Story

偉大なる父・アレハンドロ・ホドロフスキーを演じる、アダン・ホドロフスキーのアイデンティティ

23年ぶりとなった監督作『リアリティのダンス』(2013)に続く、アレハンドロ・ホドロフスキーの最新作『エンドレス・ポエトリー』が公開された。『エル・トポ』(1970)『ホーリー・マウンテン』(1973)で知られる独創的な奇才ホドロフスキーを父にもつ、アダン・ホドロフスキーに「父を演じる」ことについて訊いた。

理想の「音」は雨の音。音の自由を求め、原点へ──坂本龍一

音楽家・坂本龍一の言葉の至るところからは、「聴いたことのない音」を聴きたい、つくりだしたいと願った、10代の青年だったころそのままのパッションが噴き出している。60代も半ばに差しかかった坂本は、なぜ長年にわたってそのような姿勢を貫き、実際に「未知の音」を世に届けることを続けてくることができたのだろうか。それは「根源的な問い」を忘れず、自らが「知らない」世界へと積極的に身と心を開いてきたからなのであろう。どこまでも瑞々しく、エモーショナルな彼の哲学は、見えない明日へ次の一歩を踏み出そうとするぼくたちの心を、優しく、激しく、奮い立たせてくれる。

気候変動と山火事が、カリフォルニアワインに「瀕死の重傷」をもたらす──ナパを襲った「煙」という悪夢

2017年10月にカリフォルニア州のナパ郡などで発生した大規模な火災は、ナパヴァレーとして知られるワイン産地を直撃した。世界的に有名なカリフォルニアワインへの影響は計り知れず、そして今年だけには終わらない可能性もある。『WIRED』US版による現地ルポ。

引き算のチョコレート。 そこから生まれる「質」の経済──山下貴嗣

そのチョコレートを味わった瞬間、ぼくたちはこれまでの常識を覆されたように感じた。山下貴嗣が牽引する「Minimal」は、カカオ豆の選定からチョコレートの製造まで一貫して手がけるbean to bar(ビーン・トゥ・バー)のブランドである。山下の取り組みが革新的なのは、赤道直下のカカオ農家と協働して生産手法の改善や豆の品質向上に取り組み、産地の人々の生活をグレードアップしようとしている点にある。そこには小さなチョコレート工房だからこそ生み出せた、おいしくそして魅惑的なイノヴェイションが広がっていた。

映し出される「物語」にふさわしい言葉を:シリーズ「ことばとアイデンティティ」(2/3)

日本語で小説を執筆し、2度にわたり芥川賞候補に選出されたイラン人作家、シリン・ネザマフィ。彼女が紡ぐ物語には、世界の不条理と対峙し、迷い苦しみながら、儚くもどこかへと流されてゆく個人の姿がしきりに描かれる。ネザマフィがあえて母国語を用いずに、この普遍的な題材に挑戦し続けるのはなぜなのだろうか? 「言語とアイデンティティ」について考える連載第2回。

学生寮が生んだ23歳の人気料理人、ジョナ・レイダーがつくる「常識破りのダイニング体験」の秘密

23歳の料理人、ジョナ・レイダーが世界的に注目されている。学生寮で仲間に振る舞っていた料理が好評で人気を博し、いつの間にか“プロ”として多くのファンを抱えるようになった人物だ。料理人の常識の数々を覆した彼のスタイルは、なぜ大勢の人に支持されるのか。来日したレイダーに訊いた。

昆虫、変身、メタファー。 ひとの“違い”を見つめるために──伊藤亜紗

生まれつき目が「見えない」人々は、どのように世界を認識しているのだろうか──。そんな素朴な疑問から始めた調査研究で、一躍脚光を浴びた研究者がいる。人々が目で見て認識しているこの「世界」は、視覚的に空間を認識することで成り立っている。その前提が崩れたとき、「世界」はどう見えるのか。彼女は常識とされてきた世界観に疑問を投げかけ、その調査結果をまとめた著作『目の見えない人は世界をどう見ているのか』はベストセラーとなった。口を揃えたようにダイヴァーシティ(多様性)が叫ばれるいまこそ、見逃されがちな核心を抉りだす彼女の言葉に耳を傾けたい。