下を見下ろしてみたが、誰も居ない。

 

ここは6階だから、ここから居なくなるということは下に落ちた以外に有り得ない。

 

救急隊員からは、「イタズラは止めて下さい」と怒られた。

 

念のために警察にも連絡したが、その女性が消えてしまっているので相手にしてくれなかった。

 

救急隊員と一緒に下へ降りて辺り一帯を探したが、手掛かりは無し。

 

ここは6階だから、救急車を呼んだ後に意識が戻ってもう一度下へ飛び降りたなら無傷では済まないはず。

 

それでも死に切れなくて歩いてどこかへ行ってしまった、としか考えられない。

 

雨が降ってなければ血痕が残っていたのだろうが・・・。

 

俺は責任感じてかなり心配したが、居なくなってしまったのだからどうしようもない。

 

仕方ないのでその日はそのまま寝たのだが、何故か深夜2時頃にフッと目が覚めた。

 

それで、さっきの事が気になってベランダへ出てみた。

 

すると、さっきの女性がさっきと同じ状態で倒れていた。

 

俺は全身に寒気が走り、体が動かなくなった。

 

そのまま十数秒くらい過ぎた後、その女性がいきなり起き上がった。

 

そして、「死に切れないの・・・」と俺に向かって語りかけてくる。

 

俺は逃げ出したかったが、体が動かないから黙って聞くしかない。

 

さらにその女性、いきなり掴み掛かってきた。

 

俺はそれでも身動き出来ず、恐怖で頭の中が真っ白になった。

 

その時になって、ようやく思い出した。

 

その女性の着ている服、その服は去年飛び降りた女性の服とそっくりだってことを。

 

女性は俺の耳元で囁いた。

 

「一緒に逝ってくれませんか・・・」と。

 

お断りしたかったが、俺は喋ることが出来なかった。

 

するとその女性は、「良いんですね。じゃあ一緒に逝きましょう・・・」と言いながら、俺を持ち上げた。

 

俺は75kgあるから、普通の女性では持ち上げられないはずなのだが。

 

女性は俺を持ち上げたまま、ベランダの手すりの方へ向かって歩き出した。

 

「ああ、このままじゃ一緒に落とされる!何とかしなきゃ!!」

 

頭では分かっているが、一向に体が動かない。

 

俺は全身全霊を振り絞って、心の中で叫んだ。

 

「あなたは去年死んだんだよ」

 

その後、俺は気を失ったらしく、気付いた時はベランダで倒れていた。

 

俺には霊感など無いし、こういった経験をしたのはこの時だけだが、この出来事は一生忘れることが出来ないと思う。

 

(終)

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下に居るあいつらが呼ぶから

 

バイト先の同僚が霊感のある奴だった。

 

シフトが同じで仕事明けにいつも一緒に帰っていたが、あるテナントビルの前を通る度にいつも嫌がっていた。

 

なんでも、そのビルの前には複数の霊が佇んでいるとか。

 

俺は霊感なんて無いから分からないが、その同僚いわく、幽霊といっても別に透明だったり足が無かったりはないらしい。

 

そこにいる霊はごく普通の男女数人で、それぞれ別な方向を向いて無言で立っているとか。

 

ある時、同僚はそのビルの前で突然立ち止まって上をジッと見上げた。

 

「どうした?」と訊くと、そこにいつも居る霊がみんな上を見上げているという。

 

しばらく二人で上を見ていたら、屋上に人陰が見えた。

 

同僚が「おーい!」と声を掛けると、制服を着た学生が逃げていった。

 

「あれ多分、自殺するところだったんだよ」

 

そう同僚は言った。

 

「ビルの屋上なんて、カギ掛けて管理してるだろうに、なんで学生が入れるんだろうね?」と話していると、同僚は「下に居るあいつらが呼ぶから」と言って笑った。

 

それからしばらくして、シフトが変わったこともあって、その同僚とは一緒に帰ることもなくなった。

 

2年ほど経った頃、俺は既にバイトを辞めていて、久しぶりに元バイト先へ遊びに行った。

 

そしたら、その元同僚が「あのビルの屋上から飛び降り自殺した」と聞かされた。

 

今頃、あのビルの下に佇んでいるのかも知れない。

 

(終)

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営業マンの建前と本音の落差

 

俺は小売業で、いわゆる『バイヤー』をやっていた。

 

簡単に言えば、メーカーから品物を安く仕入れる仕事だ。

 

仕入れ値が安ければ、その分儲けは多くなる。

 

簡単な理屈だが、メーカーも儲けの為にはなかなか仕入れ値を下げない。

 

そこを何とか、あの手この手で下げさせるのがバイヤーの手腕であり、俺も随分とメーカーの営業を泣かせてきた。

 

「これだけ仕入れてるんだから、お宅以外にも取引先は沢山ある。この値段で出せないなら、もう取引停止だ」などと、かなり強気にやってきた。

 

そんなやり方だったから、俺と商談する営業の中には、身体を壊したり精神を壊したりする者も結構いた。

 

担当が変わる度、新しい担当がオドオドした目で俺を見てくるのが不愉快でもあり、苦痛でもあった。

 

そんな中で唯一、俺の強気な商談にいつも調子良く答えてくれるTさんという営業がいた。

一番怖かったのは、霊よりも・・・

他社が逃げ出すような値段でも、ちょっと考えただけで「分かりました!」と快諾してくれるTさんは、俺にとっても非常に有難い存在だった。

 

Tさんとの付き合いは長く、仕事を離れて飲みに行ったり、互いにお中元やお歳暮などを贈り合ったり、今では数少なくなった「古き良き付き合い」をしていた。

 

そんなTさんが、ある時こんな事を言った。

 

「取引先メーカー内で、俺の存在が日に日に煙たくなっている」、と。

 

Tさんは長い付き合いもあってか俺に同情的だったが、担当がころころ変わっている他のメーカーは、俺のやり方にウンザリしているとの事。

 

俺は、「日頃から言われている事だ」と笑い飛ばしたが、商談の最後にTさんが神妙な顔で「気を付けた方がいいですよ」と、俺に言ったのが印象的だった。

 

それから程なくして、実害が出始めた。

 

俺の家に嫌がらせの張り紙や、無言電話がかかって来るようになった。

 

妻は社内結婚ということもあって、俺のやり方は分かっており、それに対する嫌がらせだということも理解していた。

 

張り紙を剥がし、無言電話は無視するかすぐ切る、という冷静な対応をしてくれた。

 

だが・・・ある夜帰ると、妻の顔色がすぐれない。

 

「ポストを見てきて」と、微かに震えた声で言う。

 

何事かと思いポストを見ると、『血塗れの塊』が入っている。

 

何かの内臓のような肉片だった。

 

俺は嫌がらせにしては度が過ぎると思い、次の日に出社すると片っ端から取引先に電話をした。

 

営業たちは慌てて否定していたが、犯人がこの中にいることは明白だった。

 

信頼のおけるTさんにも内容を話し、取引先同士の横の繋がりから、犯人の目星を付けてもらうよう依頼した。

 

Tさんも乗り気で、「探偵ごっこみたいで楽しそうですね」などと、のん気なことを言っていた。

 

電話口で全員に対して犯人扱いをし、「金輪際こんな嫌がらせはするな!」と、キツク言い放った俺だったが、その後も嫌がらせは終わる気配が全くなかった。

 

毎日のように商談で俺に会いに来るTさんの方でも、手掛かりは掴めていないようだった。

 

業を煮やした俺は、玄関に小型のビデオカメラを設置した。

 

植え込みに隠すように設置し、テープの時間の目一杯まで録画した。

 

映っていればしめたもの。

 

動かぬ証拠として、犯人を呼び付けてテープを見せつけてやるつもりだった。

 

そしてカメラを設置した翌日、録画されたテープを再生していた俺は信じられないものを見た。

 

顔はよく見えないが、見覚えのあるネクタイが映っていた。

 

そのネクタイは、その日の商談でTさんがしていたものだった。

 

歳のわりに若いデザインで、「もう若くないんだぞ」と、からかった記憶がまざまざと蘇ってくる。

 

信じたくない気持ちと裏切られた気持ちで、俺はTさんとの商談を迎えた。

 

Tさんは変わらずいつもの調子で笑いながら、「手掛かりはまだ掴めない」などと言っている。

 

俺は堪えきれず切り出した。

 

ビデオカメラを設置していた事、人影が映っていた事、ネクタイに見覚えがあった事。

 

Tさんはそれらを聞いた後も、いつもの調子を崩すことなく笑っていた。

 

「そうですか」、と。

 

俺はその様子に堪らなく不気味なものを感じ、Tさんをそれ以上問い詰めることが出来なかった。

 

「Tさんの上司から今回の件についての説明をするように」、と言うのがやっとだった。

 

Tさんは笑いながら「分かりました」と答え、去っていった。

 

それから2週間、Tさんとは音信不通になった。

 

Tさんの上司が後任と思われる若い営業を連れ、菓子折りを持ってやって来たのは3週間後だった。

 

上司は、俺との挨拶もそこそこに土下座した。

 

「大変申し訳ありません」、と。

 

俺はまだTさんに裏切られたショックが癒えず、激昂する気力も無かったので、ただ説明を求めた。

 

なぜTさんは俺に嫌がらせをしたのか。

 

毎日のように顔を合わせていて、それなりに信頼関係もあったはずなのに。

 

そして、上司の口から説明をするよう求めたのに、3週間も待たされたのは何故なのか。

 

これらの事を話していると、見る見る上司の顔色が変わってきた。

 

後任の営業も言葉を失っている。

 

訝しげにその様子を見ていると、上司は「これから話すことは的外れかも知れませんが・・・」と、前置きした上で話し始めた。

 

その内容を聞いているうち、俺は気が狂いそうになった。

 

そもそも、Tさんは3ヶ月前に俺の担当を外されていた。

 

そして、後任の営業が決まって社内での引継ぎも終わり、あとは俺への挨拶だけ、というところまで進んでいたが、Tさんは頑なに後任を俺に会わせようとはしなかった。

 

「お前じゃアイツの相手は出来ない。アイツは人の皮を被った悪魔だ」と、Tさんは後任に言っていたらしい。

 

そしてTさんは毎日のように無断で外出を繰り返し、2ヶ月前には停職処分となっていた。

 

停職となった後も、Tさんは後任に電話をかけ、俺の元に行かないように念を押していた。

 

後任も、Tさんのあまりの気迫と異様な執着を不気味に感じ、俺に会いに来れなかった。

 

そして1ヶ月前、自宅で首を吊っているTさんが発見された。

 

Tさんの社内では大騒ぎになったが、俺への連絡は後任に任され、後任は後任でまだ俺への挨拶も済ませていない手前、いきなり「Tが自殺しました」と言い出すことが出来ず今日に至った、と。

 

Tさんは担当を外されても、なぜ俺の元へ毎日のように来ていたのか?

 

1ヶ月前に死んだTさんが、なぜ3週間前に俺の家に嫌がらせをし、翌日の商談に現れたのか?

 

今ではもう知るすべは無い。

 

霊なんて信じちゃいないし、たとえ3週間前に現れたTさんが霊であったとしても、それは些細な問題だ。

 

俺が一番怖かったのは、人間の情念と、建前と本音の落差だ。

 

※情念(じょうねん)

深く心に刻みこまれ、理性では抑えることのできない悲・喜・愛・憎・欲などの強い感情。

 

表面上の付き合いを上手くやれる者ほど、その反動として裏の顔が凄まじいものになる。

 

俺は程なくして会社を辞めた。

 

今でも、最後に会った時のTさんの無機質な笑顔をふと思い出す。

 

(終)

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実際にあった動物虐待による呪い

 

今からお話する事は、全て”実話”です。

 

私の同級生の父親が語った話なのですが、「怖いから聞いて」と言われ・・・。

 

その同級生の父親は警察官なのですが、警察という仕事柄、様々な事件を取り調べています。

 

しかし事件があっても、これまでは家族にもほとんど仕事については話した事が無かったそうですが、この『動物虐待の事件』は父親から口にしたそうです。

動物たちの呪いも・・・

ある町で約半年の間に異常の数の猫の死体が発見されました。

 

どれも無惨な姿だったそうです。

 

毒死や耳を切られて死んでいたり、首に釘を刺されていたりと・・・。

 

他にも見てはいられない殺され方ばかりだったそうです。

 

その犯人(K容疑者)はすでに捕まっており、現在は刑務所に入れられているので安心なのですが、刑務所に入ってからのK被告の行動が日に日におかしくなっているそうです。

 

同級生の父親は、刑務所勤務ではないので同僚から話を聞くだけなのですが、あまりに話がリアル過ぎるそうで・・・。

 

K被告が刑務所へ入所したばかりの頃の事でした。

 

「眠れない!」

「うるさい!」

「あっちいけ!」

「殺さないでくれ!」

 

就寝の時にそう叫ぶのだそうです。

 

「○○番、静かにしろ!」

 

刑務官が注意しても叫ぶのだそうです。

 

「俺を助けてくれ!!」と泣きながら・・・。

 

あまりに酷い為に医者に診てもらうと、解離性(転換性)障害と診断されたそうです。

 

しかし刑務官の間では、「あれは病気ではないな・・・。本当に何かが見えるんじゃないか?」と噂になりました。

 

K被告は今では個室に入れられているそうですが、毎晩のように声が廊下まで響くそうです。

 

呆れた刑務官もさすがに何も注意しなくなり、ただ毎晩のようにK被告の声が響き渡ります。

 

そんなある日、勤務が終わったばかりの刑務官の一人が、青ざめた表情で更衣室に居た同僚にこう言いました。

 

「僕、霊感があって心霊的なモノが昔から見えたり聞こえたりするんですけど・・・K被告は本当は病気ではないです」

 

「僕、聞こえるんです。憎しみを込めたような鳴き声で、『ウーウーウーウーギャーヲー』と叫んでは、K被告の周りを飛び回っている猫たちが・・・」

 

「懸命に爪を立てて齧(かじ)ろうとするんです。生きている猫の顔ではないです。怒り狂った恐ろしい顔で」

 

「嘘じゃないですよ・・・。正直、僕も不気味なんです」

 

人から人へ話が広まり私のところまで来ました。

 

でも、本当にあるんだそうです。

 

加害者に殺された方の呪いはもちろん、動物たちの呪いも・・・。

 

刑務所には様々な霊が集まるそうです。

 

(終)

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猫は霊を呼び寄せるというが

 

猫を飼っている人なら分かると思うが、猫は人間が見えないものが見え、さらにはそれらを呼び寄せてしまうようだ。

 

私は当時、一人暮らしで猫を2匹飼っていた。

 

あまり鳴き声をあげないアビシニアンという種類の猫だったので、私は普段から彼らの存在を気配で察しているところがあった。

 

私は家でも仕事をしていることが多かったので、仕事中に「今、足元にいるなあ」と思っていても、声をかけると遊ばなくちゃいけなくなる。

 

なので、「いるなあ」と思いながら仕事中は無視するのが日課になっていたのだ。

 

その日、私は家での作業が早く終わり、次の日も仕事が無かったので、おもいっきり猫たちと遊んでいた。

 

アビシニアンという種類は運動も好きなので、彼らが思う存分満足するまで遊ぶには結構な体力がいる。

 

だからその日は結果的にいつもより身体は疲れ、ぐっすりと眠りにつくことが出来た。

 

猫たちもいつも通り、私の枕元で2匹丸まって寝た。

 

しかし、私は夜中にふと足に重さを感じて目を覚ました。

 

「猫が私の足の間で丸まって眠ったのか、珍しいなあ」と思ったが、私はそこで気が付いたのだ。

 

頭の両脇にも、ちゃんといつも通り猫2匹の気配があることを。

 

明らかに、足元にも“何か”がいる。

 

結構な重さだけでなく、気配も感じるのだ。

 

私は恐る恐る手を伸ばし、枕元の電気を点けた。

 

するとその瞬間、フッと足元の何者かの気配が消えた。

 

同時に、重さも感じなくなった。

 

猫たちはいつも通り、私の頭の両脇に2匹いた。

 

しかし私の足の間には、何がが居たような”布団の凹み”がしっかりとあったのだ・・・。

 

(終)

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